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赤ちゃんの力を信じて:助産師として29年の気づき
助産師として29年の道のり:赤ちゃんの力と私の気づき
助産師になり29年が経ちました。この職業を始めたばかりの頃は、まだ自分の判断力に自信が持てず、指示を受けて動くことがほとんどでした。現場では、医師や先輩助産師・看護師からの指示が多く、現実の厳しさに耐えながら日々を過ごしていました。それでも、「助産師になったからには成長したい」という思いで、その時々に目標を掲げて仕事に向き合ってきました。
最初の目標:300件の分娩を経験すること
学生時代、教官たちから「300件の分娩を取り上げてやっと一人前だ」と教えられていたことが、私の最初の目標でした。とにかく早く成長したかった私は、分娩件数の多い大学病院を選び、さらに分娩のアルバイトもして経験を積みました。
分娩を100件ほど取り上げた頃から、少しずつ分娩のコツが分かるようになり、恐怖心を克服できるようになりました。それまでは指示に従うだけで精一杯だった分娩が、やがて自分らしく行えるものに変わっていったのです。
赤ちゃんの「生きる力」との出会い
一人前になった頃、ある感動的な動画に出会いました。動画には、出産を終えたばかりのお母さんのお腹に、新生児をそっと乗せる場面が映っていました。すると、その赤ちゃんは自分の力でよじ登り、お母さんの胸元までたどり着いて母乳を吸い始めるのです。その瞬間、私は「赤ちゃんは生まれながらにして生きる力を持っているんだ」と深く感動しました。
この気づきは、私の助産師としての考えを大きく変えました。それ以降、私は生まれたばかりの赤ちゃんの力をお母さんたちに知ってもらうために、できるだけ赤ちゃんに母乳を吸ってもらうよう努めています。赤ちゃんが持つ「自立の力」に感動し、それを尊重することが、育児の第一歩だと感じています。
赤ちゃんはみんな力を持っている
赤ちゃんは自分で陣痛を起こし、何時間もかけて狭い産道を通り、自分の力で生まれてきます。この生命に組み込まれた「生きるプログラム」を目の当たりにするたび、私はいつも感動します。そして、どんな赤ちゃんもこの力を持って生まれてくるのだと強く信じています。
私自身と育児への思い
私自身、子どもに対する理解は得意なほうではありませんでした。母親は子育てが苦手なタイプで、私の成育環境では子どもに接する機会がほとんどなかったからです。それでも助産師になり、自分で判断できる仕事の楽しさを知り、赤ちゃんのすごさに気づきました。この経験が、今も私の原点です。
現在、地域での子育て支援や産後ケアを通じて、赤ちゃんが持つ素晴らしい力をお母さんたちに伝えたいと思っています。赤ちゃんたちは自分の力を持って生まれてくる。その力を信じて、育児を進めてほしい――それが私の願いです。