故郷の団地は、小さな川の両側に合わせて60ほどの棟が建っていて、 左岸の真ん中辺りに商店街と広場と公園があった。 週末になると、リヤカーいっぱいの荷物を乗せて、 帽子を被ったおじちゃんが広場へやって来た。 おじちゃんはリヤカーに何段も積み上げてある木製の陳列台を さっさと降ろしながら、コンクリートブロックの上へ綺麗に並べてゆく。 団地では有名な「10円屋さん」だ(10円均一の店ではなかったが 何故か10円屋と呼ばれていた)。 四角くて広い陳列台は様々な玩具(を中心に