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【Rhinoceros】階段の検討を半自動化したい
この記事は建築学科の学生や設計事務所の実務者でRhinocerosを使いたい方に向けて執筆しています。
みなさんも普段、設計初期の段階でスケッチを多用したり、ラフなプランをCADで描き始めたりすると思います。
部屋や廊下を並べていくことは、大きくスケールを外すことなく、問題にならないと思いますが、その中でも階段や階段室は一番厄介となる検討箇所ではないでしょうか。
敷地と建物の広さに余裕があればそれほど問題はないと思いますが、一般的にそこまで余裕があるプロジェクトはまれです。その場合、計画初期にこの程度余裕を見て作っておけば大丈夫だろうと思って引いていた線が、実は法規を満たさない寸法になっていたり、階高と段数の関係を読み違えていたために、後々階段室の形を広げ、階段を伸ばすなどの対応をしたりと、手戻りが起こると思います。また、自由曲線となればさらに大きな手間がかかります。
階段は立体的な空間であり、他の要素と比べて初期の計画段階から検討負荷が高くなりがちです。これを自由に引いた1本の線から自動的に作ることが出来れば、検討のスピードを早め、後々の手戻りも減ると思います。
下記ではRhinocerosで自由に引いた曲線を元に、
・階高に合わせた蹴上寸法の自動割付け
・曲線の長さに合わせた踏面寸法の自動割付け
・さらに、建築基準法に則った踊り場の自動生成
ができるようなGrasshopperのベースとなる考え方について紹介しています。
※詳細はVimeoのオンデマンドページにて配信中
基準カーブから階段の外形を作る
まずはGrasshopperに渡すための基準となる平面曲線をRhinocerosで作成します。
基本設計の初期段階では、位置やサイズ、階段の向き等の大きな変更を繰り返す頻度が高くなるので、なるべくシンプルなカーブをGrasshopperに渡せるよう、高さが0の平面カーブを1本だけつくります。
(この動画では極力単純なカーブを条件にするため、ポリラインは対象外としています。)
また、回り階段の場合は、階段の内側から300mm外側にオフセットした位置の寸法が法的に必要な踏面寸法に該当するので、ここで引くカーブは内側の桁面位置に当たります。これを階段幅の分だけ外側にオフセットすることで、階段の平面的な外形を作ることができます。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82128054/picture_pc_fa121cefac0d18cae9a51f16c8af6d36.gif)
蹴上・踏面寸法の自動化
作成した外形線に面を貼って高さ方向で割ることで、蹴上を自動的に作ることができます。このアルゴリズムでは、設定した階高に対して、守るべき目安となる蹴上を入力すると、それを守った割付段数を出力するようにしています。これに踏面となるサーフェスをつくれば、1本の平面曲線から立体的な階段形状を自動的に作成・更新するGrasshopperを組むことができました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82128299/picture_pc_23441284bc7192b647094aa8debff134.gif?width=1200)
踊り場配置の自動化
上記のアルゴリズムでは、
①上階に余った不要な段数がそのまま残ってしまう
②法的に踊り場が必要な場合に対応できない
という課題点が残っています。
①はそのままでも使うことはできますが、②は規模が大きくなった場合に不便を強いられることになってしまいます。
これを条件分岐で対応させたのが動画シリーズver2の内容です。
建築基準法では施行令第24条第1項で、階段の高さが3mまたは4mを超える場合に、踊場を設けるよう規定されています。
動画本編では3mを境界条件とした場合を例に、階段の高さで条件分岐を作って踊り場の有り/無しを自動で判定するような組み立て方を紹介しています。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82129460/picture_pc_cbe973d56888c402b545ef8d0764bc4b.gif?width=1200)
ここまで盛り込んだGrasshopperがあれば、多くのプロジェクトで初期段階の検討に広く使うことができそうです。
もちろん、上記以外にも手摺を加えたり、蹴込部分の奥行寸法の設定も含めたりといった、より複雑な検討ができるように処理を追加していくことも可能です。
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