半期で450%成長する組織のつくり方
みなさんこんにちは。株式会社メンバーズデータアドベンチャーという会社で社長をやっている白井と申します。
(※2020/4/1から株式会社メンバーズデータアドベンチャーは株式会社メンバーズの社内カンパニーとなりました。詳しい経緯はこちら)
450%成長の裏側を振り返る
2018年11月にグループ内起業という形で会社を立ち上げ、執筆時点でちょうど1年。がんがん採用・営業活動を行い、社員数24人・稼働案件数14件。2019年4月〜9月の直近半年間での売上成長率は450%。超垂直立ち上げと言ってもいいペースです。
これだけ急拡大していく中で、振り返って大きな役割を果たしたと思うのは、最初に決めたミッションとコアバリュー。
当時はぶっちゃけ「ミッション一応つくっとくか」くらいのノリで訳も分からずただつくっただけだったので、今ならもっとよいミッション、コアバリュー、仕組みをつくれたのになという思いもあります。とはいえ変更するにしてもまずは振り返ってみようと。
同時に、私がやったことを共有することで、これから新たに組織をつくって急成長を目指す人や、既存の組織を変えようとしている人の一助になったり、議論のきっかけになればと思い、初noteを書きます。
組織づくりは永遠に答えが定まらない課題で、私も日々苦闘していますので、これを読んで何か感じるものがあったらぜひお話ししてみたいです。声かけてください。
※なお、グレーで囲った文章は例示や背景の説明なので読み飛ばして大丈夫です。本文を読んでイメージしづらいなと思ったら読んでください。
弊社は東証一部上場の株式会社メンバーズの100%出資子会社で、資金調達に関わるタスクは不要でした。
また、バックオフィス業務や人事制度は本体のアセットを使えました。
なので実際的には会社立ち上げというより企業内の新規事業立ち上げに近い話として読んで頂ければ。
弊社独自で持っている主なバックオフィス機能は、採用・教育・営業・人事評価です。
なお、会社じゃなくてチームだからミッションとかコアバリューとか大それたもの作れないよ、などの場合は「チームのゴール」「私たちが大事にする価値観」など、言い方は何でもいいと思います。この記事で書くような機能を果たしてくれるステートメントがあれば組織の成長が加速するよ、というお話なので。
そもそもミッション、コアバリューとは
ミッションは使命のこと。会社としてどんな世界をつくりたいのかを表す言葉だと思っています。コアバリューは会社として大事にする価値観。どちらもカルチャーに関わるステートメントだと思っています。
つくるにあたっては、ミッションの追求がビジネスの成功と有機的に結びついていること、コアバリューの発揮がミッションの追求と整合していることが大前提です。
って言ってもイメージしづらいかと思うので、うちの例を載せておきます。
実は冒頭でもっとうまくつくれたのに、と言っていたのはまさにこのミッションとコアバリューなので、ストーリーが綺麗に繋がってない思考不足のところがあり恥ずかしいのですが、一旦現状ベースで書きます。
・ミッション
「データと人の力を武器に、誰もが可能性を広げられる未来をつくる」
データ領域でスキルアップしていきたい人が実務で活躍し、成長できる環境を用意することで、データを武器に戦える人を増やし、顧客のビジネス成果を向上させ、日本の時間あたり生産性をあげ、生活にゆとりをつくり、人が各自本当にやりたいわくわくすることを追求できる社会をつくっていく。
データを武器に戦える人が増えたら、うちの売り上げは単純に伸びます。それによって顧客のビジネス成果が向上したら、一緒にうちも成長します。それがビジネスの成功ですね。
社会によい影響を与えるのが目的なので、規模を追求する必要があります。そのため、出た利益はまたデータを武器に戦える人を増やす投資に回します。
(※2020/4/1時点でミッション・ビジョン更新しています。新ミッション「データと意志と情熱で心豊かな社会をつくる」、新ビジョン「データをキーに人の心を揺り動かし持続可能社会への変革をリードする」。経緯はまたそのうちnote書きます)
・コアバリュー
「貢献」「挑戦」「誠実」「仲間」
適応ケースが無限にあるので、ミッション追求やビジネスの成功との繋がり方を例示しておきます。
・「挑戦」せず、一時の安定を求めると、変化の早いデジタル業界ではビジネス的に緩慢に死んでいきます。
・うちにとって利益は目的でなく手段だけど、「誠実」でなければミッションと目先の利益が対立したときに利益をとってしまうかもしれません。
・個人でできることには限界があるので、「仲間」とのプレーを楽しめる気持ちがないと、社会に影響を与えるような大きなことは成し遂げられません。
では実際、ミッション、コアバリューが組織の成長にとってどんな役割を果たすかをみていきます。
ミッションがないと走る向きが揃わない
うちのメンバーは、バックオフィス含めて、みんな頼りになる優秀な人たちです。でも、多分、ただそれぞれが優秀なだけでは、このペースで拡大を続けることは難しかっただろうと思います。
それはなぜか。まず、
・優秀さ=どれだけ早く走れるか/どれだけ遠くまで走れるか
だと思っています。でも、そんな「優秀な人」たちがたくさん集まって、それぞれがバラバラな方向を向いていたらどうします?
