GS4からGSを知った女がシリーズ全作をプレイしてみた感想

※本記事はSwitch移植をきっかけにGS過去作をプレイしたGS初心者による、シリーズ全体への感想を綴ったものであり、特定のナンバーや作品を非難する意図はございません。ご留意の上お読みください※


根幹のシステムがよくできている


4しかやったことのなかった私がいきなり20年前の初代をプレイしても理解できたくらいに、ときめきメモリアルというシリーズは根本のシステムをほとんど変えていません

キャクターに応じたパラメーターを上げて、それによって関係を深め、スチルを解放し、ときには隠しキャラも登場する……

予想外のハプニングがあったり一つ一つの選択肢が重要だったり、非常にバランスよくできているシステムなので、変える必要がないんですね

これはKONAMIの別作品「桃鉄」シリーズのTV特集にて関係者が語っていたのですが「根幹のシステムはそのままに、ほんの少しの要素を追加するのがロングヒットのコツ」なのだそうです。ときメモはもちろん、パワプロ等もそうですね

だからこそどこから始めても面白い、というのはかなりの強みだと思います

それに、その「ほんの少しの追加要素」が面白いんですよね

2の事故チューや3の三角関係、4の仲良し4人グループ等、
同じシステムでも同じゲームをやっている感覚にならないのは、そういった追加要素のおかげなんですね


世相を表している


これは佐伯瑛初見感想でもキモ語りしたことなんですが、その当時に流行っていた作品や人気のキャラに影響を受けているのかな?といったキャラがちらほらいますし、
メーリングリストといった今は聞かない懐かしい単語やメールの顔文字のチョイスなどで、発売当時の時代の空気を思い切り吸えてとても楽しいです

何より、初代ではコメディ的なイベントや、キャラクターの奇抜さを表す要素でしかなかった「女装」が、

4では七ツ森実という一人の男の子のパーソナリティや趣味の一部分として描かれているあたりに時の流れを感じました

そういった時代の変化がわかるのも長寿シリーズの面白いところです

5では攻略男子とビデオ通話したりSNSが見られたりするといいですね
流行男子も、動画配信者とかが現れてもおかしくないです


かなり挑戦的なキャラ造形


過去作をプレイしてみて真っ先に思ったのは、4と違って「我々プレイヤーを『もてなす』男子ばかりではない」ということです

特に私の最愛の男・真嶋太郎などは愛されるより先にヒロインの方から愛を注がなくてはなりませんし、
だからといってときめくイベントや幸せな展開ばかりが起こるわけではありません

初手から冷たくあたる子もいれば、初デートで1時間遅刻してくる子もいます

強い言い方になりますが「おまえ」呼びでイライラしてる人は過去作やったら血管ブチ切れちゃうと思います

でも、新参の私は「それがいい」と感じました
彼らは乙女ゲームの攻略キャラですが、だからといってホストのようにこちらをもてなすのが役割ではないからです

短所も長所もたくさんあって、時にはヒロインに格好悪いところを見せながらも、共に成長していくGS男子たち

そんな彼らの、思春期ならではの不完全さや未成熟さを楽しんで、最終的にはその短所を含めてまるごと愛せるようになるのがGSの面白いところです

どちらか一方が奉仕するのではなく、互いをよく知って関係を深めていくという現実的な恋が楽しめる仕様は、恋愛ゲームとして非常によくできていると思います

きっと製作陣も、どれだけ『優しくない』キャラを作ろうとも「きっとこの子を愛してくれるはず」とプレイヤーを信じていて、
我々プレイヤーもまたどこかで「GSならどんな子でも好きにさせてくれるはず」とGSシリーズを信じているんでしょう

そんな信頼関係を過去作からは感じました


『優しい子』ばかりのGS4


では過去作と比べて、みんな情緒が安定していてヒロインに優しい4はどうなんだ、という話ですよね

結論から言うと「あれはあれでいい」と私は思います

令和の女性向けジャンルのトレンドは「溺愛」——みんな、無条件でいきなり愛してくれる玲太くんみたいな存在を無意識に求めています

男性向けジャンルでは暴力ヒロインが絶滅して久しく、オタクに優しいギャルなんてものが流行る有様で、
女性向けジャンルではドSキャラやツンデレキャラが減少しつつある昨今、

『優しくない』キャラやツンデレキャラを乙女ゲームで作るには、デレ成分強めな氷室一紀が精一杯なのだと思います

ストレスフルな現実を生きる現代人は、二次元に触れているときくらいストレスを感じずにいたいんです。それもまた、先述のとおり「世相を表している」のだと思います

でもだからこそ、4はシリーズの間口を広げたと言えます

爆弾がつきにくくなっていて難易度も低いですし、キャラクターもとっつきやすい子ばかりなので、
私のように乙女ゲームをやったことのない人でも気軽に始められます

万人に優しい彼らのおかげで万人が楽しめる仕様になっていると思います。結果、過去作にも興味を抱いてもらいやすくなりました

GS4は令和に生まれた最高の「GS入門編」だと思います


かなりすごいぞ!GS3


ここで改めて念押ししますが、私はGSシリーズ全てが好きです。強いて好きなナンバーをあげるなら、GS2の海を感じる雰囲気が一番好きですが、それでも全作品を愛しています

