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【業界毎にこんなに違う!?】年収1000万円以上のサラリーマンはこの業界にいる

「年収1000万円」はサラリーマンなら誰しもが意識する高年収のメルクマールと言えるだろう。新卒就職、転職に関わらず年収1000万円を目指すのであれば、業界選びが極めて重要だ。実は、業界によって年収1000万円に辿りつくまでの難易度が大きく異なるのだ。まさに雲泥の差とも言えるほどだ。業界毎に年収の分布を確認すれば、高年収にたどり着きやすい業界が見えてくる。

1.実は10人に1人は1000万円を超えている【日本のサラリーマン】

皆さんの周りには年収が1000万円を超える人はどの程度いるだろうか。就職活動を控える大学生や、20代前半のサラリーマンの周囲にはそれほど多くないかもしれない。しかし、統計データによれば、意外な事実が見えてくる。日本の男性サラリーマンの10人に一人は年収1000万円を超えているのだ。

【図表1】年収区分別の人数比(%)(1年を通じて勤務した給与所得者)

図表1_年収1000万円以上の人の割合

出所)民間給与実態統計調査(国税庁)

図表1は国税庁が発表する「民間給与実態統計調査」のデータによる、民間企業に勤める給与所得者の年収区分別の人数比だ。なお、年度中に就職・転職した人はその年の年収が低く、実態の把握に影響するため、集計から除外している。本稿のデータは特に断りがない限り同様の除外をしている。

男性(上段の表)を見ると、令和1年時点で年収1000万円以上の人の割合が10.6%であり、10人に1人以上が年収1000万円を超えることがわかる。一方、女性(中段の表)は令和1年で1.8%で、100人に2人以下という結果だ。男女間で大きさな差がある。男女(下段の表)では、令和1年で6.7%とおよそ100人に7人の割合だ。

また、男性、女性、男女のいずれにおいても、年収1000万円以上の人の割合は増加している。男性では平成21年時点で8.4%であったが、令和1年では10.6%と2.2%ポイントの増加。女性では同1.1%から1.8%へ0.7%の増加。男女では同1.2%の増加だ。同様の比較を年収500万円以下の区分で行うと、男性は6.7%の減少、女性は5.9%の減少、男女は5.5%の減少といずれも減少傾向にある。

なお、同調査の対象者は令和1年時点で5255万人であり、年収1000万円を超えるのはおよそ357万人である。

2.業界毎の年収1000万円以上の割合【37%が1000万円を超える!?インフラ業界】

先の章で男性サラリーマンの10人に1人は年収1000万円を超えていることを示したが、業界別の状況も確認しておこう。就職活動を経験したことがある人なら誰しも、商社・マスコミ・金融など給与が高いことで知られる業界があることはご存知なはずだ。しかし、統計データから浮かび上がるのは意外な事実だ。

【図表2】業界毎に見た年収1000万円以上の割合(令和1年)

図表2_年収1000万円以上の人の割合(業界別)

出所)民間給与実態統計調査(国税庁)

図表2は年収1000万円以上の人の割合を業界別に見たものだ。男性、女性、男女のいずれにおいても、トップは電気・ガス・熱供給・水道業で、いわゆるインフラ業だ。高収入であると言うイメージよりは、景気によらず給与/ボーナスが安定していると言うイメージが強い業界だろう。しかし、年収1000万円以上の割合でみればダントツの高さで、男性に限れば全体の43%が年収1000万円以上、女性でも全体の13%、男女でみても全体の37%が年収1000万円以上だ。
男女全体の10人に4人以上が1000万円を超えるというのは驚きだろう。

業績が安定し、かつ高収入の人の割合がこれだけ多いとなれば、就職市場でインフラ業に根強い人気があるのも納得だ。ただ、折れ線グラフが示す通り、インフラ業に従事する人の人数は業界比較で最も少ない約16万人だ。就職できる人の数も少ないはずなので、狭き門を潜った人がたどり着ける世界といえるだろう。

トップのインフラ業に次いで金融業、保険業、三位に医療、福祉が並ぶ。高収入のイメージが強い金融、保険は納得の順位であり、医師を含む医療、福祉の順位が高いのもうなずける。なお、高収入のイメージがあるマスコミは情報通信業に含まれ、商社は卸売業、小売業に含まれる。テレビ・新聞・広告などのマスコミ、商社はより細かな区分でみれば上位にランクインすると思われる。

トップのインフラ、2位の金融保険までは年収1000万円以上の割合が20%を超えており、3位の情報通信業、4位の医療、福祉、5位の製造業までは同10%を超える。ここまでは10人に1人が年収1000万円を超える業界だ。

6位建設業、7位不動産、物品賃貸は全体の5%以上が年収1000万円以上だ。8位卸売業、小売業以下は年収1000万円以上の割合が100人に5人以下であり、最下位の宿泊業、飲食サービス業では100人に1人程度だ。

トップのインフラ業界では100人に37人が1000万を超えることを考えれば、業界毎に年収1000万円に到達する難易度に大きな差があることがわかるだろう。

ではトップの電気・ガス・熱供給・水道業をより詳しくみてみよう。

【図表3】年収分布 電気・ガス・熱供給・水道業(令和1年)

図表3_年収分布(インフラ業)

出所)民間給与実態統計調査(国税庁)

図表3はインフラ業の年収分布だ。ここでの驚きは年収1500〜2000万円の割合が29.9%もいることだ。実は全業種の平均値では年収1500〜2000万円の割合は3.5%で、サラリーマン全体の3.5%しかいないため極めて希少だ。ところがインフラ業におては実に10人に3人がこの域に達している。

