憑き物たちの『プロフィール?』
「しらさやツミハ」と呼ばれる生き物に憑いている(憑く予定だった)怪異たちをご紹介。読んでいなくても、普段の活動には特に支障ありません。
この生き物をもっと知りたいと思った方々向け。
長いよ!!
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(以下、しらさやツミハを依代または器と呼ぶ)
【憑く予定ではなかったが憑いた怪異その1】
水猫 (みずねこ)
水でできた猫のような見た目の怪異。
猫は液体、をそのまま体現したような存在であり、水のように溶けるというより水そのもの。
普段は大気中の水分として存在しているが、水猫と依代の気分によって猫耳や尻尾が見えたり見えなかったりする。水面のようにゆらゆら揺れる。
依代の驚きなどの感情の起伏で水猫も驚く→依代に猫耳が生えているように見える、という状態はよく散見される。依代も「みゃっ」と鳴く。
大気中に水分があればどこでも存在できるため、生存能力だけで言えば屈指の性能を持つ。
無力化するには砂漠のど真ん中にでも放り込むしかないが、ダムひとつ分の貯水を干からびさせる熱量と場所があればの話である。
ただし攻撃的な性格ではないため、基本はごろだらと依代周辺の大気中でのんびり寝ている。時々、猫の姿になって草庵を散歩している。
自身や依代に危害が与えられそうな時にのみ顕現し行動に移るため、積極的に戦闘をしたいタイプの人間とは合わない。完全に防御特化。
同じ依代に憑いている植物のような怪異に水を使われているが、全体から見て微々たる量であるため気にしていない。のんびりと共存している。
一度だけ、子うさぎを水で遊ぼうとしたら依代に本気で殺されかけたので二度としないと決めた。依代の本気のキレ顔はトラウマになっているので周りにも子うさぎには手を出すなと伝えている。
人語が話せるわけではないが、人間の言葉は理解している。ぬぁん、と鳴く。
攻撃的な性格ではないけれど、もぐもぐすることだってありますよ。必要とあらば。もぐもぐ。
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【憑く予定ではなかったが憑いた怪異その2】
白滅草(シロメツグサ)
見た目は緑の三つ葉と、白い花を咲かせる普通の白詰草そのもの。根を張り、地盤を安定させながら広がっていくだけの植物である。違いがあるとすれば、永遠に生き続けるという点だけで。
現在は依代の肌にタトゥーとして存在している。首元の花模様が中心であり、依代の怒りや感情の高揚に呼応して、肌に蔦や花模様が伸びていく。
あくまで肌の上という二次元的な存在として顕現しており、三次元になることは無い。ただし肌を経由して服、靴、地面、壁と伸びるため、その空間は完全に白滅草のテリトリーとなる。
他者の肌にまで行きついて動きを止める、などの足止めの役割として真価を発揮する。活用すれば色々と悪さも出来るが、こちらも水猫と同じく、攻撃側には周りたくない性格である。怪異とは。
地上生物相手であれば無双できるスペックであるが、飛行生物に対しては何もできない(その場合は大気中の水猫が叩き落とすのだが)。
依代の怒りや高揚した感情、テンションが上がった時によく表層に広がっていく。依代が落ち着くと模様も消える。広がっても依代に痛みは無い。
水猫と違って表情が無いため、意思の疎通は難しい。天気が良い日には太陽の光を浴びに自ら蔦が伸びてくることもある。本人(植物)の気が済んだら消えるため、依代もあまり気にしていない。
伸びた蔦は、よく子うさぎに食べられている。
蔦部分は食べられても問題なく、中心である首の花はどうやっても食べられないようで、子うさぎがよく鼻先を当ててふすふすしている。
くすぐったい。
止める事ができるのならば。もちろん、ぎゅるんと動かす事だってできるのです。ぎゅるん。
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【なぜかいる】
子うさぎ
おそらく普通のうさぎ。多分。きっと。種族はネザーランドドワーフであり、毛色はオレンジと称される薄い蜜柑色。ベージュのようにも見える。
依代に対しての術式が完了した後、依代が夢から覚めると目の前にうさぎが居た。腕に伸びていた蔦模様をもしゃもしゃしたら蔦が消えた。
それ以外はよく分からない。
主食は牧草、ペレット。おやつは林檎と白滅草。
フードの中が好き。もしゃもしゃ。
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【術式ってなーに?】
一族の目標であった「とある怪異を人間の器に繋ぎ止める」ということ。成れると思っていたこと。成れていればよかったもの。成れなかったもの。そうありたかったもの。
…結果は別の怪異が憑いた、ぽわぽわ摩訶不思議な生き物の完成であり、一族の間では完全に「無かったこと」にされている。悲しい(´・ω・`)
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【術式後に変わったこと】
依代が驚くと猫耳が見え、怒ると白詰草のツタが肌に浮かび上がる。それ以外は特に無い。
依代が怪異たちに行動を命令することはできないが、怪異たちが自主的に超防御を発揮するため「なんか居た気がしたけど振り返ったら水猫がもぐもぐしてた」ということになる。
元の目と髪の色は黒だったが、術式の一環で色を抜き取られて白になった。怪異をより深くで繋ぎとめられるようにするための施術であり、怪異を取り外すことは一切できなくなる。
