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コミケにサークル参加したい!でもどーする!?準備編③イラスト本制作
はじめに
前回は当日必要なものについて解説してきました。
今回はイラスト本の作り方について解説していきます!ここが一番悩みますし楽しいところでもあります。長くなりますが、1つずつ見てきましょう!
イラスト本の制作について
コミケのスペース設営の仕方は分かったけど、イラスト本の作り方って何から始めたらいいんだろう…??
そうですね。印刷所もたくさんありますし、印刷方式や用紙サイズなども様々です。私もいろいろ調べてゼロから作ってみましたが何度も失敗しています💦私の経験談も踏まえて見ていきましょう!
印刷所はどこがいいの?
一言でここ!というところはないのですが、一般的に多くの方が委託している印刷所を挙げると…
グラフィック・関西美術印刷・プリントオンが多い印象です。中でも圧倒的に多いのがグラフィックです。理由は「価格の安さ」にあります。同じ印刷内容でも上に挙げた2社だと1.5~2倍ぐらいの料金の差があります。「じゃあグラフィック一択じゃん!」となりますが、安さにはちゃんと理由がありまして…最安値で進めようとすると
・用紙選択の幅が少ない
・データ入稿後、会社側でのチェックがない
ということが挙げられます。特に2つ目が重要で、web上でデータ入稿を行いますが、うっかりこちらがミスをしたまま送信してしまうとそのまま製本されてしまいます…。私も一度ここで失敗しています💦内側本文のページは問題なかったのですが、表紙のイラストを従来より小さい画像のままで入稿したため、表紙に大きな余白が出てしまいました。問い合わせましたが、無償での再印刷は不可とのこと…泣く泣く同じイラスト本を同部数印刷し直すことになってしまいました。
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なので、グラフィックの安さの理由はこういったところでコストカットを行っているから、ということになります。上記の2社については入稿後のデータ不備のチェックなどは会社側で行ってくれますし、用紙の幅も広く取り扱っているので、その点については安心です。
印刷方式や用紙サイズについて
次に印刷方式や用紙サイズについて見ていきましょう。ここではグラフィックを例に挙げて解説していきますが、他の印刷所もだいたい同じラインナップで展開しています。
印刷方式は主にオンデマンド印刷とオフセット印刷の2種類があります。
簡潔に言うと2つの違いは以下の通りです。
オンデマンド印刷
・安価で少部数制作する方向け(100部以上制作も可能)
・1部単位で制作可能
・選択できる用紙の厚さが少ない
・レーザープリンタで印刷するため原稿データと比べて色変化が大きい
オフセット印刷
・大量に制作(100部以上)する方向け。オンデマンドより料金は高い
・50部単位で制作可能
・選択できる用紙の厚さや印刷オプションが豊富
・原稿データと比べても色変化が小さい
初めてイラスト本を制作するならオンデマンド印刷がよいかと思います。満を持しての参加!でファンの方も相当数いるようでしたらオフセットで大量に作ってもいいかもしれません。もちろん、1冊の単価は冊数が増えるほど下がっていきますから、何部作るかはお財布と相談…ということになります。オフセット印刷時の価格差はオンデマンド印刷の約1.5~1.8倍です。
次に用紙サイズですが、主に縦型B5や縦型A4で制作している方がほとんどです。たまに正方形サイズや、横型の冊子を制作している方もいます。初めはB5が無難かなと思いますがA4だと迫力が違います。ここはお好みで!
あと、色変化についてですが、製本するとビビッドカラーは多少くすみが入ります。オフセット印刷に限りますができるだけデータの色を再現するオプションもあります。ただ割高になってしまうので、こだわりたい方は検討してみてもいいかもしれません。
綴じ方と用紙の種類・厚さについて
ここも悩むポイントですね。私もマイベストにたどり着くまでに3回かかりました。1つずつ解説していきます!
