028_髪を切るということ
わたしの髪は短い。中高としばらく長かったけれど、今は短い。なんとツーブロックのおまけ付きだ。
わたしは大事なイベントの前に必ず髪を切りに行く。本番の前とか、楽しみにしてるライブの前とか、久しぶりに友人と会う約束をした時とか。かっこよくなりに、髪を切りに行く。
昔は自分の格好に頓着がなくて、大学の時はヨボヨボの服をきて、わさわさの髪型でその辺をフラフラしてた。今考えるとあまりお行儀がよくなかったかもしれない。けれど、その時は自分を着飾る意味を見いだせていなかった。メイクをするとか、自分の着たい服を着るとか、そういうのは全く分からない感覚だったし、必要性も感じなかった。
その後ダンスをはじめて、自分の姿を鏡で見る時間が長くなった。ステージで自分を着飾る機会をもらった。いろいろ追求しているうちに顔も頭も服もかっこよくしたくて、試行錯誤の結果、今の髪型に落ち着いた。周りからもいいね!なんてほめられた。純粋に嬉しかった。
しかし、昨今の物価高騰の波に揉まれ、カット代も馬鹿にならなくなってしまった。どんなに長持ちさせたくても精々1ヶ月半が限界だ。かなりスパンが短い。短すぎる。なかなか痛い出費だけれど、伸びすぎると途端にダサくなるのでしかたがない。宿命である。
でも、髪を切ると気持ちがしゃんとする。胸を張って堂々と外を歩くことができる。あとは人間と喋る時も少しだけポジティブになれる気がする。少し高めのヒールを履いているみたいに、少し話上手になったみたいに、目線が少し上がる。あまりビクビクせずに生きることができる。
そうして、「イベント:髪を切る」は、わたしの数あるメンタルリセットの方法のひとつになった。
来週は2ヶ月ぶりに髪を切ってくる。忙しさにかまけていてかなり久しぶりになってしまった。また少しだけ前を向けるように、少しだけ元気になれるように、かっこよくしてもらおう。