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郡山・会津若松旅行記・2023夏(2/n)

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0/n:1日目早朝
1/n:1日目午前
2/n:1日目昼
3/n:1日目正午過ぎ

1日目・昼【郡山】

寿司屋についた。郡山駅から猪苗代湖に向かう道中にあったそのお店は、Google Mapでの評価が高いようだった。嫌な予感がした。というのも、前回の旅行にて、予約をせずに地元の人気店に向かったところ、地方特有の広い駐車場の端から端までずらっと人が並んでおり、数時間待つ羽目になっていたからだ。人気店に行きたければ事前に予約する。土日ならば特に。それは、全国共通の約束事なのだと学んでいた。幸い店舗外で待つ人はいない。いや、気を抜くな。中にはいるかもしれない。それに、満員だから無理だと店員に告げられるかもしれない。中に待ち人がいなかったからといって、我々へ下された店員からの評価によっては、対応は良くも悪くもなる。我々にできることは、入れないケースを想定して、期待値を下げて店舗に突入することだけだった。しかし、空いていた。そして、座敷に通された。胸を撫で下ろす。事前に想定していた入れなかった場合のアクションプランは全て、無用の長物となった。さあ、何を食べようか。

福島は内陸であったが、東京対比で物価が安く、東北の各海岸まで近いことから、安くて美味いが出てくることを期待した。それに、この旅1つ目のイベントだ。10年ぶりに会う友人たちと何を話すかと考えていると、助手席の友人がビールを飲みたがっていた。運転手である僕が許可する必要があるのだろう、許可をした。僕は集団の下限に合わせて、不必要に全体が苦しむ意思決定が嫌いなのだ。ドライバー1人が飲んではいけないという理由で、その他の人までも飲めないというのは不毛だ。それに僕としてはもっとカムリを運転したかった。

3人とも上寿司だか一番人気の寿司を頼んだ。彼らの性格と所得を考えたときに、即、特上寿司を選択するのかと思っていたので意外だった。最上位のメニューを頼んでも3,000円程度だし、ランチならその選択も良いだろうという僕の思考は、もしかしたら放蕩者の思考かもしれないと考えた。

寿司が来る。確か10巻程度の握りに、漬物とサラダの小皿とすまし汁だった。追加で頼んだわさび巻と合わせて、十分なボリュームだった。普段何かとだらしない助手席の友人が、汁物から手をつけたのが意外でおもしろかった。

握りはうまかった。見た目に豪華さはなく、まさに、街の寿司屋の握りだった。しかし、握りを口に運んでみるに、ネタは予想以上に大きい。そして甘い。シャリではなく、ネタが甘い。ネタから旨みが過不足なく出る。ネタの咀嚼に追う形で、シャリもほどける。うまい。寿司下駄を改めて見ると、確かに、ネタはリッチで鮮度が良かった。街の寿司屋というのはこういうものだったと思い出させられた。そのエリアにおける最高の奢侈品のひとつ。どの街でも、その街の顔として、矜持を持って営業しているのだということを。

会計を済ませ、店を出た。本日の宿に向かう。友人たちと何を話したのかは忘れた。


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