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ときメモGSの学園演劇って結局どういう意味やねん!?〜設楽聖司編〜

GSを愛してやまない皆様方

「学園演劇、なんかいいお話とスチルが出たけど元ネタとかよくわからんかったな……」
と思ったことはありませんか?

「キャラにあった題材を選んでいるのはなんとなくわかるけど、結局どういう意味なの?」
「彼のアドリブの元ネタは?」


そう疑問に思ったことはありませんか?
私はめちゃくちゃあります。あるので調べてきました。

というわけで今回は、ときめきメモリアルGirl's side 3rd storyにおける設楽聖司の学園演劇の元ネタである、
チェーホフの「かもめ」の新訳を読み込み、考察した結果をまとめました

かもめパタパタで草


かもめってどんなお話?


※チェーホフ「かもめ」とは※
ロシアの作家チェーホフが1895年に執筆した戯曲(お芝居の台本のこと)
著者の代表作を並べた「四大戯曲」のうちの一つ

このおじが書いたよ


以下、主役の二人にフォーカスしためちゃくちゃざっくりしたあらすじ↓

舞台は19世紀末ロシア
設楽先輩が演じたのは、田舎で燻る作家志望の若者コースチャ
私たちバンビが演じたのは、その恋人であり世間知らずで裕福な地主の娘ニーナ

コースチャは恋人ニーナを主演に据えて戯曲を書き下ろし、有名な女優である母や作家であるその恋人トリゴーリンの前で披露しますが、失敗に終わります。

才能ある人の息子に生まれながら才能に恵まれない自身に絶望し、塞ぎ込むコースチャと、恋人の母の伴侶である作家トリゴーリンに惹かれ始めるニーナ。

ニーナは才能あるトリゴーリンやコースチャの母に触発され、女優を志すようになります。
恋心にも背中を押され、結局コースチャを田舎に捨て置き、トリゴーリンについてモスクワに発ってしまったニーナ。

二年後、コースチャは一人前の作家に、ニーナは売れない女優になって再会。ニーナはトリゴーリンの子供を産むも、コースチャの母と別れられなかったトリゴーリンに捨てられ、子供にも先立たれて一人貧しく売れない女優人生を続けていました。

ニーナを忘れられないコースチャはニーナに「行かないでくれ」「でなければ僕を連れて行ってくれ」と縋りつきますが、

「あなたは作家、私は女優、あなたも私も人生の渦に巻き込まれた……」
「もう本物の女優よ。演技に喜びを感じ、感激し、舞台に陶酔し、自分がとても美しいと思える」
と言い、

恋と夢に破れ一流の女優にはなれていなくても自分の道を進むのだと、コースチャの手を払いのけます。

コースチャは絶望し、拳銃自殺を遂げて閉幕。


……乙女ゲームのスチルという「ときめかせなければいけない」場面において、かなり挑戦的かつ悲劇的な物語のチョイスであることがおわかりでしょうか。(この演劇は分類上喜劇とされていますが)

設楽先輩が演じたコースチャは精神薄弱で終始情緒不安定ですし、人気作家である母の恋人トリゴーリンに強い劣等感と細やかな忌々しさを抱いています。
かっこいい場面やときめくラブロマンスはほぼありません。(※個人の感想です)

それでも製作陣が、設楽聖司という少年の物語を描くにあたってこの古い戯曲を題材に選んだのは、『愛と才能に翻弄される若者たち』がテーマのひとつとしてあるからだと私は考えます。

自身では才能がないと自嘲しながらもその才能を開花させ、夢だった作家になれたが愛に満たされなかったコースチャ
才能にはそれほど恵まれなくとも、自身が夢見た道を進み、幸せでなくとも愛に生きるニーナ

この二人の対照的な顛末は、才能とともに歩むと決めたばかりである設楽聖司の17歳の秋において、とても重大な意味を持ちます。
以下、それについての考察です。


「かもめ」のここがエモい!


設楽先輩とは正反対な役柄

設楽先輩が演じるコースチャは伯父の家に厄介になっている作家志望のパラサイトで、みすぼらしい格好をし、なかなか才能が花開かず燻っています。

(※先輩が着ていた衣装がちゃんと綺麗なのは、作家として売れた後のシーンだから)

可愛くて明るい恋人ニーナだけが心の拠り所で、彼女といるとき以外は自分と対照的に有名な母やその伴侶への劣等感でうじうじ……
幼い頃から神童と謳われ、その才能をもてはやされてきた設楽先輩とは全くの正反対です。

そんな先輩が才能ある者を僻んだり貶したりして、最終的にその『才能ある者』に全てを奪われる役柄というのは、
彼がこれまで無意識に蹴散らしてきた『才能なき者』の追体験であり、
そういった才能と才能がぶつかり合う、厳しく残酷な勝負事の世界を歩んでいくのだという、先輩のこれからを暗示しているかのようです


「決意」のその先を描く

2年目の秋、音楽室のイベントで、設楽先輩はずっと逃げ続けていた音楽の道に再挑戦する決意を語ります。そのすぐ後に演じることになる「かもめ」の台本。
先輩の決意を嘲笑うかのように、才能ある者もなき者も悲劇的な結末を迎えるお話です。

才能が花開いたって愛がなければ幸せになれるとは限らない。才能を信じて夢と愛を追いかけたって、報われるとは限らない。
初めての恋と夢に揺れる17歳の少年には、考えさせられるものがあったのでしょう。

