講評「優しい繋がりと『始まる世界』」
まっさらな紙に線を一本、端から端まで引いて下さい。
線ひとつで一つの空間は二つに分かれましたね。
線を引いた空間の片方に、あなたが居ると想像して下さい。
線の向こうに見えたあちら側にいるのは誰ですか?
どんな考えで、どんなタイプで、どんな「ひと」でしたか?
あなたはたった一本の線でご自身とどんな「ひと」を区切ったんでしょうか?
とのむらのりこさん(以下のりこさん)は冒頭から純粋無垢な目線で、
穏やかに語り掛けます。
自分好みの線をひいて
自分が居る方の場所に安心し、
区切ったあちら側の世界のことなんてどうでもいいと無関心な方、
区別して関与しないまま生きて行くことが正義だと思い込んでいる方、
実はけっこう多いんじゃないでしょうか?
のりこさんの目線が真摯なだけに、
まっすぐな言葉が胸に刺さる方は多いはずです。
線で区切ったように見えたって、しょせん一枚の紙の上の話。
繋がっているし、同じ空間に居るのに不思議ですよね。
どうして線のあちら側に居て欲しいと願ったんでしょうか?
ご自身の傍に居ては都合の悪い方々だったのでしょうか?
のりこさんが「あえて使う」言葉たちが更に続けます。
「今ここ」にいる、同じ時代を生きている、その奇跡に敬意を払うべきなのだと思う。
理不尽な現実に、見事なまでの一石となる正論。
普段のほんわか優しいのりこさんの芯の強さが生む世界観。
その世界観には区切りなどありません。
あちらとこちらに分けて自分を安心させようとする安易な人々に
ストレートに届くはず。いや、届いて欲しいです。
のりこさんの真摯な世界観は続きます。
だからこそ、現実の理不尽さに「泣きながらも胸を張っていたい」。
区別されたことのある方にしか分からない哀しみが伝わってきて、
泣けて泣けて仕方ありませんでした。
息子の不登校が原因で、わたし達一家はあちら側にされました。
未知の生物を見るかのような、息子さんの人生積んだわねって思ってるかのような見下され方も体験したことがあります。
発達障害が分かってからは、更に線は太く、壁のようにさえなりました。
こちら側とあちら側。
その区切りはご自身の心を安全に守る為の物でしょうが、
区切られた方の痛みを物ともしない理不尽な差別です。
のり子さん自身が幼かった頃のお父様との体験談。
引用ではなくて、ぜひのりこさんの言葉で読んで下さい。
お父様の教えの重さと大事な約束を。
のりこさん、
一生忘れられない、
『公平で当たり前なひと』として生きる為の、
大切な教えであり、
守り続けたい約束となりましたね。
続く言葉達が私の胸に刺さります。
私の願う優しい世界を知って下さり、
共感して下さり、
ぐーんと広げて下さった、
のりこさんのとても心強い言葉と想い。
ありがたくて涙が出ます。
心から感謝します。
素敵な作品を読ませて下さってありがとうございました!
とても心強いエールでした( *´艸`)