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シオコレ・コーデ・リレーvol.9 ASUNA

シオコレに関わりのある人やそのまわりの人に、シオコレの古着を着てコラムを書いてもらう、ゆる〜い連載 #シオコレコーデリレー

第9回目となる今回は、音楽家のASUNAさんです。

ライブで塩屋に滞在していたタイミングでご来店いただき、旧グッゲンハイム邸の庭で撮影しました。


洋服はその人を表すものだし、みんな自分の個性に合わせて着る洋服の趣向が決まっていたりする。だいたい洋服の趣味がその人自身の個性もあらわしている。みたいな。でも自分は音楽以外に個性をかたちづくることを必要としていなかったせいで、じつは着るものにまったく頓着がないままに生きてきてしまった。

うちの姉が中学生の頃から広範にわたる様々なファッション雑誌を買っているような人で(石川県の田舎で深夜にやってた大内順子のファッション通信を夜更かしして欠かさず見ているような)いつもタイプの違う洋服を着ていた。友達と洋服の交換会をしたりフリーマーケット巡りして古着をたくさん買ってきたり。
そんな中でたまにお下がりというかサイズが合わないものがうちの姉から回ってきて、お金がない自分は服も買えないし姉からもらった古着をよく着ていた。自分は学生の頃は音楽とサッカーしか興味がなく、当時姉の買ってたそれらの雑誌にアンダーグラウンドな音楽家もよく登場してきてインタビューなどもあったので勝手に読んだりしていたくらい。

でもたまに音楽の作品の構想を膨らましている時に、音と一緒になぜかその場を形作る雰囲気とか洋服のイメージも一緒に思い浮かぶ時がある。なぜなのかは分からないけど、服の色とか図柄とか生地の質感とか形とか、あとはそれらがかたち作られてきた歴史の文脈などには興味があるのかも。

シオヤコレクションにある古着はすべて人から寄付されたものとのことで、それぞれの服に元所有者たちの個人の歴史が確実にある。優雅で楽しい時間を経てきた服もあれば寂しい変遷を辿った服もあるだろう。それが服の色の滲みやタグの情報とかボタンの補修跡から垣間見えたりする。とはいえ買う方は自分たちの趣味に合わせて選ぶだけなのでそんなことは関係ないかもしれない。でもある時に、買った古着の中に微妙に違う色の糸でほつれを修理したような跡をふと発見したりすると、大事に着られていたのかな、とか思ったりする。自分もよく服を補修してずっと着ていたりするから。そういった、自分自身が体験してきたこととは別の、何か知り得ない物事を省みたり思いを馳せたりするような行為ができることが音楽や美術の良いところだと思っているので、自分にとって服はそういった文化的な側面が好きなのかもしれない。
そう思うとシオヤコレクションにはあらゆる文化を背景とした服がたくさんあるし、ひとつの趣向にとどまらない感じは見ているだけでも楽しいし、自分の住む近所にもこういったお店があったらいいのになーと思った。


ASUNA(音楽家)
@asuna_aotoao


今回着用いただいた商品
■柄シャツ(2種類)
■その他私物

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