いくら神童ともてはやされても、上には上がいるということを知っている設楽先輩は、自身の未来がコースチャになる可能性もニーナになる可能性もあると感じたはずです。

だからこそ、破滅してでも夢を追うニーナに自分を重ねて、まるで自問自答するかのように、アドリブで「才能に一途になんて、どれだけ残酷な賭けか理解しているのですか?」と尋ねたのですね。

葛藤の答えが劇中に

そんな問いかけの答えを待たずに「いい、行けよ」とニーナを突き放す形でアドリブは元に戻り、ゲーム中の演劇は終了します。
ですが、その問いかけの答えのようなものが原作にあるのです。

「肝心なのは耐える能力なの」
「私は信じているから、そんなに辛くはないわ。自分の天職を考えると、生きていることも辛くはない」

すでに才能が開花してそれなりの名声を手にしているコースチャに向かって、未だ才能が開かぬニーナがそう言うのです。

重要なのは忍耐と信じる力であって、自身の才能と夢を信じてさえいれば『残酷な賭け』だって辛くはない。
賭けの結果が出るのは、きっと人生の最後だろうから。

設楽先輩がいま直面している『一生を元手にした危険で残酷な賭け』に飛び込むための、後押しになるような台詞だと思います。


設楽先輩が酷評する脚本

そうして一見、設楽先輩にとって感慨深く面白い筋書きにも見える学園演劇「かもめ」ですが、作中で彼はこの台本を「ご都合主義」とこき下ろします。

「一番気に食わないのはお前の台詞だ。才能を殺すなとか才能が浮かばれないとか、いちいち痛いんだよ」

たとえ才能に恵まれていなくたって、自分はピアニストを志していた。それくらいこの道を信じている。私はこの台詞が、そう言っているように聞こえてなりません。

愛と才能どちらかしか手に入れられないこの台本を「ご都合主義」とこき下ろす。
それは、愛も才能もどちらも開花させてみせるという、設楽先輩の新たな決意の表れのように見えます。


「かもめ」のここが激萌え!!


個人的解釈ねじねじのおもんな考察はここまでにして、ここからはシンプルに
「これを設楽先輩が演じるとか最高!」
というきしょきしょ萌え語りをさせて頂こうと思います。というかこれがマジでやりたかった。

設楽先輩がピアノを弾く

設楽先輩演じるコースチャは、作中で物憂げな気分になるとピアノを弾きます。
舞台上で演奏する姿を観客に見せるわけではなく、遠くの部屋から聞こえてくるというワンシーンの演出なので、
はば学の学園演劇において実際に演奏しているかはわかりませんが、もしかしたら舞台裏で実際に弾いたり事前に録音したものを流したり、そうした工夫の上で上演しているのかもしれません。

かなりの量の台詞を覚えなければいけないしピアノも弾かなければいけない設楽先輩の負担、こう考えると爆デカでわろたでございますわね……

しかし、こうして見ると設楽先輩に限らず、はば学における学園演劇というのは主演本人の趣向や人柄に寄った演目が常に上演されているので、
主演が選出された後、その人に合わせて脚本担当が演目を選ぶという仕組みになっている可能性が高いなと個人的に思いました。

なので「かもめ」が選ばれた経緯も、設楽先輩が『才能あるピアニスト』であるということを考慮した結果なのかもしれませんね。


設楽先輩がメロ台詞を吐く

恋人のニーナ(演バンビ)に依存気味のコースチャは求愛の言葉を惜しみません。

「そんなにすぐ帰らないで、お願いだから」
「一晩中庭に立って、君の窓を見つめているよ」
「自分の心が永遠に君に惹きつけられていることを、一瞬も忘れたことはなかった」
「彼女なしじゃ生きられない」
「魔法使い、僕の夢……」
(←この台詞めっちゃ好き)

一度捨てられても忘れられないくらい深くニーナを愛している(正確に言えば縋っている?)
コースチャを演じるため、多くの観客や裏方生徒の前でこのメロ台詞を吐く設楽先輩。

想像するだけで、シタラーズの皆様たちは口内に唾液がたまってくるに違いありません私もそうでした

この顔の良さでメロつかせ祭りです

熱烈キスシーン

二人は恋人同士なのでもちろんチッッッッッッッスシーンがあるんですよね(感謝)(号泣)(祝辞)
夜の湖畔で二人きりになり、周囲の目を気にしながら「誰かいるみたい……」と呟くバンビ(ニーナ)に

「僕たちだけだよ」
「誰もいないさ」


と囁いてチッッッッッッッッッスする設楽先輩……^q^(古代神聖顔文字)

ニーナにはもちろん、家族の手にキスするシーンもたっっっくさんあるので、
そういうシーンで嫉妬したりされたりガチめのキスシーンでぎゃいぎゃい揉めたりする設バンを想像するとそれだけで寿命が延び縮みしてしまいます。

この駄文をご覧のそこの神絵師様・神字書き様!!
このネタで100億冊同人誌作れます!!お願いします!!素敵な二次創作で私を救ってください!!


最後に

いかがでしたか?(アフィカステンプレ)
あくまで個人的解釈であり、設バン萌え〜というオタクが萌え語りするための記事なので、
物語の他の部分を大幅カットしたり、都合よく解釈したり、内容をぎゅぎゅっと要約したりしています。

GS3本編に出てきた「はば学Ver」も台詞や人物の性格をかなり改変している傾向があるので、
気になる方はぜひ実際の演劇を鑑賞したり本を読んだりして原作に触れてみてください。

そして素敵な二次創作を私にください


参考文献
かもめ (集英社文庫)https://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/4087606511?psc=1&ref=ppx_pop_mob_b_asin_image

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