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NPO法人GivingTree×シオヤコレクション!!

(この記事は2021年4月4日、シオヤコレクションがクラウドファンディングに挑戦していた際にMOTION GALLERYに投稿した記事を転載しています)



さて今回のアップデート記事は、シオヤコレクション(以下、シオコレ)が今熱い方々にお話を聞く対談企画第2弾!
シオコレが支援する「NPO法人GivingTree」の野口婦美子さん、畑山麗衣さんにお話をうかがいました!


シオコレ:NPO法人GivingTree さんについて、改めて教えてください!

野口:何らかの理由で保護者が子どもを育てられない場合、日本では児童養護施設で子どもを受け入れることが多かったのですが、近年、家庭的な環境で育てていこうという流れが広まってきているんです。
特定の大人との愛着関係を育むことや、家庭生活を体験する、家庭というものを肌で感じて育つことが大切と。例えば夫婦が喧嘩しても仲直りする姿や、ダラっとしているオフの時間の家族の様子も見るというのは、施設では限界がある部分ですから。

シオコレ:確かに。

野口:そうして行政も里親家庭やファミリーホーム(※注1)を推奨しているのですが、児童養護施設など組織が大きいところの方が、どうしても行政や民間からの経済的支援や寄付が届きやすいこと、里親へのサポートが十分ではないことを感じてきました。
それから里親家庭には、一般的な子育ての悩みの他に、子どもが自分の育ちについて疑問を抱くといった特有の課題や悩みをもつ場合も多くあります。
養子縁組されて里子を戸籍上自分の子どもにされた場合でも同じです。そこで、里親を支援し、さらに施設・ファミリーホーム・里親家庭から自立する若者(ユース)をサポートする活動をしていこうとNPO法人Giving Treeを立ち上げました。
また、地域の一般のご家庭から子育て相談を受けることもあり、サポートができたらと思っています。

※注1 ファミリーホーム:家庭環境を失ったこどもを里親や児童養護施設職員など経験豊かな養育者がその家庭に迎え入れて養育する「家庭養護」のこと。


シオコレ:なるほど、里親里子さん、そしてユースさんへのサポートと、地域のこと。
まず里親さんへのサポートの具体的な内容としてはどんなことがありますか。

野口:電話相談やカウンセリングといった相談支援の他、里親さんが里子との関わり方を学ぶ「ペアレント・トレーニング」の研修を実施しています。

野口:研修の中では、子どもたちが生い立ちを受け入れながら里親のもとで生きていけるよう、里親さんが里子のためにできる「ライフストーリーワーク」などもプログラムに取り入れています。またこの取組みが、里親さんどうしが繋がって悩みごとや情報をシェアしたり、支え合う機会にもなっています。
それから資金支援もしています。例えば中学校3年生の里子を受け入れることになって、急に高校入学などのまとまったお金が必要になる里親さんもいたりするので。現在、私立高校の学費や入学金の一部をサポートしています。
そうした行政の手が届かないところにアプローチしていけたらと思います。

ハンドブックも制作されています

シオコレ:畑山さんは、ユース(施設やファミリーホーム、里親家庭から自立した18〜30歳くらいの若者)をサポートする活動の担当をされていますが、内容はどういったものですか?

畑山:ほとんどのユースは18歳で自立を余儀なくされ、さまざまな要因がありますが、社会的養護(※注2)出身者特有の課題に多くぶつかります。本来多方面からのサポートが必要なのですが、中々整っていないのが現状です。
本人たちも、出自を含め自身について話しにくいために、困ったときに相談できるような人間関係をつくりづらかったり、ヘルプをだすこと自体が苦手なユースも多く、精神的、経済的に追い詰められてしまいます。2020年春から、高等教育無償化によって、社会的養護で育った子や母子家庭、生活保護の人を対象に、上限がありますが大学の授業料や生活費のサポートが始まりました。進学の選択肢は広がるのですが、制度を利用するための基準として「大学の出席率は半分以上」などの縛りがあり、生活費を稼ぎながら通学する大半のユースにとってはハードルが高いです。
GivingTreeの具体的なサポートとしては、例えば社会人になるときに必要になるスーツ助成、成人式の振袖の支援や、必要な物を仕送りする「ふるさとギフト」も定期的に行っていますが、そうしてコンタクトを取り続けることで、SOSを出せないユースが最悪の事態に陥らないように見守ることが大切だと思っています。
また、何か困ったことがあったときに、ふとGiving Treeを思い出してくれるように長く繋がれる団体でありたいと思っています。

※注2 社会的養護::親と⼀緒に暮らせない子どもたちを公的な責任のもとで養育すること。

シオコレ:始められて4年目ということですが

野口:昨年コロナ禍で海外の企業を含む各方面からの寄付がストップしたので、運営がたいへんで、いろんな事業展開を断念せざるを得ませんでした。

シオコレ:それは本当にたいへんだと思います。

野口:里親支援の方も、人数が集まってのペアレント・トレーニングなどが実施できなくなりました。里親どうしで会えなくなり、GivingTreeに子育ての相談をされる方が増えています。

畑山:ユースたちも、アルバイトができなくなったりして、経済面がさらに厳しくなりました。生活費が足りなくなりコロナを予防する衛生用品を買うお金もないユースもいますので、ふるさとギフトの頻度を上げたり、みなさんから寄付していただいたお金でサポートしています。社会とシャットアウトされて精神的に辛くなったというユースも多いです。
少しでも「ほっとした」と思ってくれたら。ひとりでも自分のことを気にかけている人がいると思うことがユースの心の支えになるんです。

シオコレ : 送る物は足りていますか?

