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【ネタバレ】無事故な2022水着イベの感想【アンゼロ】

リリース3ヶ月にして13人中5人の男が鎖骨から臍にかけての浅い"溝"を晒すという安売り加減に心配になったものの、イベストは安定の面白さでした。というか、回を追うごとに面白くなっています。書き手側にもキャラが定着してきた印象ですね(評論家)。

ここから先は「はい・さまあ・ろまんす」のイベストを読んだ感想です。ネタバレしかしていないのでご留意ください。

春野さんルート

春野さんルートは、メイメイたちが手伝う海の家を訪れた春野さん・秋元さんが、病気で入院している女の子・七海ちゃんとライブ通話で海を堪能する話。マジョキュアの話をさんざん聞かされ、覚えてしまった春野さんと秋元さん、すっかり七海ちゃんにほだされていました。

スマホを介して4人はバナナボートやビーチフラッグで遊ぶけれど、七海ちゃんの容態が悪化して……という定番ストーリー。最終的には七海ちゃんは回復に向かい、ハッピーエンドで良かったです。3人でお見舞いに行く話とか、4人で遊びに行く話を読ませてください、課金するから……!

全シーンが可愛かったり切なかったりして言いたいことが多すぎ、語り始めると原作の10倍の文字数になってしまうこと不可避です。言いたいことをどうにかひと言でまとめるなら「疑似家族」でした。春野パパ、メイママ、娘の七海ちゃんでしたね。絶妙なタイミングで存在感を消す秋元さんは忍者か?

中でも脳内麻薬の洪水が起きたのが、メイメイの水着を選ぶシーンです。水着を持っていないメイメイ(海の家での接客はどんな格好だったの?)が「装備」から整えるということで、春野家総出で水着を買いに行きました。

ある水着を手に取ったメイメイに、春野さんは「いいと思う」と言い、七海ちゃんは「地味」と言って……ママの水着に意見するパパと娘ちゃんですよね? 変な虫がつかないように落ち着いたデザインのを着て欲しいパパ、マジョキュアみたいに可愛い水着を着て欲しい娘ちゃん。春メイ結婚後の世界線を見ているようで涙腺が崩壊しました。その涙を秋元さんのパーカーの裾で拭う。

バナナボートでメイメイを支えてあげたり、ビーチフラッグに飛び込むメイメイを受け止めたり、春野さんは過保護なくらい先回りしてママ……もといメイメイを守っておりました。ビーチフラッグのシーン凄くない? 目隠しした水着メイメイが水着春野さんの腕に飛び込むんだよ? えっちすぎる。

目の前で繰り広げられるめくるめく春メイに対して我関せずな秋元さんが唯一介入したのが、序盤のあるシーン。春野さんがメイメイに「君の正直なところは魅力的だ、俺はとても良いと思う」と言ったとき、「それ口説いてますよ」と指摘しました。

しかし「え?」「え?」と2人そろって鈍感なのでありました。このとき秋元さんが「無事故、無事故」と言ったのですが……普段、春野さんは事故を起こしまくっているということでしょうか? さすが、逮捕した人数よりも殺した女のほうが多い男……。(当社調べ)

普段の交流でも春野さんは思わせぶりなことをわんこそばのように惜しみなく言いますが、本人は無自覚なのでこっちがもだもだするのです。今回のイベストでは秋元さんが「口説いてます」とユーザーの気持ちを代弁してくれたので、「よくぞ言ってくれました!」と秋元さんに大拍手を送りました。

こんな調子でハッピーに海を満喫するものの、七海ちゃんの体調の悪化がターニングポイントとなり、メイメイはお悩みモードへ。友達という概念がよく分からないメイメイは、自分に何ができるのか春野さんに相談します。

このときのメイメイの気持ちには共感しかありませんでした。幼い頃は、友達とは何かを考える前に友達ができたし、遠慮しない関係を簡単に築くことができたのに、大人になると考えることが多すぎる。「私があの人に○○したら迷惑だろうか。そもそも私はあの人とこれくらいの距離だと思っているけれど、向こうはもっと離れていると思っているのでは」と自問自答しているうちに疲れて眠ってしまうし、起きる頃にはどうでもよくなっている。

悩む妻に対して春野さんが出したのは、「寄り添う」という答え。この言葉は、昼間の遊びパートで春野さんがメイメイに対して取って来た行動そのものでした。普段は空気に徹して見守るスタンスを貫いているのに、大事なときには必ず傍に来てフォローする。とても地味な行動だけど、自我を極限まで抑え込んだ健気な愛だと思いませんか。弟と妹のお世話で培った兄属性の温かな愛し方でした。

達観して物分かりの良い春野さんらしい一面が見られた……けど、いつかその余裕が崩れるところが見たい。目を血走らせて、メイメイに近づく男を片っ端から背負い投げするところが見たい。春野さん、森のくまさんから獰猛なヒグマに覚醒するんだ!

