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ククツミの軌跡《1》【交流創作企画#ガーデン・ドール】

アテンション

先にこっち。

《1》~《3》は、上記の《0》を読んだうえで「続きが気になった人」向け。
以下のアテンションは《0》と同様。

・ガーデン・ドールの世界は血なまぐさいゴア表現もあるよ
・ドールは死なないけど、『死』に類した表現もあるよ
・進めば進むほどネタバレが増えていくよ
・ククツミ軸でまとめてるから他のドールの軌跡は追いきれないよ
・企画者のトロメニカさんが作る世界は、基本的に『この世界に救いは無い』だよ

《0》を読んだ人の感想
「6000字がすんなり読めた」
(とても嬉しい)


【ドール一覧】(2024/9/5現在)

改めての一覧表。
このnoteではククツミの物語しか追うことができないけれど、みんなそれぞれ物語を作り上げているからぜひ見てね、の宣伝もかねて再掲。
作品タグは #ガーデン・ドール作品 (YouTubeでは #ガーデンドール作品 )だよ。

《0》からちょっと変わったよ。


【ククツミの軌跡、続き】

軌跡《0》に書いた七不思議はみんなもう見たよね?ネタバレありで進めるよ!

ということで。





illustration by @krillmimisky

コッペ。
七不思議『グラウンドを走る四つ足の獣』の正体(?)はこちらです。
名前は寮生ドールへの公募で『コッペ』に決まりました。
尻尾があるコーギー、やっぱりコッペパン。

イラストはしらさやツミハのイラストレーター、みみすけさんにお願いしました。絵描きさんは良いぞ。とても素敵なイラストを描くぞ。
これはただのダイマだぞ。

コッペとシャロンくんの、のんびりとした日常風景。

この箱庭(世界)では植物の名称が特殊です。

ヒマワリ→太陽の花
コスモス→秩序の花
百合→風詠の花

スズラン→礼節の花
シロツメクサ→報復の花
モミの木→道標の木
オナモミの種→執着の種

『知恵の種』ってなんだろね

などなど。
見た目や花言葉に沿ったものが多くあります。

バグちゃんからのミッションとして『花の種を植えよう!』というものがあり、シャロンくんは上記noteにてコッペと一緒に(?)植えました。

ククツミはこちらで秩序の花を。
なんだかちっちゃいのがうろちょろしていますね。



バンクのイラストはトロメニカさん作成

バンク。
七不思議調査終了後からククツミの周りに現れるようになった、リスのような謎の生き物。
とてもふてぶてしい性格。
好物はチョコレート。

以降ククツミはコッペ(犬)とバンク(リス?)の世話をする飼育委員となりました。
リスにチョコレートをあげるのは危険?
バンクなのでセーフです。
バンクなので。


さて。
テストプレイの七不思議調査を経て、ガーデン・ドールは正式稼働となりました。
ここから3期生の募集が始まり、寮生はどんどん増えていきます。

2023/09/10~2023/10/07に行われたイベントは秋祭りでした。

花火玉も「どうやって」隠されているのかは持ち主が作るストーリー次第

わたあめ、やきそば、りんごあめ。
ベビーカステラ、かき氷、クレープ。
ヨーヨー釣り、金魚すくい、射的、くじ引き、お面屋さん。
縁日の筆頭のような食べ物とお店が並ぶ秋祭りが開催されました。
屋台は全てセンセーが管理しています。

秋に浴衣で寒くないのだろうか、と思われる方もいらっしゃるかと思いますがご安心を。
箱庭に季節による天候変化はありません。
多少の雨や暑い寒いなどはありますが、ガーデン(学園)内は至って平穏な気候です。

『春エリア』などの季節名のついたエリアのみ、各季節の天候になります。
季節の植物も年中、該当エリアで咲いています。
いつでもお花見ができるね。

最初は海もありませんでした。2月に海が生えました。

ということでゆるりと始まった秋祭り。
花火玉捜索も必須ではなく有志によるものとなり、ククツミは花火玉捜索には参加しませんでした。

なにがあれって持ち主(しらさやツミハ)が風邪を引いた。ごめんて。


軌跡《0》を見た方々は、ドールたちの『欠けたもの』を覚えておりますでしょうか。

欠けたものは自分にとって大切なものであって、奪われたもの。
それを探し求めることはドールにとって本能のようなものであり、ずっとずっと自分の中で『なにかが欠けている』と感じてしまうもの。

