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国語の足跡 色の意味【後編】

こんばんは、Shiraneです。
週一投稿のこのnoteも、書く度に時間の流れの速さを感じてなりません。

訳あってまだタイにいるのですが、タイ料理を口にする度に日本の冬、鍋が恋しくなります。

皆さんにとって、「冬と言えばコレ!」というものはなんでしょうか?
ぜひメッセージにて感想や貴方の冬を教えてもらえると嬉しいです👇👇

さて本日も先週に引き続き、色の印象表現に関するお話です。


1.前編の振り返り

前回は日本における青色は、青二才といった表現にあるように、
未熟半端者
といった意味を持っていることを紹介しました。

これらの言葉は農耕文化や時代背景によって生まれ、今に至るまで引き継がれています。

では、この”color explession”は青に限った話なのでしょうか。

もちろん、十人十色とまでにいかずとも、
各色によって色の持つ意味はそれぞれ違います。

今回は、学校でよく目にした色、赤色について振り返っていきます。

2.赤の由来は太陽にあり

皆さんは赤色と聞いた時、何を想像しますか?

私は体育の赤白帽・鬼をイメージしたのですが、古くの日本人は太陽こそ赤の象徴だったようです。

古く”赤”という単語には、色の一種を表すだけでなく
「明るい」
という意味もあったようです。

事実、赤の他人といった言葉は
全く関係のない相手だという、他者との関係性を明かすことを意味する言葉です。

ニュースバラエティー番組等で「芸能人が赤裸々告白!」みたいなキャッチが打たれているように、あの”赤裸々”という言葉にもはっきりさせるという意味が込められています。

このことから、”赤”は物事の明瞭さを示す意味合いがあったと取れますね。

ある記事で、
「色名は最初4つ(黒・赤・白・青)しかなかった」
ことが解説されていましたが、これにも合致する話ですね。
⇒もし良ければ、コチラからご一読下さい

この赤の意味、色と明瞭さは太陽に由来するとお伝えしましたが、
「赫」といった赤を2つ続けた漢字は色よりもその明るさが強調されているのは面白いですね。

余談ですが、色の濃淡を表す言葉は位やつながりの強さを表していました。
冠位十二階の階級分けや血縁の濃い(薄い)といった言葉はその名残です。

3.かわいいの意味から見た古語の変化

ここまで説明したように、赤は明るいという意味が根付いていました。
(今では印象・イメージに収まる限りだと思われますが……)

前編でも見られたように言葉の意味表現は時代と共に変遷をしていきます。
これは色に限らず明るいといった”形容詞”においても当てはまる話です。

高校では聞いたことがあるであろう、"かわいい"の意味


有名な話かわいいという言葉は古代、奈良時代においては、

「かわいそうだ みっともない」

といった、嘆きや同情に近い意味で用いられていました。

このかわいいについて調べていた時に面白い論文がありました。その中の一文をここで紹介します。

「…関心を持つ対象には多くの名称が生じ、いくつか区分がされる…」

『「かわいい」と思う感情を表現する語の変遷 -古語辞典・国語辞典の記述分析- 』より

赤という表現は、時代が経つにつれて意味が変わっただけでなく、色がより区分されてきました。

最初は4色しかなかった日本の色名は現在、256色まで拡張したそうです。
それとともに、色が持つ意味は単純化していったと考えられます。

有名な8-bitカラー

青二才・赤の他人といった言葉も最近はあまり聞かない気がします。

言葉の複雑化は言葉の多義性を失うと同時、奥ゆかしさのようなものを失うと言えるかもしれません。

色の印象表現は少なからず現代を写し取っているのかもしれませんね。

4.最後に

今回は赤色の古き意味と言葉の幅の縮小をお話ししました。

書いて今思うのは、
赤の対比とは何だろう
という素朴な疑問です。


ここでは青の対比として赤を扱いましたが、昔の日本のように黒であってもいい訳です。
もちろん、紅白をかたどった白もいいでしょう。

価値観多様な現代、何が正解という訳でもないと思います。
ですが、赤という色彩の単語にはその色にだけでは収まらないイメージを私達一人一人が持っているのだと思わずにはいられません。

色から見る言語の発掘はこれにて終了です。
次回も月曜日に更新予定です。

それでは、素敵な12月第3週をともに。

参考:
・ダイヤモンド出版の紹介記事
ポーポー・ポロダクション『決定版色彩心理図鑑』 
1月24日公開 ※引用先でリンク参照可


・宇治川正人 
『「かわいい」と思う感情を表現する語の変遷 -古語辞典・国語辞典の記述分析- 』12月11日閲覧

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