2107B志乃【造形】
金属のストローに絡まった真っ赤なガラスを、吹いて丸く膨らませる。ぷく、赤みが薄れて透明に広がり、混ざっていた白いまだらが表に出てきた。同時に熱の色がすうと引いて、透き通る。
パチン、とストローからガラスの風船を割り外して、水の中に落とす。ふわふわと浮かぶでもなく沈むでもなく暗い水中に転げるガラスの風船。続けてもう一つ、二つ。
ひらりひれを揺らして泳ぎ出す金魚は、口に入れたらくしゅりと割れて潰れてしまいそうだ。まんまるの体で不器用にゆらゆら動く姿が、例えば川の流れに置かれたならどうだろう。瞬きの間に海まで転げていくのに違いない。
水中の燈火にも似た魚は、手の中で、小さな水槽の中で、最初から最後まで作られている。
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