畑山:食品は月に1回フードバンクからいただいている他、遠方から送ってくださる方もいます。灘の水道筋商店街からのサポートもあります。そういった寄付で今のところはまかなえていて、他に必要なものがある場合は助成金で購入しています。すでに子どもがいるユースには衣類なども送るようにしています。

野口:お正月にお餅やお雑煮を送ったら喜んでくれたりね。

シオコレ:そうですよねえ。今サポートしている人数はどれぐらいなのですか?

畑山:GivingTreeに登録されている里親さん31名、里子26名、ユース22名、一般22名、外国籍の方が10名、みなさん神戸市在住、計110名です。
昨年度は1741件の相談がありました。またコロナ禍で生活が不安定になった一般のご家庭もあり、子育て困窮世帯に対しては、ふるさとギフトの対象枠を広げてサポートを行っています。

シオコレ:みなさんGivingTreeにどのようにたどり着かれるのですか。

畑山:里親さんには行政がペアレント・トレーニングの案内をしてくれています。施設の職員さんであったり、ユース間の口コミも大きいです。

野口:出会いは縁だと思います。自分たちも支えられてるので、行政も含めて横のつながりがとても大切です。

畑山:私たちはNPOのフットワークの軽さを活かして、既存のサポート体制では対応しきれない、隙間からこぼれ落ちてしまうケースに寄り添える場所になりたいんです。私たちが、里親や社会的養護の経験者というのがGivingTreeの大きな強みです。

シオコレ:どんなことが励みになっていますか!

野口:いろんな人と繋がって、里親をされている方やこれからしたい方に、自分の経験を伝えて悩みを解決する糸口になれたら嬉しい、そう思うことですね。子どもたちが育っていくことにも喜びを感じているので、大変なこともあるけれどとても楽しいです。

シオコレ: 里親になりたい人が増えているとききます。

野口:啓発活動や関心は増えています。里親のための専門的な機関もあります。ところが前途のように、サポートが行き届いていない現状がある。里親の数は増やさないといけないのですが、申請する人が増えれば問題無いというわけではないので、いっそう頑張りたいですね。

シオコレ:本当に重要な取組みですね!これからの目標は何ですか。

畑山:実は兵庫県や神戸市は社会的養護に対するサポート機関は多いのです。それだけにNPOの方まで行政のお金がまわらず、Giving Treeの活動はほぼボランティアなんです!その上のコロナです。そこで収益事業を作ったり、より多くの寄付を集められる仕組みを作りたい。そのために、認定NPO法人にしたいんです。

シオコレ:認定NPO法人。

畑山:認定NPO法人になれば、寄付する側に税金の控除というメリットが生まれるので、関心を持ってくれる人が増えると思います。ただ、認定NPO法人になるのはすごく大変。書類や審査、細かい仕組み作りが必要です。
それから、GivingTreeが運営する「拠点」を作りたいですね。里親さんも社会的養護で生活している子どもたちも、ユースも地域の方も、気軽に立ち寄れて相談できるところ。あと海外ではすでにある取り組みなんですが、生活に困窮する人が服を無料で受け取ることができるサイトなどが作れたら。

シオコレ:おおそれは私たちもお役に立ちたい!他に、塩屋に住んでいる人ができることは?

野口さん:ある人が「塩屋に引っ越してから子育てが楽になった」と言っていました。昔から大きな児童養護施設があるので、地域の方に子どもたちが受け入れられている、理解されている、という環境がすでにあるのがありがたいです。
地域って、変わらない景色なんです。行政や施設だと、職員が替わるということがありますよね。でも例えば、塩屋の商店街などはそうそう人が入れ替わらないじゃないですか。そういう環境に子どもたちは安心するし、地域の中で育つことができたら嬉しいと思います。そうやって少しでも甘えられる場所や関係があるのはとても大切なことだと思うんです。
特定の子どもにではなく地域の子どもたちに、「おはよう」「いってらっしゃい」「おかえり」と声をかけてもらうだけでもいいんです。どの子も大事にされていたらそれがいいですよね。

挨拶や立ち話が絶えない塩屋の商店街。

畑山:とても関心のある方には週末里親(季節里親)などに参加していただくこともできます。

野口:そうですね、ずっと一緒に生活するのは難しくても色々方法があります。ときどきファミリーホームの子どもと遊んでくれる学生さんもいますね。そういう繋がりが地域で広がっていけば嬉しいですね。それから、先日のシオヤコレクションからの寄付を、2020年度の15人のユースへのふるさとギフト送料にあてることができました。こういった取り組みもとてもありがたいです。

シオコレ:稼ぎます!!笑
拠点づくりのお力になれるくらい頑張れたらいいなあ!頑張りますねー!今日もありがとうございました!

【NPO法人GivingTreeのホームページ
【詳しい活動の様子はこちらFacebookページ!】

畑山さんのイラストがあたたかいホームページ

以前お2人から、海外から寄付をいただいてるんです、と聞いたとき、そんな遠くからでないと無いわけ??と驚いたシオコレ。こんなに近くにいるのだから、何かできることあるでしょ、と思うのですよ!
そしてGivingTreeさんとのやりとりを重ねることで、シオコレも里親さん、里子さん、ユースさんのことをより身近に感じるようになっています。
これが一番大切なことだと思います。


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