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サイエンスコミュニケーションと〇つくば

おはこんばんにちは、しらぬひです。
今回は、先日自分が読んだ本を通して改めて「〇つくばの役割」について考えてみた、という内容です。
第一回地理つくばからもう3年以上、オンラインの今の形式になってからでももうすぐ2年が経とうとしており、そろそろ引継ぎも考えないとなあ……と思いつつある今日この頃です。もしこの内容を読んで、いい取り組みだなと思ったそこのあなたが、地理つくば並びにその他の〇つくばに登壇or運営になっていただければ、これ以上の喜びはありません。
そんなニューカマーが来てくれたらいいなとほのかな期待を胸に、書いていきたいと思います。

【おさらい兼宣伝】〇つくばとは何か

もしかしたら知らない方もおられるかもしれませんので、少し説明しますね。
〇つくばシリーズとは、筑波大学関係の有志が〇(この中にはさまざまな分野が入ります)について語ってくれるというトークイベントです。
地理つくばとはこのシリーズの一つで、地理について語ってくれるトークイベントです。
特に地理は内容の自由度が高く、人文系の話から生物系、工学系などなどに至るまで話すことが可能です。地理の懐は相当広いのですよ!
ちょうどこの記事を投稿した次の日(5月22日)の13:15より、第十回地理つくばが開催されます。お時間があればぜひのぞいてみてください。見逃し配信もあるので、そちらも活用してくださいね。

あと、関連する記事も置いておきます。この記事は地理つくばの運営側のお話ですが、もし〇つくばをやってみたい!という方がいましたら参考になるかと思いますので、ぜひご覧ください。

今回読んだ本について

独立行政法人 国立科学博物館編,『科学を伝え、社会とつなぐ サイエンスコミュニケーションのはじめかた』,丸善出版(2017).
リンク貼っておきますね。

この本は大学院生向けの『国立科学博物館サイエンスコミュニケータ養成実践講座』という講座のノウハウをまとめた本なんですが、大学生でも普通に読める内容になっています(専門知識なしでも読めるように書かれているので)。
サイエンスコミュニケーションというのは、「科学と一般の人びとをつなぎ,科学が文化として社会に定着していく過程」(p.iii)なんだそうですが、専門外の人にどのように専門的な研究内容を伝えればいいのかの方法から、実際にサイエンスコミュニケーションを行っている現場の話までさまざまな側面から書かれていて、読み物として相当濃くておもしろいです。
だいたいの図書館にはある本だと思うので、もしよければパラ見してみてくださいね。

本を読んで考えたこと

1.サイエンスコミュニケーションの前提について

サイエンスコミュニケーションってずっと言っていますが、具体例がないとよくわかんないよ!という方もいると思うのでまず具体例をあげます。
おそらく多くの方がイメージするのは、
・講演会やサイエンスカフェなどのトークイベント
・科学実験ショーや工作教室などの体験系
・ニュースの解説(ノーベル賞が発表されるときとかよくありますよね)
等なのではないでしょうか。
それだけではありません。ちょっと意外かもしれませんが、学校の授業もサイエンスコミュニケーションの一部にあたります。つまり、だれもがかならず一度はサイエンスコミュニケーションに参画しているというわけです。

……とはいうものの、です。
実はこの本に寄稿した人物は、8割くらいが大学院経験者で占められています。もちろんこの本の性質上、サイエンスを専門に扱う人々を多く採用しなくてはならないことから、そうなってしまうのも当然の結果ではあるのですが、なんというか、「大学院に行くのが前提」で、学士課程を修了しただけの人はお呼びではないのかなあ、という雰囲気を感じてしまいました。(サイエンスコミュニケータも大学院生対象ですしね)
しかし、先ほども言ったとおり、学校の授業も立派なサイエンスコミュニケーションです。ですが、皆さんご存知の通り、日本では大学院レベルの専門知識を身につけた学校の先生は相当少ないのが現実です。