ストーリーミッションを進めて、進めて。
なんの因果か、欠けたもののとっかかりを最初に思い出したのはシャロンくんでした。

ボク自身、すべてを知ったわけではない。
むしろ、何も知らないのだと突き付けられた。
これからボクは、知っていかねばならないのかもしれない。

センセーが課す“ミッション”は、
どれも不可解なものばかり。


ククツミはと言うと。
持ち主が風邪を引いたのでククツミにも風邪を引かせました。てへ。

欠けたものに思考を持っていかれつつも『いつも通り』過ごそうとするシャロンくんと、
シャロンくんが『いつも通り過ごそうとしている』ことに気づいてしまうククツミの話。

本当にやるのか。
でも、言われたから。

悪いことだぞ。
でも、言われたから。

誰かを傷つけるかもしれない。
でも、言われたから。

――アンッ

「うわあ!?」

シャロンくんは、何を言われたんだろうね?


不穏の影を残しつつ、秋祭りはつつがなく進みます。

ククツミも元気になったのでシャロンくんからもらった浴衣を着て、射的を楽しみました。


持ち主のPCでの動画作成はこの辺りが最初です。
初めてながらもテンション上がってめちゃくちゃ凝り始めます。
とても楽しい。

花火玉捜索も無事に終わり、最終日はみんなで大輪の花火を見ることができました。


秋祭り後の10/10〜10/31に行われたイベントはこちら。

みんな動画作りに凝ってた思い出。

詳しいイタズラの一覧。

・家庭科室で勝手にお菓子を作っている
・寮の廊下の電気をカチカチしている
・美術室で絵の具を塗りたくっている
・保健室のベッドで跳ねている
・図書室の本で紙ヒコーキを作っている
・園芸美化用具室で暴れ散らかしている
・階段の踊り場で何匹か重なって木のフリをしている
・学園の廊下で騎馬戦をしている
・音楽室でバンドを組んでいる
・屋上に魔法陣を描いている
・プールで超高速回転して渦を起こしている
・グラウンドでコーギーにまたがってロデオしていたり、早撃ち勝負ごっこをしていたりしている
・放送室で放送原稿を読みふけっている
・部室棟で部活ごっこをしている

計200体がガーデンで暴れ回るの図

イタズラが!多すぎる!!!

ということで持ち主の動画作成モチベが高かったこともあり、ククツミは3箇所のカボチャゴースト討伐に関わりました。

☘️「こうやって退治するならヒマノくんが1番良いかなって。ご一緒いかがです?」
ヒマノ・メデューズ「いいですね、そしたらここはこんな感じでー」

ククツミ、シャロンと同じ0期生

名前:ヒマノ・リードバック
性別:男
年齢:12歳
一人称:ぼく
クラス:クラスコード・グリーン
性格:キミは気まぐれな性格のドールです。
フットワークが軽くて何にでも手を出します。
特に委員会や部活動には入っていませんが、誰かに誘われたら入ることでしょう。
魔法を長時間使ってもあまり疲れないため、学外では浮遊魔法で移動することが多いです。
校則違反じゃなければ何をやっても良いと思っている節があります。
苦手なものは暑さです。

『校則違反じゃなければ何をやっても良い』

ヒマノくん。
最年少の12歳であり、魔力質6(最大値6)と魔力量127(最大値140)という『大輪級』の魔力等級を持つすごい子。

中身は年相応の男の子であって、好きなことを好き勝手にやる奔放さと、そして少し達観しているような雰囲気も兼ね備えているドール。

大輪級だからこそ、自分にできないものはできないとすぐに見切りをつけてしまうこともある、流れるままに漂う男の子。
ククツミにとって、可愛らしい弟のような存在です。
(ドールに血縁関係とかは無いんだけどね)

そんな感じの飄々と、はっちゃける時はブレーキの無いヒマノくんと、それを止めない(むしろ加速させる)ククツミペアが噛み合った結果がこれらになります。

動画作りすぎ?自分でもそう思う。
ゲームのパロをしてみたり、とてもとても楽しかった。

お好みのBGMでどうぞ

それからなんやかんやして、カボチャゴースト200体は無事に討伐できました。

バグちゃんからの報酬であるカボチャクッキーも、トータル1000枚配られました。
すっっっっごく甘いクッキーです。

カボチャクッキーの口直しに、バグちゃんマーケットで『ネイチャグリーン』という飲み物を購入。
名前の通り、しっかりとした青汁でした。

せっかくなのでシャロンくんに飲ませました。
(一番のイタズラ好きはククツミかもしれない)


