二ヶ月も咳が止まらない
咳のし過ぎで声のトーンがぐっと低くなった気がする。
もともとハスキー寄りのヘンテコな声だが、
ここしばらくは止まらない咳のせいで
ますます迫力が出てドスが効いて来た。
それもこれも、かれこれ二ヶ月は止まらない咳のせいである。
6月の末か7月の頭頃から、
コンコン、と甲高い乾いた咳が出始め、一度出ると止まらなくなった。
そのうち、ひっきりなしに咳が出て、時には咳き込むようになり、夜中や明け方までも咳の発作に苦しめられるようになって来た。
咳の発作は一度出ると呼吸困難になるまで止まらない。
しまいには、中身が出ないまでもえずいてしまい、大変苦しい。
水面に浮かんでしまった深海魚のように、
口から臓物が出てしまうような苦しみなのである。
そのせいか、食欲も落ち、夏の暑さも合わせて痩せてしまったが、
健康的に痩せたわけではないので、なんとなく、やつれた感じが漂う。
しかし、咳のし過ぎで全身の筋肉が痛い。
骨が軋む。
咳をするたび、前頭葉が痛んで頭痛になる。
もともと、小さい頃から風邪を引くと気管支炎になり、咳が苦しい時期を味わって来たから、今回もてっきり、気管支炎だと思っていた。
長くても二週間も過ぎれば落ち着くだろう、と。
ところが。
二ヶ月近くを過ぎた今もおさまらない。
当初の頃のように、咳が抑えられなくて話ができなかったり、話そうとして声が震えたり、昼間、何度となく襲われる先の発作に非常階段から外に出て収まるまで涙を流しながら延々と咳き込むことは減って来た。
夜も寝ていられるようになって来た。
でも、咳が抜けない。
人と話し込んでいると急に出て来た咳が止まらない。
横になると咳が出る。
エアコンの風が堪えて咳を誘発する。
日常生活になんやかやと支障があるのだ。
一度行ったクリニックは咳の症状があるからと、院内に入れてもらえず、その場しのぎの咳止めだけをもらって来たが、全くと言っていいほど効かなかった。
嫌気がさして放置していたが、良くなりそうで良くならない、この一進一退の状況にほとほと疲れて来た。
幸いにも職場は、個人が出す騒音にうるさくない。
私が咳き込んでいても耳障りな咳を始終していても、何も言わないでいてくれる。
いい人ばかりではないのだが、
本当にありがたい職場なのだ。
しかし、辛いことに変わりはない。
意を決して違うクリニック、今度は呼吸器の専門医でもある内科に行くことにする。
ところが、患者が殺到しているらしく、
診察開始の時刻に電話をしたら、すでにいっぱいなのだという。
話を聞くと、診察開始一時間前に受付が始まり、その時点でいっぱいになればその日はもう受付はしないのだという。
恐るべし、ローカルルール…
結局、そんなわけで電話をした日は診てもらえず、後日、仕事を休んで行くことに。
朝早くに朝食も取らずに出かけ、予約を取り付けて診てもらったものの、結果、今のところ、原因がわからない。
気管が炎症を起こしている事だけがわかり、
アレルギー性のものなのかどうかは血液検査の結果次第ということだ。
帰りには今まで見たこともないくらいの薬が処方された。
咳止めの飲み薬、漢方薬、シロップ。
朝の吸入薬、突発的な咳を鎮める吸入薬。
ああ、でも、この薬で少しは治るかなあ。
人混みに出て、埃のせいなのかなんなのか、
急に咳が出てしまい、お店の外に走り出たり、周りから白い目で見られたりする生活はもううんざりである。
それにはまず、大量の薬の飲み方の勉強から始めねば。
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