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人生初の補正下着(ブラジャーに限る)

誤解を覚悟で言うけれど、
「女の身体を持って生まれたからには女であることを楽しみたい」
と常日頃思っている。
男性にはない曲線の美しさや組織の柔らかさは女性ならでは、だと、
自分でも感動しているからだ。
(サカナクションの「ユリイカ」と言う曲のMVは、その意味で官能的で芸術的で大好きな作品である。)
とは言いながらも、
私の身体は女性的と言うにはほど遠いものではある。
胸はささやかだし、
お尻も少年のようで、
ヴォリュームがあるとはとても言い難い。
それでも、それなりに慈しんでやると、それなりに育つのが
手をかけることの楽しさでもある。

最近、遅まきながら胸を育てることに執心している。
いわゆる、「補正下着」というやつだ。
昔、昔。
若い頃に聞いた補正下着というやつは、
トルソーの部分を硬い素材の物でがっちりと固め、
お辞儀も出来ないくらいに締め付けて
そのせいで貧血と酸欠で倒れた、という一種の都市伝説的なものだった。
最近は素材が良くなったので、もっとのびのびしているようだが・・・
私は胴体の補正にはあまり興味が無いので、
ここのところ注目しているのは
「育乳ブラ」
という、胸のための補正下着である。
背中の肉、お腹の肉、脇の肉をかき集めてブラジャーの中に収納すれば
小玉スイカのようなむっちりとした胸が出来上がる、という代物だ。
歳を重ねてくると、
肉が重力に耐えきれずに下に下がるので、
デコルテ部分が痩せて見た目が寂しくなってくる。
そこに小玉スイカのような胸が出来上がったら、
見た目も気分も上がるというものだ。
ワタクシの肉の量では小玉スイカは無理であろうとも、
せめて、盛り上がった胸を一度でもいいから経験してみたい。
しばらく前から切に思っていたのだ。

この育乳ブラを扱うお店に試着に行ってみた。
試着するために予約が必要だなんて。
所要時間が1時間だなんて。
ブラジャーのためにこんなに時間を割いたことは人生で初めてだ。
でも、それだけ手間をかけて良かった。
人生で初めて、ささやかな胸に谷間が出来、小玉スイカとは言わないが、
リンゴのような胸が出来上がったのだ。
フィッターさんの肉を集める技術もすごかった。
肉を寄せていただいている間、足を肩幅に開いてしっかり立っていなければならない理由もわかった。
人間の肉は形状記憶なのだという。
毎日毎日「あなたは胸の肉だ」と言い聞かせながら寄せていると、
だんだんとその位置に定着するのだとか。
そのための正しい着用方法も習い、フィッターさんの目の前で練習する。
その頃には羞恥心なぞ、どこかへ行っているので、
少しでも不安に思ったら、即、聞いて、質問攻めにしてしまった。

あんまり真面目ではないし、
現在使用している他メーカーの物と併用しているので、
いまのところ、残念ながらなかなか成果は出ていない。
それでも、私が決めているブラのローテーションで
育乳ブラが巡って来ると、やはりちょっと違う気分である。
のんびり育てているので、
効果が出るまで時間が掛かるだろうけれど、
せっかくもらった女性の身体をとことん楽しんでみたいと思っている。

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