それを差し引いても言えるのが「GS3すげえ」ということです

購入したばかりでまだ半分も進められていないのですが、シリーズどうこうではなく一つのゲーム作品として非常によくできていると感じました

他キャラの好感度を上げすぎても下げすぎてもいけない、非常に厳しいスチル回収やイベント発生の難易度、
全デートスポットに三人デートの会話が用意されているという特大ボリューム、ADVやファッション属性の組み合わせを最初に採用した発想力……

挙げればきりがないほど大胆なシステム改革やファンサービスを盛り込んでいて、
誰が好きとかどのシリーズが好きとかそういった個人感情をぬきにして、
一つのゲームとしての完成度がとてつもないです

発売当時の先輩方がどのような悲鳴をあげながらGS3をプレイしたのか非常に気になります

あまりにも大胆なシステム改革なので、賛否両論あったであろうことは想像に難くありませんが、それでも製作陣の「最高のGSにするぞ!」という気概を感じます

というか「これが最後だから派手にやろうぜ!」という空気すらありますね……そう考えると、GS4が発売された奇跡に感謝です。おかげで私と太郎が結ばれました


シナリオももちろん素晴らしく、初代や2とは違いキャラ同士の関係性や会話を楽しむことに重点を置いたイベントの数々ににやりとしてしまいます

それまでは「私」と「気になる彼」の二人を中心に物語が展開されていったのに対し、
3は「あの子から見た彼」「彼から見た私」など、様々な角度で恋愛模様を観察できる仕組みになっているので、非常にやりごたえがあるんですよね

キャラデザに関しても、Z世代でもとっつきやすい子達が多いので、GS未経験者にすすめるなら4か3がいいと思います

皆さん、ザビエルになった気持ちで布教しまくりましょうね

(ただ、難易度の高さやシステムの複雑さがややGS上級者向けなので4→3とすすめるのがいいかもしれません)


ちょっと文学的なGS2


ここまで書いて各ナンバーの思い出が蘇ってきたので蛇足ついでに書くと、
GS2は少し文学の香りがしてとても好きなんですよね

海沿いの街という設定の、潮の香りが漂ってくるような雰囲気のせいもあるのだと思いますが、
少ししんみりするお話や仄暗いバックストーリーが多く盛り込まれていて、とても読みごたえのあるシナリオになっています

(コメディ要素が多めでドタバタ学園ラブといった感じの初代と差別化を図ったのかもしれません)

追加キャラである真嶋太郎・古森くんの二人はかなり切なくてほろ苦くて胸が苦しくなるようなお話ですし、佐伯瑛や若王子先生などは言わずもがなです

思春期のキラキラした部分だけじゃなくて「痛み」や「残酷さ」も隠さず描いているんです

しかもEDがすごくしっとりしたバラードで、余韻をもたせるつくりになっているのもうまいところです

「あのセリフはこういう意味だったのかな」「あのイベントってそういうことだったんだ」と、深いシナリオをプレイヤーが噛み締めるための時間になっているんですよね

もしこれを読んでいるあなたがGS2未プレイならば、絶対にやって後悔しないと太鼓判を押させていただきます。まずは佐伯瑛からどうぞ


ザ・少女漫画なGS1


初代GSの最大の特徴は「ザ・少女漫画」なところです。それも、平成初期の少女漫画

当時大ヒットしていた「花より男子」の花沢類を思わせる不思議系王子にはじまり、関西弁のナンパ男少しぶっきらぼうなスポーツ男子等、当時の少女漫画に必ず一人はいるような「定番中の定番」属性が目白押しです

これは決して悪い意味ではなく「だからこそ誰もが親しみを持てるし、一瞬で世界に引き込まれる」ということです

「この子、あの漫画の◯◯くんみたいでいいな〜」と思って攻略を始めると、意外な一面や展開に足をすくわれ、
最終的に「◯◯くんに似てるからいい」ではなく「この子のここがいい!」となるのが初代様の恐ろしいところ

シナリオも少女漫画らしくコメディ要素が多めなのですが、
だからこそふいにやってくる「ベタだけどきゅんとしちゃう」セリフやイベントに「悔しいけど好きになっちゃう……!」と発狂すること間違いなしです

王道には王道たる所以がある。この言葉の意味を嫌でもわからされる初代GS、やらないなんてもったいないですよ!


GS5は出るのか問題


GSの先輩方も気になっていらっしゃると思いますが、私もめちゃくちゃ気になっています

GS4が現在の実況文化と奇跡的なマッチングを果たし、新規がたくさん増えて過去作の移植もされた今、非常に期待感が高まっているように見えます

公式もグッズやコラボをバンバン出して

「まだいけるよね……?君たちまだGSのこと好きだよね……?グッズ買ってくれるよね……?」

とこちらの顔色をうかがっているような雰囲気を出していて、どうしたって期待してしまいます

というか、我々ファンの購買力を試しているような感じすらありますよね。グッズやコラボの売り上げ次第で続編が決まりそうです

ええから自分とこのコンテンツに自信持って、グッズの在庫にゆとりもたせんかい!続編作らんかい!と背中を押したくなります

GS5が制作されることを願って、グッズや二次創作や布教等、
みなさんの思い思いの形でGSを愛して応援していきましょう



キモ語り、乱文失礼いたしました

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