ロベルトくんも、ヒマノくんと同じ『大輪級』のドールです。
13歳であり、魔力質6の魔力量136というほぼほぼ最大値。
他者の痛みを自分のことのように感じてしまう、心優しくて傷付きやすい彼だからこそ。
誰かに頼ることが難しい話。

みんな、優しすぎて。
いろんなものを、抱え込みがち。

これも、きっと。
『いつも通り』の、シャロンくんだったはずだよ。



これも。

ずっと。

進み続けるシャロンくんの、いつも通りの行動だよ。

自分が一番したくないようなことを、誰にも事情を話さずに、他者を巻き込む形で達成すれば、

キミに1つだけ真実を知る権利を与えます。
なんて言われたら。

あなたは、どうしますか?

軌跡《0》で書いたもの。


このシャロンくんの話の続きは、もう少し後に書く予定。
いま書くとごちゃごちゃしちゃうからね。
この事件を経て、シャロンくんは少し成長します。

そして、その先・・・も考え始めてしまいます。



ハロウィンイベントが終わり、次はvsイベントが始まりました。
11/10〜12/9まで。
イベントは続くよどこまでも。

ヒーロー陣営とヴィラン陣営に分かれてヒーローショーをしよう!みたいな感じ。

ククツミ、シャロン、ヒマノはヒーロー陣営になりました。
逆陣営だったほうがこの3人はいっぱい暴れ散らかしたんじゃないかと思うのはきっと気のせい。

ヒーローとしてのミッションをこなし、ヴィラン陣営よりも達成ミッション数が多ければ勝ち、というチーム対抗戦でした。
勝ったら沢山のバグちゃんポイントと、数人は『マギアレリック』という摩訶不思議なアイテムをもらえます。
七不思議調査達成でも、マギアレリックをもらったドールが何人かいました。

そして他のヒーロー陣営ががんばっている中。

当のククツミは、というと。

寝てました。
詳しく言うと『2週間の昏睡』に陥っていました。

ククツミもミッションを達成し、『欠けたもの』を少し思い出しまして。
内容があまりにもあれだったので悪夢になりました。
えぇ、ゴアです。
ゴア(Gore)の意味が分からない人は一度検索してみてね。

そろそろ血なまぐさいものがしんどい人は回れ右をしたほうがいい話が増えてくるよ。
気をつけてね。

雨の音がする。

暗い。

滴り落ちる音がする。

赤い。

たいせつなものがこぼれ落ちる音がする。

冷たい。

雨の音がする。

動かない。


もう、何も聞こえない。


何も聞こえない。はず、だった。

ここ好きポイント。

「おはよう、ククツミさん」

悪夢に囚われていたククツミを起こしてくれたのは、シャロンくんとヒマノくん。
そしてバンク。

助けを求めたバンクがシャロンくんとククツミの部屋の間の壁に穴を開けたことで、ククツミに罰則ポイントがつきました。
これはまぁ、必要経費ということで。
(バグちゃんマーケットで『贖罪券』を買うことで罰則ポイントを減らすことができます。安心。)
穴は今も開きっぱなしです。

改めて、起きたククツミはヒーロー陣営として様々なミッションを進めていきます。
ミッションはもちろん『報告書(作品)』にしなければ達成扱いとならないため、持ち主も〆切に追われながら頑張って作りました。

例えば、“武器を決めよう!”
(これから重要なところで関わる、リラくん“たち”との初エンカウント)

例えば、“ヒーローっぽいことをしよう!”
(ほぼ全員から「乙女ゲーム?」って感想をもらった作品です。なんでやろなぁ)

例えば、“マギアレリックを使って攻撃しよう!”
(バンクがぺちぺちするだけ。痛くないよ)



例えば、vsイベントとは全く関係のない『シャロンくんで遊ぼ』をしたり。

シャロンくん“”遊ぶシリーズといえばやっぱりこれだよね。
持ち主としてもこの動画が一番好き。

他にもヒーローのミッションは、
“リーダーを決めよう!”
“口上を述べよう!”
“相手の役職を看破しよう!”
などがありました。
“正義の名の下に悪と思しきドールを1人傷つけよう”
なんていうものも。

なんやかんや。
(詳しくはそれぞれの作品を探してみてね)

イベント最終日、無事に全てのミッションを達成しましてヒーロー陣営の勝利です!やったね!