こんな感じ。エネルギー効率悪そう。内発的な行きたい方向がバラバラで、かつそれぞれが早く遠くに走れる力を持っている人の場合、ほぼほぼ組織崩壊します。
じゃあどうあるべきか。
これ。ミッションは会社としてつくりたい世界の宣言なので、ミッションが明示されていて、共感されていれば、優秀な人の早く遠くに走れる力を、余すところなくミッション追求のエネルギーとして使えます。
逆にミッションがないと個々のメンバー、施策、サービス、プロダクトがどれだけ優れていても中長期の成長はありえないと思っています。
ミッションや理念なき企業活動は、勢い利益や規模を求めることが目的になりがちです。そうなると人材獲得も顧客獲得も、年収/価格や福利厚生/機能など定量尺度の競争に晒されることになります。
そこから先は終わりなき体力勝負になるので、よほど資本に恵まれてない限り新規事業が取るべき方策ではないでしょう。
ミッションは人材獲得にも効く
卵が先か鶏が先かみたいな話なのですが、ミッションはメンバーの向かう方向を揃えるためのゴールイメージであると同時に、「優秀な人」を仲間にするための旗でもあります。
この画像のように「個人が成し遂げたいこと」と「会社が成し遂げたいこと」が重なっていれば、それだけで非金銭的報酬となります。ここは「自己実現」エリアなんですね。マズロー的にも上位の欲求で、代替しづらい強力な魅力になります。
そしてベンチャーの仲間探しは、やはりよほどの資金力がない限り、ミッションへ共感してくれる人を探す旅になります。ミッションという旗を掲げて、一緒にやっていきたい人この指止まれ、とやる感じです。
これを徹底すると、他社の条件の良いオファーを蹴って自社を選んでくれる人も現れ始めます。そしてその人たちは、「個人が成し遂げたいこと」に向かって走るための内部エンジンを持っているので、マネジメントがさほど管理をしなくても自発的にミッションを追求し始めます。神。まさに同志。
第二段階でそういう仲間たちがそういう活動をしていること自体に惹かれて入社してくれる人も出てきます。
ミッションの旗のもとに仲間集めをすると、半ば自動的にミッション追求と仲間の増加が進むということ。つまり、半ば自動的にビジネスの成功に向かって進んでいくということです。まさにこの感じ。
コアバリューは判断指針になる
ビジネスにおいては正解のない選択をしなければいけない局面は無数に発生します。そのときに判断スピードを早め、かつ、各個人の裁量が大きくても、会社として許容できない判断がなされないように担保するのがコアバリュー。会社が大事にしている価値観のことです。
うちだと「成長」「挑戦」「誠実」「仲間」。これはそのまま各種企業活動や個人の判断の指針になります。
立ち上げ期のベンチャーにはスピードが何より大事。誰でも素早く質のよい判断が下せる状態をつくり出せないとそこで死ぬし、その成否がずーっと組織全体に響く。社員数名の時からコアバリューがあり、採用から一貫して指針に反映できたのは本当によかった。
といっても、コアバリューがあっても生かされなければ意味がないので、実際どう判断指針にしているかの例を挙げておきます。
例えば採用選考で、
・Aさん:スキル高い、成長意欲低い、安定志向
・Bさん:スキル低い、成長意欲高い、挑戦大好き
の2名であれば、「成長」「挑戦」にあてはまるBさんにオファーを出します。コアバリューの一致はスキルより優先されるからです。
営業も、
・A案件:単価高い、アサイン予定の人が経験があり、確実にこなせる業務
・B案件:単価低い、アサイン予定の人にとって一部未経験要素を含んでいたり、難易度が高い業務
だったらB案件です。
A案件をやってもメンバーの「成長」に繋がらないからです。
各個人の判断軸にも。例えば、すごく極端な架空の例なのですが、既存案件でぎりぎりバレないかもしれないミスをした場合、
・A:黙って隠し通して何事もなく取引継続
・B:隠さず報告してベストエフォートを尽くすが取引が吹っ飛ぶ
だったら、一人一人がBを選びます。
これは採用時に個人の価値観としてBを選ぶ人を見極めているからでもあり、会社のスタンスとしてA<<<(超えられない壁)<<<Bであることがコアバリュー「誠実」を掲げることで明示されているからでもあります。
コアバリューはマネジメントコストを下げる
さらに、コアバリューがあると組織の凝集性が高まり、マネジメントコストが下がります。
まずは凝集性が低い状態。
この図のようにメンバーの価値観や判断基準(実線○で表現)が散らばっている場合、それぞれに応じたルールや施策(破線○で表現)をつくる必要があります。
一方、凝集性が高い場合。
このようにある程度価値観や判断基準が集まっていれば、1つのルール、施策で回収できます。かつ、コアバリューはミッション追及やビジネスの成功に有機的に繋がるよう設計されているので、「ここだけ押さえればOK」なルール、施策ができているはずです。
やるべきことだけをやり、それ以外の対応パターンを増やさないことは成長スピードを落とさないためにはとっても大事。
といっても均質な集団じゃなきゃだめだと言っているわけではないです。コアバリューに関わる部分だけ統一する。他は特になんでも構わない。でなければそもそも採用母数が取れませんし、組織もおそらく硬直するでしょう。だから「コア」バリューなのです。
まとめ
・ビジネス的成功とミッション、コアバリューが有機的に結びついているのが大前提
・ミッションがあると、優秀な人が集まってくるし、勝手に同じ方向に向かって走り出すし、それがまた優秀な人を呼ぶし、永久機関が生まれる
・コアバリューは判断指針になり、マネジメントコストを下げ、素早い意思決定と行動を可能にする
こんな感じです。
なお、データ人材絶賛採用中です。仲間をもっともっと増やしたいです。
うちのミッション、コアバリューに興味持ってくれた方、下記からご連絡ください。「まずは話だけ聞いてみたい」くらいでも気軽にどうぞ。