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コミカライズのご依頼についてクセ強漫画家が思うこと

以前の記事にそう言えば予告していたので、今回は「コミカライズ」のことについて書いてみたいと思います

以前の記事↓

最近の漫画原稿のご依頼、コミカライズや原作付きが多い件

こんなクセ強漫画家にも原稿のご依頼のお声がけしていただくことが少ないながらもあるのですが(それはとてもありがたいです)、そのほとんどがラノベのコミカライズや原作、原案付きだったりします

私はまず、コミカライズは私には難しいですとお断りするのですが、そしたらまあそれっきりが多い(笑)
なんていうか「ワタシの体だけが目当てなのね⁈」的な気持ちになります
ナンジャソリャ

今、空前の漫画家不足、デビューバブルとか言われてると思うのですが、編集様側が探し求めているは、「華やかな絵柄でラノベを美しく描いてくれる漫画家」みたいです

もしくは「読者が読みたいジャンルのほとんど筋書きが決まったお話を面白く描ける漫画家」かな

1番驚いたご依頼は、例え話ですが「主人公が浮気されてダンナに復讐するザマァなお話し」を描いてほしいと言われたことです
いや、もう内容決まっとるやん、と(笑)
そこから多分担当様と話し合って細かく決めるのでしょうが、版権は半分?編集様側になるそうです…
うーーん…
ちなみにコミカライズ系の編集様は、原稿料や印税などの条件を、「ネーム出して連載が決定するまでハッキリとは言えません」とおっしゃることが多いのですが、そのお仕事を受けるかどうかの大切な部分を「ネームを作り、連載が決まるまで」まで提示していただけないのは辛いと思います…
漫画家でない方はピンと来ないかもしれませんが、「連載が決定するまで」の期間は数日とかではありません
下手したら一年単位だったりしますし、早くても数ヶ月はかかります
給料や時給がいくらかわからないバイトに応募しますか?
漫画家にも生活があるとは思いませんか?と

余談ですが私は少し前に議論になっていた「ネーム作りにお金」はいただかなくていいタイプです
その場合ネームを「買われる」危険性があるので…
ネームは血と肉と魂(寿命)で作ってるので売れません!

コミカライズについて

まずラノベのコミカライズですが、お断りする理由としまして、私は絵が上手いわけではないので、「ストーリーを作る」過程を抜いてしまうと「私が描く意味」がなくなってしまうのですね

逆に言うと絵が上手くてストーリー作りが苦手な作家さんはコミカライズは本当に良いお仕事だと思います
どんな労力も惜しまないほど原作に惚れ込んでるとか

読者様も「推しのラノベを漫画で見たい!」方が多いからたくさん作られているのでしょうし

これはハッピーWin-Winです

編集様のメリット

が多いのが「コミカライズ」だと思います

①まず、すでにそのラノベにファンの皆様がついている、出せば必ず読んでくださる読者様がいるという強み
…これはホントに大きい
毎日何百と出る新作、旧作漫画の中で選んでもらうというのは至難の業
難攻不落な扉の鍵を初期装備で手に入れてるようなもんです
これに関しては、作品に携わる作家さんたちとて恩恵があるので編集様だけのメリットではないですけど

②お話の全容が俯瞰で見えている
…すでに原作があるわけですから、話の流れもオチも大体わかっていてコントロールし易いのではと思います
漫画家が連載の途中で「話が浮かばん!」などと言って困らせたり、謎のスランプとかに付き合わなくて済みますよね

すごい正直に言うと、

編集様が楽したいだけじゃないの⁈

と思わなくもないのですが、売れないと関わった全ての人の生活が成り立たないわけで、仕方ないのかなとも思います

特に今は電子に特化した小規模な出版社様が多いみたいなので、1作品でも売れないとやっていけないんでしょうね…私がそっちの立場でもそうするかなとか、わかるんですけども

しかしまあ、大ベテランの編集様にお尋ねしたところ、編集様サイドもコミカライズならではのご苦労が多いとのこと…想像つくなぁ

この流れはなくならないと思いますが、もう少ししたらちょっと落ち着くかもしれないですね

漫画家人生で最初で最後のコミカライズ

実は私、大昔に一度原作付きを描かせていただいています
まだ「コミカライズ」という単語もなかった時代じゃないかな

なんと、星新一先生の「午後の恐竜」を漫画化させていただきました!!
ここからは↓自慢です
嬉しかった


Amazonさんで検索したら中古の紙本はあるみたいですね

表紙は志村先生が美しいイラストを描いていらっしゃいますが、中身の「午後の恐竜」は白井が描きました(なんかすみません)(汗)

星新一先生の御本はほとんど、何回も何回も拝読していました
大好きです

当時の担当様からこのお話をいただいた時は飛び上がるほど嬉しくて

しかも「星新一先生の、どのお話が描きたいですか?」と聞いていただけたのです!
もうすぐさま「午後の恐竜」が描きたいですとお答えしました
本当に好きなお話ですから

絵が下手で未熟な部分だらけですが…描けて光栄でした

私のコミカライズはこの作品が最初で最後になると思います


しかしですね、次の記事の議題にしようと思ってるのですが、
「どうして今、異世界やファンタジーがこうも受け入れられているのか問題」
です

現在受け入れられているのは嬉しいケド、昔は描きたいと言っても描かせてもらえない分野だったのですよ…!
てか昔はなぜダメだったんじゃーい、ということを考えてみようかなと思います







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