ヘラクレスに重ねた自身の傷は、親密レベルを上げれば何となく察しがつきます。春野パパには「償わなければならない」と感じていることがあり、それが仕事への懸命さにつながると同時に、ガラス細工のような脆さにもなり得るのだと思います。

歌舞伎町に戻ったあと、秋元さんはメイメイに「春野さんのこともありがとう」と言ってくれました。「あんなふうに楽しそうにしている春野さんを初めて見た」「帰りの車の中でも嬉しそうにしてた」と……。

喜怒哀楽を押し殺して仕事に向かう春野さんに対して、秋元さんも危うさを感じていたのではないかと思います。病的にワーカホリックな上司って心配になるよね。近い将来、何かやらかしそうだなって部下の勘が働くんだよ。

簡単に癒える傷ではないけれど、メイメイが寄り添ってくれるようになれば、春野さんは心のバランスを保てるようになるのでは。陽だまりの縁側で緑茶を飲むおしどり夫婦が見える……言葉は少ないんだけど距離は近くて、お互いの体温をじんわり感じている様子が浮かびました。

ジョージさんルート

ジョージさんルートは、近所の男の子を海の家で保護して一緒に遊ぶ話。感情をあらわにしない男の子が心配なメイメイとジョージさんは、楽しい思い出を作ろうと意気込みます。

男の子を喜ばせるためにメイメイはビーチフェスティバルの競技に参加するも、決勝戦の直前に負傷して出場できなくなってしまいました。そこで、汗をかくのも日に当たるのも嫌なジョージさんが、自ら出場を願い出るというストーリー。男の子とメイメイにジョージさんの心が揺さぶられ、頑なに拒否してきた肉体労働に自分から志願するに至りました。

ひと言で言うと、こっちのルートは「家族」かなあ、疑似じゃなくて。男の子にフォーカスしてママとの絆を描くお話で、ラブコメ寄りだった春野さんルートとは違い、シリアスなストーリーでした。

シングルの女性と小さい子どもが出てくると、フィクションの世界では不幸せに描かれがちなんですよね……。もちろん苦労はあると思いますが、あまりに紋切り型ですし、逆に現実を見ていないと思います。

本作では、親子の絆をきちんと育めている部分に焦点を当てていたのが良かったです。ジョージさんが言った「お母さんの言いつけは、きっとこれまでにも何度も、この子を救ってきたと思います」が全てでした。

アンゼロの男たちの傷は家族が関係していることが多いので、これから色々な家族が描かれていくと思います。裕福でも幸せではない子、子どもの頃に親を失った子など、統計的な平均から外れた家庭が個別ストなどで描かれていくのでしょう。「シングル=不幸」みたいな古いテンプレに頼らず人物を描いた今回のイベストは、1人1人の複雑な人生を描こうとする運営の覚悟の現れでもあると感じました。

というのは大人の見方で、男の子の「ぼくのふくとごはん、ママのおしごとでできてるんだよ」は泣けました。男の子はママとの触れ合いを求めるけれど、現実がそれを許してくれなくて、でもこんなことを言わせてしまったら……私が親だったら泣いて謝るしかできません。

この親子が乗り越えなければならない障害は1つ1つが大きいし、数も沢山あって、部外者がお金で即解決したりはできません。親子は自分の足で立って進まなければならないけれど、メイメイたちと過ごした1日が男の子の力になれば……と願います。

ジョージさんの傷もちらりと見えましたよね。メイクが崩れるのを嫌ったり、崩れたメイクを人前で落とすのを嫌がったりするところ、それからお盆ボイスの内容から推察するに、お顔に何かあるのかな? 親密度1でジョージさんのことを何も知らないので、これから知っていきたいと思います。

恋愛ゲーム的にはどうだったのかと言うと、割とジョージさんの手のひらの上で転がされている感じがしました。落ち着いていて感情をあまり表に出さない彼が、ちょっとしたことであたふたするメイメイを愛でる……ジョージさん優位の関係でした。そんな彼が、男の子のために競技に出ようとするメイメイと、負傷したメイメイを心配して出場を止めようとする男の子に信念を動かされたのは熱い展開でした。

笑い所は本筋とは無関係の風晴さんです。保護した子から離れたところにいる風晴さん、お母さんの前で見事に気配を消す風晴さん、そんなに怖がらなくても大丈夫だよ……。この男、自分ではツッコミ属性だと思っているんだろうけど、天然もののボケ属性です。

ちっこい生き物に避けられがちな風晴さんは、「自分には愛される資格が無い」と思っているので、Rカードながら地味に闇を放っていました。

でも絵本を読んであげたんですよね。風晴さんには妹さんがいて、いなくなったお母さんの代わりをしていたみたいなところがあるので、実は子どもと遊ぶの得意なはずなんですよ。火村さんも「顔は怖いが優しいぞ」って言ってた。顔は怖いんだけどね。私も風晴さん大好きなんですけど、親密レベルを上げてしまったばかりに、ふにゃっと笑った顔を見慣れているので、たまに真顔を見ると「怖っ」て声が出ます。

最後、ジョージさんが男の子に手紙を書くシーンも良かったです。ハロー側も名乗っていないようで、火村さん、風晴さん、メイメイのことを手紙の中で「○○のお兄さん」「○○のお姉さん」と呼びます。それがまた「料理の上手なお兄さん」「背の高いお兄さん」「足の速いお姉さん」と見事な客観描写。

これさ、イベストを書くライターの気持ちになったとき、「優しいお姉さん」とか書きたくなりません? あえて主観描写を入れずに客観情報だけを羅列するに留めているんですよ。それがジョージさんらしさなんでしょうね。彼が自分と他人の間に引いている線が垣間見えた気がします。

さいごに

春野さん、ジョージさんが魅力的だったのはもちろんですが、ほかの3人もこのお話に登場する意味がきちんとあって、適材適所の素晴らしいストーリーだったと思います。これまでのイベストの中で一番読み応えがありました。

みんなが読むイベストなので、糖度は今回くらいのが良いな~と思いました。ゲロ甘系はカドストでやっていただけると……課金勢が報われるのではないでしょうか。

若干、春野さんルートは糖度高かったけど……夏井さん信条イベもとんでもない糖度出してきたし、特対の倫理観どうなってるの? 警察が無意識に口説くな照れるな、可愛すぎるだろ!!!

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