綴じ方(とじかた)について
綴じ方は主に中綴じと無線綴じの2種類があります。
中綴じは中央にホッチキス留めをしたもので、開きやすいという特徴がありますが、多いページ数(32ページ超えぐらい)のイラスト本だと用紙の厚さにもよりますがボコッと膨らんでしまいます。
無線綴じはよくある中央がのり付けされた本の作りになります。商業画集ぐらいのページ数向けです。少ないページ数でも制作できますが、逆に開きにくく2ページ見開きの横型イラストなどには不向きです。
価格は無線綴じの方が高くなりますから、初めて制作するなら中綴じの方がよいでしょう。私が初めて制作したときは息巻いて20ページ無線綴じを選択し、かつオフセット印刷を選択してしまったため、コミケ後に頭を抱えていました…。
用紙の厚さについて
用紙の厚さはkgの単位を用いて表されます。私の経験から言うと、
オンデマンド印刷なら表紙・本文ともに135kg
オフセット印刷なら表紙165kg・本文135kg
※オンデマンド印刷だと135kgが最厚
がベストかと思います。ちなみに私のこれまでを辿ると…
2023年冬コミC103 表紙180kg・本文135kg・無線綴じ・オフセット
表紙が分厚すぎて固い!おまけに無線綴じでより開きにくい!
2024年夏コミC104 表紙135kg・本文110kg・中綴じ・オンデマンド
文字通り薄い本。ペラペラ感がある…中綴じにして開きやすくはなった。
2024年冬コミC105 表紙165kg・本文135kg・中綴じ・オフセット
やっとたどり着いた…!マイベスト印刷!!!!
全く統一感がないんですが…試行錯誤の末に現在に至りました。
用紙については主にコート紙とマットコート紙の2種類があります。他にもありますが、まずはこの2種類で始めましょう。コート紙はつやあり、マットコート紙はつやなしです。私は表紙をコート紙、本文をマットコート紙にしています。料金は変わらないので安心してください。
あと、表紙にPP貼りのオプションがあります。用紙の上からつやありorつや消しのビニルを貼り付けるものです。少し制作料が上がりますが表紙の強度と厚みが増すのでおススメです。私はすべてつやありにしています。
ページ数とページ構成について
私はすべて20ページで通してきています。本当はもっと多くしたいのですが、仕事の傍らで制作していくとなると20ページが限界なのでそのようにしていますが、実際のところ20・24・28ページの方が多いです。
本の制作上、4の倍数で上下させていきます。そのため、18ページのような制作はできません。またイラスト本の構成としては以下の方が多いです。
P.1 表紙
P.2 印刷なし
P.3 タイトル・目次
P.4~17 自分のイラスト
P.18 あとがき(必須)
P.19 印刷なし
P.20 裏表紙
始めと終わりの2ページは表紙分ということで片面カラー印刷の方が多いです。ここは発注時に表紙の片面・両面・カラー・モノクロ印刷を選択できます。あとがきは必須とありますが、自分のコメントが必須というわけではなく、いつ発行したのか・印刷所はどこかが必須になります。私はついでに仕事用のメールアドレスや、各種リンクのQRコードも載せています。下記の画像を参考にしてくれたらよいかと思います。
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データ入稿の前に配送先の設定をしよう
多くの印刷所では製本したものを直接会場内の自分のサークルスペースまで配送してくれるサービスを行っています。自分で持っていくのは大変なのでとても便利です。グラフィックではイラスト本とポスターの会場搬入サービスをやっています。ただし、イラスト本は仕上がり見本誌を数部自宅に配送してくれるためチェックできますが、ポスターについては当日会場に行くまでわかりません。不安ならば自宅に届けてもらいましょう。配送先設定で、部数を分けて通販元に送ることもできるので通販を検討しているなら利用してもいいかもしれません。
なお、グラフィックでは各種イベントごとに入稿期日が定められており、そこから逆算して早ければ早いほど割引になる早割サービスも行っています。ただしオフセット印刷のみでオンデマンドは対象外です。脱稿間に合ったぁ!というポストが見られるのはこのためですね。私もC105は最終締切前日に入稿しました…。
最後に
長文になりましたが、イラスト本制作の過程は以上になります。ここまでご覧いただきありがとうございました!次回第4回は気になる「価格設定」についてのお話です。他にもこれが聞きたい!というものがあればXのDMよりご質問ください!
なお注意点ですが、二次創作でイラスト本などを出す際にはそれぞれのコンテンツの「二次創作ガイドライン」に従って制作してください!
ルールを守って楽しい同人活動を!