名古屋地裁の、生活保護費引き下げ訴訟判決について

名古屋地裁で、生活保護費引き下げ訴訟について、最初の判決がありました。

判決文を読んでいないのですが、この記事や他の方の意見を見ると、ひどい判決のようですね。

この生活保護費引き下げの最大の問題点は、厚労省が、物価下落を偽装したことです。

僕の理解によると、

(1)生活保護の「支給額原則1割引き下げ」という、2012年12月の衆院選挙における自民党の公約を実現するために、
(2)「地デジ化」「家電エコポイント」などがあって、一般家庭においてテレビ需要が特別に伸びた年の消費構造を用いることで、テレビの価格下落の影響を大きくなるような年を選び
(3)今まで使われてきた計算式ではなく、テレビなどのデジタル家電の価格下落の影響が大きくなる計算式を敢えて用い、
(4)政府が、テレビを買い換えができない生活保護利用者に対して、地デジを見るためのチューナーを無料配布したという事実を無視して、生活保護利用者もデジタル家電による物価下落の恩恵を受けたとして
(5)厚労省が実態よりも大きな物価下落率(4.78%)を作り出し
(6)自民党の公約通り、生活保護費を、平均 6.5%、最大10%引き下げた

という、本当にひどい、恣意的なものでした。

これが政府の裁量だなんて、そんなことあるわけ無いでしょ!

高度プロフェッショナル制度では大きな問題となりましたが、安倍政権による立法事実ねつ造は、この物価偽装から始まっています。
立法事実なんて誤魔化せば良いと考えた安倍政権は、共謀罪でも、集団的自衛権でも、立法事実を無視して強行に進めていきました。
そのため、誰がどう考えてもおかしい検察庁法改正も、安倍政権は突破できると信じていたのだと思います。

物価偽装に関しては、フリーライターの白井康彦さんのサイトに詳しく載っています。

http://hinkonkakeiken.com/index.html


それから、
『生活保護費の引き下げをめぐり、この決定が自民党の政策によるものであると認定している。
その上で、この政策は「国民感情や国の財政事情を踏まえたもの」であり、生活扶助基準を改定するにあたり、これらの事情を考慮することができることは「明らかである」とした。』

って、どういうことですか?

裁判所は、少数派の人権を守るための機関です。
多数派の政党の意見や国民感情は、多数派で占められている立法・行政の時点で反映されています。
これが、人権に照らして許容できるか否かを、法的見地から判断するのが裁判所の使命です。

判決文を読んでいないため、正確なところは分かりませんが、記事の通り、自民党の政策や国民感情が、人権抑制の根拠となると考えているならば、裁判官が人権の砦としての裁判所の意義を分かっていません。

生活保護引き下げに関しては、他でも争われていますので、まともに人権保障を理解していて裁判官による判決を期待しています。

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