雑誌の最新号が話題にならない時代
天パ野郎(自分)にとっては試練の季節=梅雨がやってきました。湿気80%とかもう水中じゃねーかと思ってる今日この頃です。
ゼット世代の文化圏
先日SNSで話題になってた本『映画を早送りで観る人たち』で書かれていたいわゆるZ世代、僕が大学で会う学生たちにバッチリ当てはまります。「いやまさか、、」と思って実際聞いてみると、「映画2時間が耐えられない」
「だいたいTikTok観てます。自分から情報を探しに行かなくていいから」
って本の通りやん!!マジでした。全員ではないにしても、そういう文化圏にいる人たちが今の大学生です。
雑誌アーカイブ
設計演習ではよく、
「まず事例調査で雑誌を調べなさい」
「自分から情報を取りにいかないと」
と言ってます。僕だけじゃなくて、それが王道だと思ってます、先生たちは。
その前提には、
・建築の情報は雑誌とか本に載ってて、
・なんなら毎月それらをチェックしてて、
・アーカイブは図書館とか本棚とかにあって、
という下地があるんですね。仮にこれを『雑誌アーカイブ』と名付けましょう。
ネットアーカイブ
でも今は、
・情報はいつでもスマホの画面に流れてて
・何回かフリックすれば建築の情報に行くし、
・毎月どころか、暇なときはスマホみてるし、
・アーカイブは無尽蔵にネット上にあるし、
という状況が当たり前になってる。これを前者に対して『ネットアーカイブ』としましょう。これは大人たちも享受してる状況ですが、大人たちは雑誌アーカイブが下地にあって、ネットアーカイブを使ってる。Z世代(とまとめていいのかわかりませんが)はネットアーカイブからのスタートなんですね。
「そんなの薄っぺらい情報しかない!」
「嘘も混ざってる!信頼できない!」
「だからネットじゃなくて本だ本!」
と先生たちは目くじらを立てます。
そうなんですけど、そこじゃない感が、、。
情報の海のお魚さん
なんというか、僕の感覚では情報って自分の外側にあって取りにいくんですが、ネットアーカイブスタートの彼ら彼女らは「情報の海に浸かってる」どころか、もうすっかり情報の海の中なんですね。目を開ければ口を開ければ情報が流れ込んでくる。もう水中じゃねーか!
(ここでつながった!)
(それがどうした)
情報の海では彼ら彼女らはもう立派なお魚さんです。海のお魚さんに、
「水!あっちの水を飲まないと!」
と言ってもとピンとこない感じと似てます(言ったことないけど)。
最新の情報とは
ここで意識しないといけないのは情報の新旧です。
雑誌アーカイブの場合、だいたい順番に並べてあって最新号が端っこにあり最も読まれる確率の高くなります。「最新号は早くチェックしなきゃ!」というマインドになるのはこういう物理的な環境とセットなのかなと思います。
しかし、ネットアーカイブを前提とした情報の海のなかから見上げると、降ってきた最新の情報は一瞬にしてそれまでの情報と混ざってしまいます。もちろん、最新のものは目につく率は高いのですが、あとからあとからどんどこ情報が流れてくるので最新は常に更新されて薄くなっていきます。
最新っていう概念は雑誌アーカイブのように一定の間隔をおいて定期的に提供されるときのみにおいて成り立つ概念のようです。だから、「最新号に載ってる○○」という話題を振ってもなんだか響かないですよね。それは大人である自分たちもそうなのかもしれない。
このへんを「不勉強だ!」とか「積極性が無い!」と片付けてしまうと置いてかれてしまうのではないかと思ってる今日この頃です。