「開発責任者が語る!なぜ今Terra Droneが面白いのか?」~測量事業開発編~
はじめまして、テラドローンで開発責任者をしている塩澤です。今回テラドローンはシリーズBにて80億円の資金調達を実施をいたしました。
本Noteでは、私と明比より測量事業の開発サイド(ドローンの機体やクラウド開発)を中心に面白みをお伝えしていきたいと思いますのでぜひ最後までお読みください!
自己紹介
測量事業技術部長 塩澤 駿一
・創業1年目の2016年TerraDroneにインターンとして入社
・早稲田大学 機械科学専攻修了後、新卒でTerra Droneへ入社
・大学の研究室の技術であるドローンレーザマッピングシステムを事業化
・スウェーデンにあるSLAMドローン企業にて海外開発駐在も経験
シリーズBで80億円の資金調達を行った背景
本ラウンドより、三井物産、SBIインベストメント、東急不動産、九州電力送配電、西華産業等新たに5社に加えて、国土交通省の官民インフラファンドである海外交通・都市開発事業支援機構( 政府が重要な政策と位置付けるインフラシステムの海外展開を支援)より、ベンチャー企業投資として初の出資枠も確保いたしました。
調達した資金は今後、安全で効率的な空の移動を支える「空のプラットフォーム運航管理システム」の開発や人手不足と老朽化が進むインフラ点検の課題解決を実施していきたいです。更には、長期を見据えた新規事業の成長資金としてドローンを使った社会への貢献を果たしていきます。
これまで我々は、国内で測量事業を中心に展開をし黒字運営を続けてきましたが、今後はさらにあらゆる産業課題に対してドローンとドローンに付随する技術で解決可能な「リアル価値」は何かを考え各業界でイノベーションを起こしていきます。
開発事業部のこれまでとこれから
元々、営業と事業開発部が強い会社であったため、産業課題に対する解決の道筋や事業自体の見通しは明るく安心感があります。しかしその事業計画を実現する為に、まだまだハード・ソフト共に技術的な設計と実装を進めていかなくてはいけない段階にあります。
今の技術組織は事業領域ごとに5、6人の開発チームとしてあり、それぞれ組み込みが強い、UI設計が強い、などチーム毎に強みに偏りがあります。社内勉強会を通して事業領域毎の連携や相互理解を深めていこうとしている状況です。
またドローンの社会実装が進む中で空からの3D点群、飛行履歴など様々なデータを集約した先を見据え、新たな価値を生み出していく研究分野にも本腰を入れる段階にきていると考えています。多様な技術者が集まり、皆で未来の空を描きワクワクしながら理想を実現していく、そんな組織にしたいです。
技術トピック
Terra Lidar開発責任者の明比 建さん
・早稲田大学 機械科学専攻修了(修士)
・学生時代、自律移動ロボットのコンテストへ参加やGPSを用いたドローンの姿勢検出技術の研究を行う
・新卒でキヤノン株式会社入社
・生産技術部にて、FA機器の基板設計や組み込みソフト開発業務に従事
明比さん)
テラドローンではUAVレーザ測量機器の内製開発を行っています。そのプロダクトついてまとめました。このnoteを機に、少しでも多くのエンジニアの方にご興味を持っていただければと思っています。
測量事業部で持っているプロダクトは2つ
TerraLidarHex (TLH)
TerraLidarOne (TL1)
どちらもUAVレーザー測量という超高精度な地図を作る技術で、その照射距離から地表の状態を計測する方法です。当然ながら、ドローンは常に空中で動いているので、その動きを計算に入れなければ正しく距離を測ることはできません。でもこのテラライダーなら、GPSを使って位置や機体の傾きを計算し、1cm単位のずれ、0.05度の姿勢の傾きも把握して計算。超高精度な地図を作ることができます
TerraLidarHex (TLH)
社員が在籍していた早稲田大学の研究室と共同開発
技術内容
・複数のGPSを用いた姿勢推定アルゴリズム
・位置姿勢とライダーのデータを組み合わせてマッピングする処理系も内製で開発
「研究レベルの技術を量産実現するための苦労」
特に顧客販売後は計測での失敗ができないため、信頼性をあげる必要があり、実証を重ねて研究では3つだったGPSを6つに増加。姿勢推定は3つのGPS位置が求まれば十分、に対して、6つのデータがあると過決定な問題になる6つあると安定性は増すけど、計算は大変になる。
このような問題をWahba問題といい、Qmethod法と呼ばれる計算手法によって固有値推定問題に帰着し、解を求める。