地理つくばには、大学院に入っていなくても、自分の専門の話なら説明できる人が結構いるように感じます。サイエンスコミュニケーションは専門家→一般人、という構図だけではなく、学校の先生が生徒に教えるのと同じように、一般人(ちょっと詳しい)→一般人(詳しくない)という構図でも成り立つのではないでしょうか。

2.〇つくばの意義とは

ここで改めて〇つくばの意義を考えてみましょう。
①発表の練習の場になる
人生で誰しも一度は発表をしたことがあると思いますが、発表には多くの準備が必要になります。何分時間が与えられていて、どんな話をしなくてはいけないのか、そしてどんな質問が飛んでくると予想されるか、などなど。スピーチの練習も必要になることもありますね。ですが、大学生になってからは意外と発表を練習する場は少ない気がするのです。ゼミで数年ぶりに発表する、なんて方もいたのではないでしょうか。
そんな方に、〇つくばを経験と失敗の場として使っていただきたいな、と思います。ここでのポイントは「失敗の場でもある」ことです。発表に慣れるには練習あるのみです。ですから、アマチュアこそ練習が必要なのです。ぜひ、今後の発表をよりよくするための糧にしてください!
②他の分野を知るための第一歩になる
これは総合大学の強みを最大限に生かしている点だと思います。これだけさまざまな分野の話を無料で聞ける機会なんてそうそうありません。
あと、話してくださる方々は「専門外の人が聞いている」という前提に立って話してくださるので、話が理解できない……なんてこともあまりないと思います。ぜひ自分の専門とは関係ない〇つくばも覗いてみてくださいね。楽しい発見があると思います。
③Twitterでリアルタイムに反応がもらえる
これもかなり大切な点で、全部話し終わってから質問ありますか?とするよりも、Twitterでつぶやいてもらうことで発表者の邪魔をせずにその場その場の一瞬のリアクションをポンポンと出しやすいのではないか、と思います。参加者の些細な感想も、とても重要な〇つくばの構成要素なのです。
また、そのつぶやきによって、発表者は参加者の理解度を確かめたり、補足情報を提供しやすくなるという効果もあります。この方式は時たま大学の講義でも行われているのを見かけますが、もっとこの形式が増えていいのではないか、と思っています。

3.〇つくばはサイエンスコミュニケーションなのか

この記事を書くために、改めて本を読み直したりしていたら、もう結論は出ていました。
〇つくばは、立派なサイエンスコミュニケーションです。
実は、最初にこの本を読んだ時「〇つくばはサイエンスコミュニケーションと言えるのかな?」と不安になりました。専門性に欠けている、とか言われたりしないかと心配になったからです。
しかし、改めて考えてみると、専門性に欠けているなんてことは一切ないとわかりました。たしかに、〇つくばで発表してくださる方はだいたい学士課程の人びとですから、専門家と比べたら知識はないでしょう。だからといって、専門性に欠けている、というのとイコールではないのです。きちんと調べて、人に説明ができる程度にまで落とし込めているなら、その狭い範囲ではかなり専門性が高まっていると言えるでしょう。それだけで、サイエンスコミュニケーションに必要なものはそろっているはずです。

さいごに

学生がメインになっているサイエンスコミュニケーションの場が相当少ないのは事実です。だからこそ、この貴重な場を残し続けていきたい。
今地理つくばの運営は3人いますが、そのうち2人が院生になってしまっており、存続が困難な状況がまもなくやってくると思われます。
他の〇つくばも、同様に存続の危機に立たされています。
どうか、この記事を読んでいるどこかのあなたへ。
この活動を存続させるために、力を貸していただけませんか?
知識の有無は問いません。必要なのは、学問への興味だけです。
どうか、賛同してくださる方がいましたら、どの連絡先でもかまいませんのでご一報ください。
このようなお願いをするのは心苦しいですが、どうか、どうかよろしくお願いいたします。

それでは。
明日の地理つくばでお会いいたしましょう。

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