因みになんやかんやしたペナルティとしてククツミは「1ヶ月悪夢を見続けてな」ってされました。
悪夢againです、大変だね。
もちろんペナルティに関しては「そういうものがある」と理解した上で選んだため、ククツミも持ち主も納得しています。

ただちょっとタイミングがものすごく悪かった。

vsイベントよりももっと前、秋祭りの終わり頃からククツミは、とあることに巻き込まれています。
ククツミの被害状況としてはこんな感じ。

・「自分と××の仲を引き裂こうとしている」と勘違いされる
・変装魔法を使ってなりすましをされ、飼育委員の仕事を奪われる
・不快感をあらわにした返事や表情をされる
・「嫌い」だと面と向かって言われる
・「全部奪った」と謂れのない非難をされる
・「あんたなんかいなければ!」と叫ばれながら机と椅子を投げつけられ、大怪我を負わされる

(相手さんは脱退済み)

Q. だいぶやばいことをされていませんか?
A. はい。されています。

それがこの話。

シャロンくんの『蘇生奇跡』(ほぼ全ての怪我を一瞬で治せる)のおかげで後遺症も無く過ごせるようになったけどね。

それでもね、痛かったよね。
怖かったよ。

ククツミが抱えていたものは、自己のことではなく『みんなが』楽しんでいるパーティを潰すことへの不安と、そうならなくてよかったという安堵であった。
シャロンは言葉をグッとこらえ、ククツミの頭を静かに撫でる。

『みんなの平和』が最優先のククツミ。

その後のお相手さんの謝罪は「勘違いだった」というだけで終わり。
償いの言葉もなく、第三者に言われてから「償うためにはどうすればいいか」と、傷が癒えてきた被害者の心に土足で踏み込むようなことをされて。

ただ、傷つけられる。
そんなことに、ククツミは巻き込まれました。

(相手さんが脱退されたため、この話はこれ以上なにもありません。そういう事実があったよ、ってだけのまとめ)

悪夢の日々であることも相まって、ククツミのメンタルはボロボロです。

だけどね、少しだけ。
嬉しいこともあってね。

ククツミを見てくれる子が、居ました。
ククツミを大事にすると、ククツミを幸せにすると、隣に居ると約束してくれて。
大切にしたいと、愛したいと思ってくれる子に出会えたことは。

ほんの一瞬だったとしても。
嬉しかったんだよ。

(一覧にいない?はい、そういうことです)

ドールに血縁関係や生殖機能はありませんが『恋人関係』というものは成り立ちます。
強いて言えば「誰かを特別に想う」でしょうか。

みんなの平和が第一で、自分はその中に居なくてもいいと考えていたククツミにとって、『特別』を選ぶことはとても難しいものでした。

けれど、自分を特別だと伝えてくれて、自分を大切だと選んでくれた誰かさんに惹かれ始めて。
自分のワガママに、特別を、『好き』を選んでもいいんだとみんなに教えてもらって。

晴れて、ククツミと×××は恋人関係を結ぶことができました。
幸せだったね。


シャロンくんはそれを聞いて、安堵して。

自分がいなくてもこれからのククツミさんは大丈夫、任せられる、と思って。

自分のために『知ること』を選びました。


ガーデン、箱庭にはたくさんの謎があります。

例えば『欠けたもの』
例えば『立入禁止区域』
例えば『マギアビースト』
例えば『願いを叶えてくれるかみさま』
例えば『ガーデンの歩みの本』
例えば『公開処刑』
例えば『神話の本、および原本』
例えば『知恵の種』

例えば、『ガーデンに持ち込まれた太陽の花は全て没収される』とか。

それはなんのため?

