2111C志乃【予定】
意外と、病室のカーテンというのは真っ白ではないんだな、と視界を覆った様々な白を見比べて思う。壁は真っ白、リネンも真っ白。他人事みたいな肌触りのシーツと掛け布団の中から、クリーム色が混じったベッドの柵の冷たさに触れる。
疑似的に個室を作り出すカーテンは、視線を遮るだけの厚みを持ちつつ、柔らかく光を通していた。触れれば固く、きっと少し粗い手触りをしているのだろう。さっき見舞いに来て花瓶の水を替えに行った家族が隙間を開けていった。窓から風が吹き込んで、よく晴れた空の青だけが浮いて見えるほど明るい。
シンと静かな空間の中で、有休の残日数を数えた。年度末になったら、旅行に行こうと約束していたが。これでは、日帰り旅行がいいところかもしれない。
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