術式完了後、髪の色はとても薄い緑、目の色は赤と黄に変わった。髪がふんわりと巻きつくようになるなどの変化もあるが普通に受け入れている。
特に変わってないから大丈夫だよ。
……壊れて、期待に添えなかったのは。
ちょっとだけ、つらかったけどね。
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【憑く予定だった怪異その1】
焔猫(ほむらねこ)
炎そのもの。メジャーな怪異で言うと火車に近い。火の中で揺れる一対の金の瞳を持ち、大きな口を開け、人も怪異も食べ尽くす怪異。
火車であれば悪行に手を染めた者の亡骸を奪い、たましいを地獄に連れて行く車、もしくは亡骸を喰らう猫であるが、こちらは生きていても気にせず食べてしまう怪異である。やべーやつ。
食べることが好きだから食欲旺盛というわけではなく、食べること自体が焔猫の存在意義。
食べて、燃やして、煙を燃やし尽くし、灰すら残さず。全てを熱と光のエネルギーに変える、人類が欲して止まない最大の燃焼機関である。
思考や自我はしっかりしており、性格は燃え盛る炎と違ってかなり冷静沈着。エネルギーそのもののような怪異であるが、流石に目につくもの全てを燃やすと面倒なことになると分かっているため色々考えながら(やっぱり)燃やしている。
地中深くのマントルに住んでいると言われている。既に燃えてるから燃やしたい欲求を抑えられるらしい。存在意義(本能)が強いと大変なようだ。
本来依代に憑く予定であり術式に応じようとしたが、なぜか目の前で依代を水猫に掠め盗られてしまった。解せぬ。水猫を燃やすと水蒸気爆発で後が大変なので交戦せずに撤退した。
その後の動向は分かっていない。
食べられた人を見て泣く人がいた。食べられた人を見て喜ぶ人がいた。違いを教えてほしい。誰を食べればいい。誰でもいいなら全部食べるけど。
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【憑く予定だった怪異その2】
黒滅草(クロメツグサ)
名の通り白滅草と対となる怪異。形は白詰草であり、黒い葉を持ち、血の様な赤い花を咲かせる。
白滅草の活動範囲に安定を求めるような存在意義に対して、黒滅草の存在意義は「侵略」である。本能のまま、際限なく領土を広げ、蹂躙し、蔦で絡め取った邪魔な相手を容赦なく締め潰す。
流石に普通の白詰草と同等のサイズであるため山すべてを覆うほどまで広がるわけではないが、種でまた増えるため際限が無い。原初のひとつが、どこに存在し続けているのかは不明である。
この時点で凶悪だが、更に狂っている点が「故意に山火事を起こすことができる」ことである。
引火性物質を持ち合わせており、自身は耐火性である。山火事を起こして黒滅草だけが生き残り、栄養や日光、領土を独り占めする機能を持つ。
ユーカリやゴジアオイの種も引火性物質を持っているため度々山火事の原因になるが、種だけではなく葉や蔦まで耐火性である黒滅草は、その場に種が落ちた時点でその一帯が焦土となる未来が決まったようなものである。
本来依代に憑く予定であり術式に応じようとしたが、なぜか目の前で依代を白詰草に掴み盗られてしまった。解せぬ。同じく交戦せずに撤退した。
焼け野原に草むらを見つけたならば、近づくな。そのテリトリーに足を踏み入れたのなら。君の足は赤い花となるだろう。
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【まとめ】
理由は、また今度。
憑く予定だった怪異たちの情報から察せられる通り、もし術式が成功していたとすれば、火と黒のぶっ壊れ性能を持つ殺戮兵器ができていた。
だがしかし、水と白のほわほわ平和主義の生き物(うさぎ付き)が出来上がったのである。何故だ。
……役立たず。失敗作。壊れた物。要らない物。
今でもずっと、私は思っている。
独立して草庵暮らしをしている現在は、一族からの干渉も無く、適度にゆるりと生きている。
安月給のため資金は心許ないが、安い食材を探して好き勝手に料理して、好き勝手にゲームをすることが1番の楽しみな生き物である。
結局は、ただの人である。
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【おわりに】
とても長いnoteをここまで読んで下さり、本当にありがとうございました。
「しらさやツミハ」の過去のことが、ほんの少しだけ透けるような怪異たちの紹介でした。
いかがだったでしょうか。なにかひとつでも、気になっていただけたら幸いです。
ひとつひとつを挙げているだけでここまで長くなるとは思っておらず、結局、憑いた経緯を明言することはまた今度となりましたが。
それはまた、いずれお話をするでしょう。
今回の怪異たちの情報は、特に覚えるべきことではございません。特に支障なく、この生き物と交流が可能です。読んで下さった方々も、気にせず交流していただけると嬉しいです。
つかみどころのない、謎の多い生き物ですが。
ほんの少し、この生き物が出来上がった経緯を。
この生き物の思考の原理を、根幹を。知りたい人だけが知ることのできるように。
ゆるりと、こちらも綴っていきましょう。
よければ今後とも、よろしくお願いいたします。
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イラスト: ミミシーム・キシン(みみすけ)さん@mikischine
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