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10/31決算発表【JT(日本たばこ産業)】

会社概要

「人のときを、思う JT」
CMでもおなじみのこのフレーズを謳うJTは、
たばこメーカーの会社です。

【コロナ禍でも「個人株主」が増えた会社トップ100】の
第三位(21万人増加)を獲得しており、
代表的な高配当株として、個人投資家に非常に高い人気を誇っています。

そして、大株主は、財務大臣で33%となっています。
JT法というものがあり、政府が3分の1を保有しなければいけない特殊会社です。

東洋経済

そんな、JTについて解説していきます。

事業内容

JTは、タバコ事業という独占的なビジネスモデルをおこなっています。
営業利益率が24%と、とても高いのが特徴です。
資本力も抜群で、参入障壁が高く、安定しています。

タバコ事業を柱(売上の約9割)として
テーブルマーク(冷凍)と鳥居薬品(製薬)を中心に
食品・医薬品も展開し、全て売上増加中です。

1990年代後半から海外へも進出し、
現在は海外タバコの事業が6割(国内事業が3割)を占めています。

2016年から加熱式タバコ、「ブルームテック」シリーズを拡販し
計画の売上を越しました。

2022年の第3四半期での発表時点で7.9%のシェアを誇っています。
IQOSには大きく遅れを取っていますが、2021年8月[ploom x]の発売により、
シェアを伸ばしています。
今後どこまでシェアを伸ばせるかが、国内の売上を左右します。

利益

そんな独占事業で安定していそうなJTですが
利益率の推移を確認しましょう。

今期は円安の影響もあり、回復しておりますが、
年々、利益率(オレンジ線)が減っています。
タバコ産業の未来は明るくはありません。

タバコの販売数量は1996年度をピークに落ち込む一方。
3483億本だった紙巻きタバコの販売数量は
2019年度に1181億本と3分の1まで減少しました。

さらに2020年4月にできた健康増進法(建物の屋内が原則禁煙)のため、
国内での喫煙者がますます減ったのは言うまでもありません。

一方、海外はどうでしょう。
国内の売上が年々減少しているのに対して、海外での売上は増加しています。

特に今期は、ルーマニア、ロシア、トルコを主要とする、
EMA地域(東欧・中近東・アフリカ)が、
前期比800億(54%)増益しており、全体の増益は、ほぼこのエリアの増益分です。アジアは減益、西欧地域は7%増です。

配当

さて、肝心の配当はいかがでしょうか。

右肩上がりだった配当が、2021年に、配当還元方針の変更を発表。
「配当性向75%を目安」 ※プラスマイナス5%の範囲内

結果、減配となりました…。
(一時、株価が下落(2,155円→1,898円)しました)

今期は10円増配し、更に3Qで38円の増配をしました。
12月権利確定分を最後に株主優待制度は終了

ちなみに、日本企業の配当性向の平均は 30~40%程度なので、かなり高いです。

株価について

チャートを確認します。
月足を見ると、2016年2月から4年半続いた下落相場が、
2020年7月の1,812円をつけて、反転しています。
緩やかな上昇に入っているので、テクニカル的に悪くありません。

リスクについて

ESG投資に反しており、時代と逆行している。
その為、先進国では、基本的にオワコン。
・ロシアリスク(
ロシア・ウクライナで製造したタバコの輸出の停滞リスク)
現状、事業運営を継続していますが、
「グループ運営からの分離を含めた選択肢の検討」をしています。
JT全体のうちロシア事業は、売上11%、営業利益21%を占めており、
最悪のケースはこれが消滅する事です。
ロシア国内でのシェアは37%で、トップシェアレベル。
⇒ロシア事業が消滅した場合、配当が140~150程度に減配になる可能性有り。

まとめ

配当利回り6%以上で安定しているので、株価が下落したとしても、
超長期で保有するのであれば、配当金の恩恵の方が勝る可能性が高いといえます。

今後のJTの業績については、
・為替の影響(円安の継続)
・国内⇒加熱式タバコのシェアをIQOSから取れるか
・海外売上の成長率
(特に、ルーマニア・ロシア・トルコを主要とするEMA地域)
この3点を四半期毎に決算を確認し、崩れそうなら早め撤退の検討も必要。

以上、いかがでしたでしょうか。
ご参考にしてみてください。

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