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【曲考察】ドルフィンの輪


透明な海の中を、私はただひたすら泳いでいた。息を止めて、深く、深く。そこには、波の中で揺れる2人だけの影があった。それはまるで、無言の対話を続けるように寄り添い、共に進む姿だった。

あの頃、私はまだ未熟で、何を信じればいいのか、どこに向かえばいいのかもわからなかった。ただ、見失いそうになる中で、誰かの背中にしがみつき、必死に泳ぎ続けていた。波にさらわれ、何度も迷い、立ち止まりそうになるたび、その背中は私を支え、進むべき道を教えてくれた。

その背中は、どこまでも大きく、温かく、私を包み込んでくれた。それは親だったり、長年の友人だったり、ここまで支えてくれた誰かの存在だったかもしれない。彼らは、私が迷い、臆病だった時にも、無理に急かすことなく、ただ静かに見守ってくれた。そして、信じることの強さを、言葉ではなく、その存在感で教えてくれた。

月の夜、寒さが頬を刺す中で、その背中に寄り添いながら、私は目を閉じた。怖くて目を開けることすらできなかったあの頃。けれど、その人がいてくれたおかげで、私は少しずつ自分を取り戻し、前に進む力を得た。彼らは、私にとっての「ドルフィンの輪」、つまり、私の守り神であり、私を導くことを象徴する存在でした。

「ドルフィンの輪」は、海の中を泳ぐイルカたちが、互いに寄り添い、守り合いながら進む姿に由来する。その輪の中で、弱い者は強い者に支えられ、傷ついた者は優しく庇われる。私たちもまた、誰かに支えられ、守られてきた。その恩を、どう返せばいいのだろうか。

今、私はその恩返しをするため再び海へと潜る。信じること、前に進むこと、そして誰かを支えること。その教えを胸に、私もまた、誰かの「ドルフィンの輪」になれるように。そして、その輪が広がっていくように。

波に乗せて運ばれた感謝の気持ちと、受けた恩を抱え、私は今日も泳ぎ続ける。それが、私にできる最高の恩返しだから。ドルフィンの輪のように、静かで確かな支えを、次の世代へと渡していきたい。そう願いながら。

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