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オレンジシャツデー

音声で聴きたい方はこちら。


みなさんは「オレンジシャツデー」をご存じでしょうか?

カナダ政府によって2021年に制定された「真実と和解のための国民の日」が「オレンジシャツデー」とよばれています。

この記事では、「真実と和解のための国民の日」および「オレンジシャツデー」、そして、現地バンクーバーの様子をお伝えしようと思います。(2024年9月30日)

ちなみに、SWCのKaoriさんもオレンジシャツデーについて話されていますので、ぜひ聞いてみてください。


オレンジシャツデーとは?

オレンジシャツデーは、カナダの先住民に対して行われた寄宿学校制度と、その背景にある文化的ジェノサイドの歴史を振り返る日です。

この日は、先住民の子どもたちが強制的に寄宿学校に入れられ、言語や文化が奪われたことに対する認識と和解を促進する目的で設けられました。

文化的ジェノサイド

文化的ジェノサイドについて触れておきましょう。これは、特定の民族や集団の文化を意図的に抹消する行為を指します。カナダの寄宿学校制度では、先住民の子どもたちが家族から引き離され、言語や伝統、信仰を奪われるなど、文化的同化を強制されました。

主な特徴は以下の通りです:

  • 言語の使用禁止や抑圧

  • 伝統的な儀式や慣習の禁止

  • 強制的な同化政策

  • 先住民の子どもたちの強制的な移動

カナダでは、1800年代後半から1990年代まで、15万人以上の先住民の子どもたちが寄宿学校に通わされました。この制度では心理的、身体的、性的虐待が蔓延し、約6,000人が亡くなったとされています。

和解とその影響

2015年、「真実和解委員会(TRC)」は、寄宿学校制度を「文化的ジェノサイド」と認定しました。その結論に基づき、カナダ政府は和解のための取り組みを開始しましたが、先住民の権利侵害は今も続いており、完全な和解には至っていません。

2021年には、9月30日を「真実と和解の日」として正式な祝日に制定し、国全体でこの歴史に向き合うことが促進されています。

オレンジシャツの意味

「オレンジシャツ」は、この過去の出来事を象徴する重要なアイテムです。フィリス・ジャック・ウェブスタッドさんが6歳の時、寄宿学校初日にお祖母様が買ってくれたオレンジの新品のシャツを学校側に奪われたという体験に由来しています。

フィリスさんは、その新品のオレンジシャツを含め、衣服を剥ぎ取られ、そのシャツは返されることがなかったそうです。このオレンジ色のシャツは、先住民の子どもたちから奪われた尊厳と文化を表しており、オレンジシャツデーの象徴となっています。

真実と和解の日

「真実と和解の日」は、文化的ジェノサイドの歴史を認識し、和解に向けた取り組みを推進するための日です。この日を通じて、学校や地域社会で先住民の歴史と文化について学び、議論する場が設けられ、また多くの人々がオレンジシャツを着て連帯感を示します。

現地レポート

こちらに、バンクーバーでのオレンジシャツデーがどのようなものか、また、イベントなどを記載しようと思っていました。

しかし、当日のバンクーバー市内はいつもとなんら変わらない様子でした。
「市民はオレンジシャツを着る」と聞いていたのですが、オレンジシャツを着ている人には全く遭遇しませんでした。

唯一私が確認できたのは、Vancouver Playhouseという市営の劇場でのイベントです。この劇場前にはオレンジ衣装をきた大勢の人が行列を作っていました。

もしかすると私が知らないだけで、他にもイベントがあったのかもしれません。


ここで個人的に思うのは、祝日について、自国民より外国人の方が詳しいということはよくあるな、ということです。

ひとつには、外国人として外国に行くと、その国の文化や歴史を外部の視点から見ることができるため、より客観的に捉えられるからだと思います。

新鮮さも大きな要因ですね。海外に来ると最初は何もかもが新鮮で、地元の人にとっては当たり前すぎて見過ごしてしまうような細かい点に、興味を持つことがよくあると感じています。

そして、これは祝日に限らず、その国の歴史や文化、他の側面についても同様のことが言えそうです。

また、海外にいるからこそ、その国と自国を比較することで、改めて自国の文化を再発見することもできるんじゃないかな、と思いました。


というわけで、オレンジシャツデーについて書いてみました。これが何かのお役に立てれば幸いです!

最後までお読みいただきありがとうございました!

ではでは!

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