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100の出来ない理由を考えるより、たったひとつの出来る道を探すこと~海老原宏美さんが繋いでくれた縁~

タイトル写真は、2014年の51歳の誕生日のポートレートを亀山ののこさんに撮ってもらったものだ。私が誕生日プレゼントに欲しかったのは、ずっと”ひとりの時間”だった。この日も、次郎にはショートステイに行ってもらって、”ひとりの時間”を確保した。

そうやって、自分にプレゼントした”ひとりの時間”に読んだ本の題名も覚えている。「バリアフリーのその先へ!車いすの3.11」朝霧裕著<岩波書店>だ。著者が震災当時車いすで池袋に居た状況が描かれていて、エレベーターもすべて止まった状態で、車いすでは逃げることが難しく、ヘルパーさんとのやり取りに、あわや電車の中で泣きそうになった本だ。そして、天災は防げないけれど、人災である原発事故は防げたはずと脱原発運動に飛び込んでいく様子が描かれていた。

私も、当時、脱原発の集会やデモに参加していた。それこそ亀山ののこさんに出会ったのも、脱原発の集まりだった。あまりに感激したこの本は、「100人の母たち~”原発”のない世界へ。私は子どもを守りたい。~」<南方新書>の著者でもある亀山ののこさんに「いいから読んで!」とあげたのだった。


あれから7年後の先日、なんと、その著者・朝霧裕さんからメッセージをいただいた。それは1/6にアップしたこの記事↓がきっかけだった。

昨年末に旅立った海老原宏美さんのことを書くことは、実はとっても勇気のいることだった。なぜなら、海老原さんとの思い出を、私の記事で上書きされたくない方もいらっしゃると思ったからだ。

ところが、海老原さんの長年の友人である朝霧裕さんが、私のこの記事を読み、「えびさんがおのおのに残してくれた火を、書き語るひとりでありたい。」とメッセージをくださった。ああ、よかった。私が悲しみのあまり、ひとりよがりにあらぬ方向に走り始めたわけではなかった。『一緒に歩みましょう』と朝霧裕さんが声をかけてくださって、心を落ち着かせることが出来た。あたふたする私に、天国から海老原さんがお友達をよこしてくれたらしいw

そして、積もる話をしている間に、あれよあれよと、朝霧裕さん=だっこさんの主催するトークショーへご招待くださった。小澤綾子さんとのネット番組だ。(私たちの出演は2022年1月24日夜8時~ライブ。アーカイブも残るので、ぜひ見てください)


出演に先立ち、お二人のご著書を取り寄せた。朝霧裕さんの「車いすの歌姫~一度の命を抱きしめて~」<KKベストセラーズ>、「命いっぱいに、恋~車いすのラブソング~」<水曜社>、それから小沢綾子さんの詩集「10年前の君へ~筋ジストロフィーと生きる~」<百年書房>

一気に読んだ。

特に、だっこさんの「車いすの歌姫」はフリガナ付きで、字も大きく、老眼の進む私にも読みやすい本になっていて助かった。でもおそらくは、若い人に読んでほしいと思って書いてくださったことがうかがわれる。

例えば『人は幸せになるために生きているんだよ。』(P93)と言い、『亡くなった仲間の分まで生きる!』(P185)と誓い、『人は、どんな身体、どんな心に生まれても、誰もが、「生まれてきてよかった。生きてきてよかった」と感じながら、幸せの中に生きる権利があるのだと、私は、伝え続けてゆきます。』(P256)と書いている。

そして、『障害をもつ子どもさんやお母さん、お父さんも同じです。みなさんは、この社会に、物質的な豊さではなく、まず、「人間を大切にする」「命を大切にする」という価値観を生み出す大切な力です。』(P256)と励ましてくれている。

でも、障害者ってだけで、めちゃくちゃ叩かれてもきた。『国に食わせてもらっているくせに』(P199)とか『お前らは障害者なんだから、夢を持ったって叶うはずがない』(P104)とか。驚くことに、福祉職の人や、教師からも。そんな身近な人からの否定の言葉で、コンプレックスを抱え、心にブレーキがかかることになるだっこさん。彼女は、いかにして夢を実現してきたのか?ハラハラドキドキ!一気に読んだ。

読んで、やはり思う。障害者こそが、夢と希望を届ける使者なのだろうと。そして、さらに思う。海老原さんもだけど、だっこさんも、綾子さんも、天使ではないだろうかwヘイトに愛を返し続けられるって、なにかの妖精かもしれないw

私には、ひとつ確信がある。みんなが幸せな社会になれば、差別はなくなるということ。幸せな人が人を叩いたり、いじめたりするとは思えないから。問題は、幸せって何?ってことだ。

おそらく、これは個人的な問題ではなく、社会課題なのだと思うから、考え方次第というわけにはいかない。今にも、追い詰められてどうしようもなくなっている人がいるかもしれない。経済的にも、肉体的にも、精神的に辛い状況を解決できるのは政治なのだと思う。ただ傷つけることを少し忘れる話は出来るかもしれない。私たちの強みは、弱いことだから。弱いからこそ助け合ってきたから。踏みつけられても立ち上がってきたから。

タイトルの「100の出来ない理由を考えるより、ひとつの出来る道を探すこと」これは小沢綾子さん、朝霧裕さんを思う時、浮かんだ言葉だ。潔くて前向きで、明るくて楽しいのは、一度しかない人生を後悔しないように生ききろうという決意があるからなんだと思う。

そんな彼女たちとのトークショー、楽しみでワクワクが止まらない。きっと、海老原さんも天国からリモート出演してくれると思うw

2022年1月24日夜8時~どうか、見てほしい。






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