「お母さんだって守られたい」—産後の孤独と不安に必要なこと
あるお母さんの涙から
先日、3か月の赤ちゃんのお母さんとお話しする機会がありました。
「つい赤ちゃんに怒鳴ってしまった…」と涙を流すお母さん。
その背景には、ご主人が夜の仕事で日中は仮眠を取るため協力が得られないこと、そして「ホルモンのせいにするな」という無理解な言葉がありました。
「お母さんが大切にされる時期に、ご主人からの保護がとても必要です」と伝えたところ、彼女の表情に少し安堵が見えました。
私自身の経験:シングルでの産後3か月
実は、私自身も産後3か月頃は シングルでワンオペ育児 をしていました。
息子との時間はとても楽しかったですが、同時に 「私も何かに守られたい…」 と感じることがありました。
バリバリ仕事をしてきた私ですが、そんな気持ちになるなんて思いもしませんでした。
「誰か教えておいてよ…」と心の中でつぶやいたものです。
「お母さんになると、こんなふうに守られたいと感じるんだ」 という新しい気づきがありました。
考えてみると、これは自然なことです。
赤ちゃんに母乳を与えている時期というのは、動物の世界では「最も弱い時期」 です。
本来なら、誰かが母親と赤ちゃんを守らなければ 生き残れない のです。
だからこそ、人間の世界でも、産後のお母さんが 「守ってもらいたい」 と感じるのは、当然のことなのです。
産後のお母さんの心理的退行と「原初的没頭」
産後の母親は、心が 「生涯の初期」 に戻るかのような心理状態になります。
これは 「心理的退行現象」 と呼ばれる自然な反応であり、赤ちゃんに全ての愛情を注ぐための大切な期間です。
しかし、その一方で、母親自身が 守られ、安心したい という気持ちが強くなります。
これは「原初的没頭(Primary Maternal Preoccupation)」とも呼ばれ、母親が赤ちゃんの欲求やサインに敏感になる特別な状態です。
お母さんを守るために、周囲ができること
「お母さんの気持ち」を受け止める
「頑張ってるね」「一人じゃないよ」と言葉をかけるだけで、心が軽くなります。
具体的なサポートをする
家事や育児の手助け、少しでも休む時間を作ることが大切です。
産後ケアや支援を活用する
私も、産後ケアでお母さんにリフレッシュする時間を提案し、笑顔を取り戻すお手伝いをしました。
結び:「お母さんが守られること」が愛情の循環をつくる
お母さんが 安心し、守られている と感じることで、赤ちゃんへの愛情は自然と湧いてきます。
お母さん自身が 「私も守られていいんだ」 と思えること—それが、母と子の幸せな時間を支える第一歩です。
産後のお母さんが孤独にならないように。特に夫の対応は大きく関わってきます。周囲の理解とサポートが、もっと広がっていくことを願っています。