【図表4】年収区分毎の平均年齢 電気・ガス・熱供給・水道業(令和1年)

図表4_年収区分毎の平均年齢(インフラ業)

出所)民間給与実態統計調査(国税庁)

さらにインフラ業は年齢を重ねると昇給する、いわゆる年功序列の文化が色濃い業界だ。図表4の通り、年収が高くなる(横軸を右に進む)につれ、平均年齢が高く(縦軸を上に進むように)なる様子が鮮明だ。

安定的で高水準の給与を得られ、かつ年齢と共に着実に昇級していくインフラ業界を魅力的に思う読者も多いのではないだろうか。

そんなインフラ業界においても、年収2000万円以上の人の割合はグッと減少し、2.1%(=1.5%+0.3%+0.3%:図表3)程度となる。年収1000万超の割合が最も多いインフラ業界においてでさえも、年収1500万〜2000万円は多くの人が達成しうる給与水準だが、それ以上を目指すとなれば、役員への昇進など100人に2人の狭き門を潜る必要があるのだ。

3.業年収2000万円以上の割合が大きい業界【やはり強い金融・保険】

それでは、年収2000万円以上の割合が大きい業界はどこだろうか。

【図表5】業界毎に見た年収2000万円以上の割合(令和1年)

図表5_年収2000万円以上の人の割合

出所)民間給与実態統計調査(国税庁)

トップは金融業、保険業だ。男性6%、女性1%、男女4%であり、全体として100人に4人が2000万円を超えている。男性だけで比較するとトップは大学教授や高度な専門性を持つ研究者などを含む学術研究、専門・技術サービス業であるが、女性を含めて比較すれば金融業、保険業がトップだ。

営業インセンティブがつくために個人の業績次第で年収が高くなりえる金融業、保険業は部長、役員などへの昇進がない人でも年収2000万円を目指せる数少ない業界だ。

2位はマスコミを含む情報通信業界だ。男女3%であり、100人に3人が年収2000万円を超えるという状況だ。その他の業界で年収2000万円以上の割合が2%台以下であることを鑑みると、相対的に高い給与水準を実現しやすい業界と言えるだろう。

ここまで業界内での人数比を示した上で、「その業界の人の100人にxx人が年収2000万以上」という見方をしてきた。しかし一方で、高年収層の絶対的な人数も気になるところだ。

【図表6】年収2000万円以上の人数の業界ランキング(令和1年)

図表6_年収2000万円以上の人数(業界別)

出所)民間給与実態統計調査(国税庁)

図表6は年収2000万円以上の人数の業界ランキングだ。トップは学術研究、専門・技術サービスで、およそ14万8千人が年収2000万円を超える。高度な専門性を持つ研究者に高給取りが多いことがわかる。2位は製造業でおよそ13万7千人が年収2000万円を超えている。先の人数比では2000万円以上の割合は製造業全体の1%程度であったが、業界の全体の人数が多いために、2000万円超の人数も10万人を超えている。3位は総合商社を含む卸売業、小売業だ。大半の正社員が年収2000万円に到達すると言われる総合商社が含まれているだけに、業界全体として年収2000万円を超える人数はおよそ9万5千人となっている。

年収2000万円以上の人数比でトップであった金融業、保険業で実際に年収2000万円を超えるのはおよそ5万4千人。2位の情報通信業はおよそ5万2千人であった。

なお、日本のサラリーマン全体で見ると年収2000万円を超える人は71万人存在する。憧れの年収1000万円の倍の給与を得ている人が70万人以上もいるというのは、驚きの結果と言ってよいだろう。

4.【朗報】10年で110万人増加した年収1000万円以上のサラリーマン

ここまで年収1000万円、年収2000万円を超える人が意外にも多いという事実をデータで確認してきたが、「自分の身の回りにはそんなに高給取りのサラリーマンがいない」という人も多いだろう。

確かに、男性サラリーマンの10人に1人が年収1000万人を超えているとは言え、逆に言えば10人に9人は1000万円以下であり、かつ年功序列が色濃い日本では、年収1000万を超えるの人はシニア層に多いというのは事実であり、学生や20代、30代のサラリーマンにとっては身近な存在とは言えないかもしれない。

しかし、これまでみてきた通り、年収1000万円超のサラリーマンは全国に357万人存在しており、年収2000万人を超える人も70万人以上存在するのだ。さらに、これら高所得者は着実に増加していることも注目に値する。

【図表7】年収1000万円以上の人数の変化(万人)

図表7_年収1000万人以上の人数変化

出所)民間給与実態統計調査(国税庁)

年収1000万人を超えるサラリーマンの数は平成21年時点で247万人であったが、平成26年では281万人、令和1年では357万人と、ここ10年で110万人も増加している。年間10万人のペースで憧れの年収1000万円に到達しているという事実は明るい話題であろう。

5.まとめ

平均年収は就職先を絞り込む際に、誰にとっても重要な項目であるはずだ。特に年収1000万円超のいわゆる高所得サラリーマンを目指す人は、個々の会社の良し悪しに目を向ける前にまずは業界に着目すると良いかもしれない。
本稿で見た通り、「宿泊、飲食サービス業」で年収1000万円以上となれるのは100人に2人というごく少数の人である一方、「電気・ガス・熱供給・水道業」では実に100人に37人もの人が年収1000万円を超えているのだ。
男性では10人に1人が1000万円を超えているのが日本のサラリーマンの年収事情だが、業界毎の年収の特徴をおさえた上で就職先を選ばなければ、とんでもない難関に挑むことになりかねない。

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