『どうしてセンセーは、ドールたちにミッションを課すのか』とか。

『そもそもどうしてセンセーは、ドールに欠けたものがあることを知っているのか』とか。

『どうしてセンセーが細部まで把握している事件イベントの解決を、ドールたちに任せるのか』とか。

『どうしてセンセーは、ドールが優等生であることをいつも願っているのか』とか。

『優等生であってほしいドールに、どうしてセンセーは「自分を壊せば真実を教えます」なんて言うのか』とか。

「センセーは」

「ガーデンは」

「この箱庭は」

「なんなんだ?」

けれど、ガーデンが。
そんなことを、簡単に教えてくれるわけもなくて。

これだけの覚悟を持って事を成したシャロンくんへの返答は、とても簡素で、とても無慈悲なものでした。

知るための手掛かりが潰えてしまったシャロンくんは、それでも知るために歩き続けます。

「他に」

「どうしたら」

「なにを、知ることができる?」



「ボクの」

道標みちしるべは、どこにある?」






センセーガーデンから示された『道標みちしるべ』は、たったひとつだけでした。


【ATTENTION】
※以下、ガーデン・ドール最重要項目『最終ミッション』についての言及があります。








ガーデンは、

どうして『欠けたものを取り戻す方法』を

最終ミッションとして提示したんだろうね。




とはいえ、その最終ミッションは生半可な覚悟では達成できないものでした。

シャロンくんは、最終ミッションについては一度目を瞑り、どうにかして他の方法で『なにか』を知ることはできないかと頭を悩ませます。

資料を漁り、予測を立て、工程を練り。

シャロンくんの目に止まったのは『神話の本、および原本』にある記述。

『知恵の種』についてでした。

ただし、きみのたいせつなものをよっつもらうよ
それでもいいかい?

願いを叶える代償は、とても大きく。
それでもまじゅうは、会いたくて。

神話の本は静かな終わりでしたが、原本はあまりにも救いのないもので。


それでも。
『知恵の種はあれではないか?』という疑問は、調べれば調べるほど確信へと迫り。

例え、その代償にこの身が朽ちようと。
知恵を欲した、あの神話の魔獣のようになろうとも。

少なくとも、自分がやれば、他の子は"知る"ことができるはずだ。

たったひとつでも、
『知る』ことができれば、きっと。


10月ごろから、『かみさま』を自称するアルスという少女が箱庭に現れていました。
かみさまは、『決闘』の勝者の願いを叶えるという能力を持っています。

かみさまに、知恵の種を願おう。
決闘の相手は、誰が良いだろうか。

声をかけられたのは、ククツミでした。

「いちごをたくさん食べたい」という願いを叶えたいから、という建前でシャロンくんはククツミに決闘を挑みます。

ククツミはそれが本当の願いではないと理解しつつ、シャロンくんが本気で叶えたいことだろうからと納得し、勝ちを譲りました。

まさか自分が溶けてなくなる可能性のあるものも『知れることかもしれないから』と実践する予定だったとはククツミも思っていませんでしたよ、ほんとに。

↑これね、とても好きだから読んでほしい。

これまでのククツミを、ずっと見てきたシャロンくんだからこその、言葉で。
行動で、感情で。

本当に、この作品が好きなんだ。




だからこそ、もう。
『大丈夫』だと、思ってしまったから。

願いを叶えた。
31個の種が降り注いだ。
全て飲み込んだ。

なにも、起きなかった。

呆然としたシャロンくんは、当てもなく箱庭を彷徨い、冬エリアに辿り着きました。

そのまま、ガーデンに帰ることなく数日を過ごします。


何度も、他の道を探した。
何度も何度も、抗い続けた。

それでも知れなかった。
なにも、分からなかった。

あとは。

確実に、知ることができるものは。

残された、『道標みちしるべ』は。


1/29の出来事。

迷子の誰かさんを探しに行く話。

これは、私(わたし)が歩んできた物語。

ククツミの、これまでの軌跡。

だけど、こんなボクを大切だと。
居てくれないと困ると。
そう言って、泣いてくれた子がいた。
滅多なことでは取り乱すようなことはない子が、朝から必死になってくれていたと、聞いた。

どうしようもない、ボクなんかのために。

そんなきみだから、ボクは。

ボクは。

傷つけたく、ないんだ。

誰よりも。
絶対に、傷つけたくない、傷ついてほしくない、のに。

どうしようもないボクは、またどうしようもないことを考える。

1番、傷つけたくないドールが
シャロンくんの中で、決まってしまった話。


迷子は見つかり、天気は快晴。

けれどシャロンくんが冬エリア(発見したのは秋エリア)から帰ってこれたというのに、ガーデンは雪景色となりました。

このイベントもククツミとシャロンは関われていません。余裕が!なかった!