演算の工夫として、アンテナ間の距離が大きいほど姿勢推定精度が良いため、距離が大きいアンテナの組み合わせに重み付けすることで、更に精度向上を達成した。
TerraLidarOne (TL1)
TLHの販売後1.5年程度で、後継機として開発着手。
精度や重量の進化の他に
・その場でデータが正常に取得できてるか確認できない
・様々な解析ソフトを使用する必要があり煩雑(→クラウド化)
を解決するために開発しました
Tl1を搭載したドローンを飛ばしたらUSBの中に3D地図が出来上がっている状態を目指した。今までは後処理前提でデータ保存→リアルタイムにセンサストリームを解析し、演算する。そのためにROSを導入した。
このフレームワーク上で開発することで、現在ではライダーを別のものに取り替えるなどのモデルチェンジも容易になった。
「苦労したこと」
・正しくマッピングアルゴリズム実装できているかどうか
・限られたPCリソース内での実装
「実装の正しさの確認方法」
速度からC++での実装,デバッグが大変
今までmatlabやpythonで作っていた内製のマッピング処理系から,アルゴリズム部分にユニットテストを作成し,C++での実装に落としこんだ
リソース
ドローンに搭載できるような小型PCで大容量のレーザデータのマッピング処理が必要
メモリの使用量やCPU負荷に気を配りながら開発が必要だった.
負荷が高いと,例えば最初の20分はメモリの空きを食いつぶしながら動作するが,それ以降データが取れない,といったトラブルが起きる
その検証にいちいち20分負荷テストをするのは非効率的
各種リソース状況を周期的保存する仕組みを実装開発 / 保存したデータをPC上でグラフ化するスクリプトを整備
使用メモリ量と開放するメモリ量がバランスすることを確認した
ドローン業界でエンジニアをする魅力と価値とは
達成感があった仕事とは
明比さん)
自社の新プロダクトであるTL1をゼロから製作したことです。
プロジェクト開始直後はドローンに無理やりセンサを乗せて、配線やソフトを全て自分一人で実装しました。その半年後には外部メーカと協力しながら量産体制構築を行い試行錯誤を重ねて販売に至りました。この経験はかなり達成感があったっもののひとつです。
テラドローンでエンジニアをする魅力とその価値
明比さん)
自社のハードウェアプロダクトを持っていることが魅力だと思います。
自社で開発をした製品(ハードとソフトどちらも)が全国のドローンに乗って空を飛び、取得したデータが自社のクラウドへ上がってくるので、空からのレーザ測量データをたくさん見ることができ、先端技術を社会実装できてる実感が大変あります。この実感がやりがいと価値につながってくると感じています。
今後のドローンや空飛ぶクルマ領域について
塩澤さん)
私は自動運転の研究室出身ですが、レーザーやカメラを使って外乱に対して行動を決定するセンシング処理の面などドローン(空飛ぶ車も含め)は自動運転の技術の延長線上にあると思っています。
一方で、空にはまだ道もないですし、急に人が出てくることもない点ではドローンと自動車で異なっています。つまり空間の移動に関して「それ、上空でやった方が早くない?」と考えるべき場面が増えていくということです。
まだまだドローン業界には技術人材が少ないので、ドローン業界に技術者が増えることはもちろん、ドローン業界以外のメーカーの方々にも空の業界に乗り込んできてもらって、日本から世界の空の景色をつくっていくことができれば面白いとおもいます。
空の業界はまだまだ未熟ですが、100年前にはトヨタ自動車もなく、自動車が全く走っていなかったことを考えると、すぐに上空にドローンや空飛ぶ車が飛び交う時代がくると確信しています。地上で海外の大手が自動運転の実装を色々とがんばっているうちに、上空からゲームチェンジしていきたいです。だからこそ日本の技術者には地上じゃなくて、空の革命に張ってほしいなと、いうのが私の願望です。野望をもちワクワクしながら一緒に働ける方を募集しております!!
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開催します!4/7(月)18:30~
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Terra Drone(株) 広報:宮本/鈴木
電話 : 03-6419-7193
メール: pr@terra-drone.co.jp
HP : https://www.terra-drone.net/
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