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ハーフカメラは幸せを撮るカメラ

礼文島に来て、日々撮りたいと思う写真を撮るカメラとしてハーフカメラを思い立ったのは全く直感的な閃きでしかなかったけれど、後付けでなぜハーフカメラなのか考えてみました。

1960年前後にフィルムハーフカメラが登場して来た背景には、高度成長とともに一般庶民にまで豊かさを享受できる時代になったと言うことがあります。
家電品や車とともにカメラもまた一般家庭に普及し始めました。

私が子供の頃に、父がカメラを買いました。写真店のおすすめで買ったカメラを持って撮影に連れて行かれました。そのモデルがなんだったかわかりません。ぼんやり大きかった記憶があります。
いざ撮影の段になって父がカメラを構えてから一向に撮影されず、しゃがみ込んでカメラをあちこち触ったり覗き込んだりして、結局その日はシャッターを押さずに帰って来ることになってしまいました。
数日後、二回りくらい小さいヤシカのレンジファインダー機に変わっていました。
父は最初のカメラは難しすぎるから、簡単なのに換えてもらったと言っていました。
1966〜9年くらいのことで、カメラ屋がおすすめしたのですから、最初のカメラはNikomartとかだったのではないかと想像します。
そうするとカメラや写真の知識がないとちょっとすぐには取れないだろうなと今ならわかります。

おそらく父と同じような思いをした家族がたくさんいたのだろうと思います。
家族や子供の写真を撮りたい。
けれども、大きくて高くて難しいのは無理!
もっと簡単でコンパクトなのがいいと言うニーズは強くあったのでしょう。
しかも当時は、カメラもフィルムも現像なども高級であったようです。

ハーフカメラはこのような時代背景で登場します。
35mmフィルム一枚分を半分のサイズにして2枚撮れる。20枚撮りなら40枚撮れる。
しかもフィルム面積が小さくなれば、レンズのサイズも焦点距離も小さくなり、ボディもコンパクトになり、コストも削れる。
しかも焦点距離が短くなれば、ピントの合う範囲も広がり、ピント合わせを楽にし、ピンボケ写真を防ぐことができると言うメリットがあります。

このハーフカメラに当時普及し始めた自動露出(フィルムに感光する光の量を自動的に調整する)機能が搭載されて、誰でもいつでも持ち歩けてシャッターを押すだけで写真が撮れるカメラが登場します。

この誰でも撮れるカメラでユーザーは何を撮ろうとしたのか。
徐々に豊かになっていく暮らしの中で余暇の時間、家族団欒の時間が増えて、旅やレジャー、休日などが増えていきます。
旅先での記念撮影、子供の成長記録、恋人や友人の姿、メモリアルな家族の記念、何か大切なことや思い出の記録....きっとそんなものを撮ろうとしたのではないかと想像できます。

そう、ハーフカメラは幸せを撮るカメラとして生まれて来たのです。
これで社会派のドキュメンタリーとかを撮っちゃダメなんです(笑)
(ハーフカメラの話は続く)

(ここでハーフカメラで撮った写真を載せたい所なんですが、まだ一本撮り切っていないので代わりにスマホ画像で)

ちょっと褪色した感じにレタッチ

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