各季節のエリアで天候を司る石が別のエリアに隠されてしまったため、春エリアが夏になり秋エリアが春になり、とてんやわんや。
ガーデンは2ヶ月間、毎日雪が降り積もる冬となりました。

学園の授業は軒並み中止となり、風紀委員が雪かきをする日々。
(因みに学園に定期テストなどはありません。普段の授業も出なくてもオッケー。学び舎とは)

しんしんと、音もなく白く染める雪に、シャロンくんは熱にうなされながらも考えてしまいます。

これからのこと知ることができるものを。



【ATTENTION】
※以下、ガーデン・ドール最重要項目『最終ミッション』についての言及があります。

もっと詳しく喋っちゃうよ。いいね?







Q. 最終ミッションってなぁに?

A. 『キミが最も傷付けたくないドールの人格コアを飲み込もう!』
そうすることでキミの『大切なもの(=欠けたもの)』が何だったのか思い出すことができます。

・ドールは肉体が損傷してもガーデンの技術で次の日には再生される

・『人格コア』を破壊されると性格が変わる
・人格コアだけはガーデンの技術では修復できない

軌跡《0》で書いたもの。


つまりは、その“人格”の死です。

『過去に無くした、自分の大切なもの』

『今の自分にとって、大切なドール』

貴方の天秤は、どちらに傾きますか?




それは、とある満月の日。



ひとつの約束が、交わされた後に。



白く染め上げられた、グラウンドの。

とても綺麗な、月の下で。


【ATTENTION】
※心の準備。









シャロンくんは、欠けたものを思い出しました。
自分にとって大切だった、奪われていたものを取り戻しました。

最終ミッションの達成を確認した『センセー』から、いくつかの選択肢が提示されます。
それはいわゆる、特別な報酬のようなものでしょうか。

その中に『相手の人格コアを復元する』という提案もありました。
とても魅力的で、とても幸せなルート。

今日あったことを全て無かったことのようにできる、明日も変わらず“ククツミさん”と過ごせる、夢のようなエンディング。

これからも変わらない、レール道標の上の日々。

けれど、シャロンくんの選択は。

「ボクの罪を、無かったことにしたくなかった」

他者の道標に頼るのではなく、
自分が決めた道を、歩くために。




こうして、これまでのククツミの人格は終わりを迎えます。

けれどククツミも、結構この人生を、この終わりを気に入っていたんですよ。

最も大切な友人のために命を捧げる、なんて。

とても幸せで、苦しくて、つらくて、でも最高な終わりだと思ったんですよ。

明日のククツミの人格に、全てを投げ渡すことになっても。
シャロンくんに、許されなかったとしても。
恋人に、許されなかったとしても。

私(わたし)の生き方として、幸せな終わりだと思ったんですよ。


けれど、このふたりは寮生ドールの中で初めて最終ミッションを達成しました。
そのため、とある箱庭の事象世界のルールが存在することに、気づきませんでした。

『コアを破壊されたドールは、その日の記憶を全て失います』

ということを。

人格が変わったきっかけを覚えていれば、新しい人格も納得したことでしょう。
人格が違っていても、同じ“ククツミ”であれば、きっとそうしていたと理解できるでしょう。

その記憶が、明日のククツミには一切ありません。


過去の記憶がありながら、それが自身と切り離された記録でしかないものを抱えて。

明日のククツミは、どう生きるのでしょうね。

それは、次の軌跡《2》で書き連ねていきましょう。




9972字。
おかしい、こんなはずでは。

ここまで読めた人は猛者です。すごい。
ククツミの軌跡《1》を投稿することも、とても時間がかかりました。ごめんね。

それだけ、8月〜2月までの半年が濃い時間だったと思っていただければ。


持ち主としては色々と想定外なことに巻き込まれながらも、ちゃんと作品としてカタチにできてよかったなぁと思っています。
誰かと一緒に作品を作るって難しいね。

でも、上手く噛み合うと本当に楽しいんだよ。
シャロンくんの持ち主さん、月館つむぐさんに出会えてよかったなぁ、と思ったり。

これからも、ククツミには多くの受難が待っています。困ったものだね。

それも全て、ククツミの物語なので。
これからも見守っていただけたらと思います。

軌跡《2》は早めに出したいなの気持ち!
おそらく多分きっとメイビー。

ではでは。




忘れちゃいけない、ひとつの約束。


忘れてしまう、最後の1日。

けれど、この日のククツミは。

本当に、この約束に救われたんだよ。


続きは次の軌跡で、また。

しらさやツミハ


#ガーデン・ドール

【企画運営】
トロメニカ・ブルブロさん