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さゆたそ の親友はなぜ わざわざ自殺したのか

さゆたそとは『ひげを剃る。そして女子高生拾う。』に出てくる女子高生ヒロインです。原作はラノベですが、この記事は放映されたアニメだけを見ての考察になります。

さゆたその親友で自殺した人の名は「真坂結子(まさかゆいこ)」というので、以後結子と呼びます。まさか結子とは。

「わざわざ自殺する」の意味するところは?

なぜ「わざわざ」を付けたのかは、「さゆたその親友はなぜ自殺したのか」だと「いじめられたから」で済んじゃうからです。そんなの誰から見ても明らかです。そんな自明なことについて記事を書く奴はいません。

しかし、結子が自殺した理由は「さゆたその気分が沈むのを見たくなかった」だったので、これだと自殺する必要があったかといわれると疑問符が付きます。

なぜなら、例えば結子がさゆたそを意図的に遠ざければ、さゆたそと結子の関係が薄れ、さゆたそがいじめられる結子を気にしなくなり、結果さゆたその気分が沈まなくなるみたいなことも考えられるからです。

このように、代替手段がいくつも考えられる中でなぜわざわざ自殺という手段を取ったのか、がこの記事で考察したい主題です。

メタ的な答え

さゆたそが家出するくらいの強烈な理由を作るため”

これがメタ的には絶対正解だろう答えです。

もしあなたが作者だったら、まず最初に家出したさゆたそ、その後に家出した理由、と考えを進めるでしょう。旭川第六高校で生活する結子とさゆたそを、吉田さんより先に考えていたはずがありません。

そして、その強烈な理由のためには親友などの大切な人を自殺させるのが最もありがちです。多くの人がこのような手段を最初に思いつくことでしょう。つまり、冷たい表現をすれば、結子はさゆたそが家出する理由を作るための道具だったわけです。


メタ的な読みも作者の人間味が感じられて面白いですけど、やはりロマン的には作者の存在を消し、物語の中だけで理由付けしたいですよね。それが次からの章です。

結子メンヘラ 説

‟結子は、さゆたその記憶に自身を強烈に印象付けて忘れられないようにしたかった”

先に言っておくとこれは半分冗談です。

結子は相当さゆたそLOVEだったようなので、結子がメンヘラだとしたらありえます。

しかし、結子がメンヘラであるような考えを助長する描写はありませんでした。よって、作者の意図に反するので全部冗談です。ただどのように物語を解釈しても自由なので半分冗談にしときました。メンヘラが好きな人にはいい解釈かと。

結子がさゆたそと離れたくなかった 説

‟結子はさゆたそが大好きだったため、さゆたそを自身から遠ざける手段を取りたくなかった”

章:「わざわざ自殺する」の意味するところは? でも述べましたが、結子はさゆたそを遠ざけることでさゆたそが結子で悩んだりすることを防ごうとすることもできたはずです。

しかし、結子がいじめられているとき、さゆたそは結子を励ましていました。これは結子から見ると、大好きなさゆたそが自分のために尽くしてくれているような感じになります。

もし仮に結子がさゆたそを遠ざけたら、さゆたそとの一切の交流は途絶えます。しかも少なくともしばらくの間、結子は独りでいじめに耐えなければなりません。この状況に耐えられる人がいるでしょうか?いないでしょうね。

しかし、結子がさゆたそと関係を断たないかぎりいじめは続き、さゆたその気分は沈んだままです。

結果、さゆたそを遠ざけないで関係を断つには自殺しかありません。これなら死ぬ瞬間までさゆたそと一緒ですから、結子からすればさゆたそを遠ざけるような感じにはなりませんので。

なお、転校するという手段も考えられますが、まぁなんかの理由で出来なかったんでしょう。転校したらさゆたそと離れてしまいますしね。

結子は、さゆたそにとっての結子の大切さを過小評価していた 説

‟結子は、自分が自殺してもさゆたそがそれほど悲しまないと思っていた。なぜなら、さゆたそへの想いは片思いだから;私とさゆたそは住む世界が違うから”

先述したとおり、結子が自殺した理由は「さゆたその気分が沈むのを見たくなかった」なのですが、普通に考えれば、友達がいじめられているより友達が自殺したほうがよっぽど気分が沈みます。

無論死んでしまえば「さゆたその気分が沈むのを‟見る”」ことはないのですが、本当にさゆたそのことを想っているなら、自殺してさゆたその気分を地に落とすようなことは(自分がそれを観測できるできないに関わらず)しないはずです。しかし、結子がさゆたそのことを想っているのは明らかで、実際に自殺したのも明らかです。

だとしたら、結子は「自身が自殺してもさゆたそがそこまで悲しまないだろう」と思っていたのではないでしょうか。以下、理由を説明していきます。

まず、「結子は顔がよくないのだ」という作者の意図があります。これは そばかす・メガネ・お下げ の3点セットキャラデザから明らかです。(明らかなブスにしないのは、アニメが娯楽である趣旨に反するからです。アニメを見てまでブスを見たくはないですからね。)

そして、結子はさゆたそのことを可愛いとかなんとかべた褒めしていて、自分とは住んでる世界が違う的なことも言っていたはずです。

だから、そんな高嶺の花であるさゆたそが、まさか低スペックな自分のことをここまで想っているとは思っていなかったのではないでしょうか。

ただ、この説には一見欠陥があり、それは「普通に考えれば、友達がいじめられているより友達が自殺したほうがよっぽど気分が沈む」ので、結子が自殺したらさゆたそはより一層気分が沈むのは当然、よって「自身が自殺してもさゆたそがそこまで悲しまないだろう」と思うのはおかしいというものです。

しかし、これに対しても私は反論できます。その反論は『結子は「さゆたそが自分のいじめを何とかしようとしているのは、さゆたその博愛的優しさから来たもので、決して自分をピンポイントで好いてくれているわけではない」と思っていた』という考えです。ただし、このような描写はアニメにはありませんでしたので、仮定するには少し無理があるかも。

まとめ

以上三つの説が、私が思いついたメタくない解釈になります。

ちゃんと言葉に表して気付きましたが、これら三つの説は全て両立可能です。例えば結子メンヘラ 説 が正しいとして、では他の二つの説が破綻するかというと、そんなことはありません。

結子は、さゆたそにとっての結子の大切さを過小評価していた 説 の最後のほうで少し無理があるといいましたが、これも他の説で補えるという考え方もできます。つまり、複数の説がどれも正しく、その両方を総合的に加味すると、そのときの結子にとっては自殺が最善手に思えたという解釈です。

ちなみに、私が一番推すのは、結子メンヘラ説以外の二つの説が正しいという解釈です。ただし、どう解釈しても自由ですし、もっとしっくりくると私が思える説もあるかもしれせん。

まー最後にはしごを外しときますと、自殺するような精神状態の人が、ここまで冷静に理性を回せるのかという考えもあります。もうなんでもアリになっちゃうので私はこの考え嫌いですけど。


(見出し画像のキャラ部分の作者:私。次からはもっと似せて描くようにします)

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