残念な夜、久しぶりの吉野家だったのに
先月のとある夜、会社からそう遠くない吉野家へ。
一昨日の夜、夫と二人でテレビを見ていたら突然牛丼が食べたくなった。
いつもは「すき家」の我が家だけれど、
今回は
「牛丼と言えば、の吉野家に行こうか、久しぶりに」
という話でまとまる。
たとえ、吉野家の牛丼だとしても、夜に予定のある日は嬉しい。
なんだか、朝からそわそわする。
そして、夕ご飯作りから解放される解放感。
食事を作るのは苦ではないけれど、
やっぱり時々は苦しくなるのだ。
会社帰り。
お互いに頑張って定時に上がって会社からそんなに遠くない吉野家へ向かう。
途中、いつも利用する”マイ”すき家の前に差し掛かるが、
今日は吉野家だと前を通り過ぎる。
その先に吉野家があるのだ。
久しぶりに訪れた吉野家はリニューアルしているようだった。
駐車場はほぼ満車で、端っこのほうへ停めてお店へと二人で歩く。
店内はやけに明るかった。
イマドキのカフェ風になっている。
私の見知っている「コ」の字型のカウンターではない・・・
そして、やたらとセルフコーナーが増えている・・・
私たちの前にもう一人お客さんがいて、メニューのパネルとにらめっこしている。
その数歩進んだ先にはレジカウンターがあり、
若い男がぼんやりと立っている。
いらっしゃませ、でも、お決まりの方はこちらへどうぞ、でもない。
本当にただ立っている。
前のお客さんがようやくメニューが決まって、レジへと進む。
私たちもメニューボードに張り付くが、
すごくメニューが増えていてすごく戸惑う。
そして、これがまた見づらくてわかりづらい。
メニューが決まったとて、レジへ進んでよいのかどうかもわからない。
レジの男を見てみると、明後日の方向を見てものの見事に知らんぷり。
あきれ果てているが、今日は吉野家で脳が支配されているため、
なんとなく後戻りもできない。
夫と二人、とりあえずレジへ進んでみるが、
ここでもレジの男、無言。
注文をしてみるが、レジの操作をしている間も無言。
かと思っていたら、何かをつぶやいた。
「え?」
と聞き返す夫。
「ナントカカントカ」(ものすごーく小さくてめんどくさそうな声)
と、また何かをつぶやくが全く聞こえない。
何度か聞き返すうちに、セットで頼んだサラダにかけるドレッシングを選べ、と言っていたようだった。
注文をし終わっても口の中で何かを言っていたと思ったら、
呼び出しの小さい機械を渡された。
これを持って、店内の適当なところに座って待て、というわけか。
ふと、レジの男を振り返ると、下を向いて何かをしていて
客が戸惑っていようが何だろうがお構いなし。
ガラガラの店内。
奥の席を選んで座るも、テーブルの上が前の客の食べこぼしで汚れている。
ダスターがあるので、拭こうと思ったら水が滴るくらいにびしょびしょ。
食べこぼしは拭けたけれど、そのあとのテーブルが濡れて、
気持ち悪くて紙ナフキンを持ってきて拭かなくてはならないレベル。
空調のクーラーが効きすぎていてまるで冷蔵庫。
早くもこの店に来たことを後悔する二人。
ま、でも、吉野家だし。
早く出てくるよね。
食べたらすぐに出よう。
と目と目で声にならない会話をしているが、一向に呼び出しが鳴らない。
吉野家って、こんなに出てくるのに時間がかかったっけ?
ようやくテーブルの上の小さい機械が鳴り出す。
かといって、呼ばれるわけでもなんでもなく、
「受け取り口」と書いてある窓に向かうと、
金髪の男がにやにやしながら無言で食事の載ったトレイを差し出してきた。
お待たせしました、とか、ごゆっくりどうぞ、とか、
せめて口先だけでも行ったらどうなんだろう・・・
紅ショウガもお茶も七味もどこにあるのかわからなくて探したよ。
後ろの台にあるって、どうして教えてくれないんだ。
お茶もお水もその台に給湯機械があったんだな、と後から気づいた。
一応、夫に伝えるが、
「早く食べて帰りたいからいらない」
と言われる。
そりゃそうだ。
食いしん坊の彼はこのあと「すき家」で食べなおしたい、と
言いかねない勢いである。
見た目だけはカフェ風に変わった吉野家。
女性も家族も入りやすいように白い店内にしたんだろうな。
明るくて白い店内はおじさんはさぞ入りにくいだろう。
私はおじさんではないけれど、
昔のコの字型のカウンターが懐かしい。
薄暗くて少し黄色い照明が懐かしい。
サラダを頼むと下からさっと出てくるあの方式が懐かしい。
紅ショウガも七味も
カウンターに座りながらかけるからおいしいんじゃないか。
全国に数ある吉野家のうち、
この店舗だけがこんな対応をしているんだと思いたい。
吉野家に対して悪いイメージを持ちたくない。
でも、でも、でも。
きっと、吉野家にはもう行かない。
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