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建築概論のレポートはなぜ手書き?写真ダメ?

建築概論のレポートは他と比べてけっこう違いますよね。しかも時間がかかる。なんでこんなこと課しているのか、今日はそんな話をしたいと思います。

まず、僕の授業のレポートでは
・必ず絵を入れる
・手書きで
・A4で1枚、縦書きにまとめる

というのをルールにしてます。改めてこれなんでか。

写真を貼ってもいいですか?

僕のレポートでは×にしてます。
内容を伝えるために写真は重要な材料です。ただ、写真が簡単に撮れて簡単に手に入る現在、撮影された目的がちがう写真も簡単に使うことができます。そこでは読み取る情報が非常に表面的になって「○○が写ってる」という情報しか拾い出せなくなります。
手描きの絵というのは、隅から隅まで写実的に描くことは無理(というか無駄)なので、何を描いて何を描かないかという選択を迫られます。カメラでいうと(持ってませんが)、アングルを決めてピントを合わせて露出を決めて、という感じでどこをどんな風に写真に収めるのか考えながらシャッターを切ります(持ってません)。写真も現実にあるものからやっぱり情報を切り取るわけで、そこに撮影者の意図が介在します。
つまり、絵を上手く描くことが目的なのではなく、ここでも情報の選択をしてほしいんです。影は描くべきか、この線はあったら邪魔だなとか、何を描くかよりどう見えるかを気にしてほしいと思ってます。つまり、重要なのは何を描くかより何を描かないかなんですね。

PCで書いてもよいですか?

いいんですが、wordなどの事務系ソフトは×にしてます。描くならAdobeなどのDTP系のソフト(1年生で使う人はほとんどいません)。
パソコンを使った作業というのは、まずは作業の効率化がメインでしょう。ではwordなどで効率化されているもので僕が邪魔だなと思うのがレイアウトです。
まったく意識せずに四周がいい感じに空いて、文字がいい感じにバランスよく配置され、左寄りか右寄りか中央かはワンクリックで変更できます。
このいい感じというのがかなり制限のかかった"いい感じ"というのに気づいてほしい。自分でレイアウトを考えるともっともっと可能性があってとても悩みます。自分にあった表現を、その過程で探してほしいと思います。逆に「wordでやっては簡単なのに!」とまだ思ってる人は、wordの形式の外に出ていない。可能性はその外に広がっています。

2枚目いってもいいですか?
横書きでもいいですか?

これはこちらの都合です(汗)。内容を見るときに全部の形式が揃ってることはとても重要。作業スピードが違います。100枚くらいをすべて目を通してコメントつけて採点するので、効率は求めたい
もう少し掘り下げると、A4タテ1枚という形式だからこそ表現しやすい内容というのがあります。レポート書いてて「これなんか表現しづらいな」と思ったら内容と形式の不一致を察知しているということです。この形式だとどんな内容がよいのか、そんな深層まで読んでみると出題者の意図が透けて見えるかもしれません。

これから図面や模型を含め、沢山の表現で人に伝えていくことになります。ここでいい感じに作業が短縮できるツールを手にするのでなく、表現方法を探すことを身につけてほしいです。そうでないと、現時点で絵が上手く、レイアウトが得意な人しかそういう仕事につけなくなってしまう。
あまりにもナンセンスです(笑)。毎回毎回しんどいですが、自分の表現を探してください。


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