1901D志乃【灯明】

 薄暗がりに、ひとつ、ふたつ。
 昼行灯などまっぴらと、闇を見せ場に輝くモノたちが寄り集まる。
 色ガラス、アンティークゴールドの笠、白熱の光。内から照らされたランプシェードは、厚みや色のむらを浮き立たせ、我こそは闇を照らすにふさわしいと胸を張る。
 多角の星を模した吊り電球の笠に、曇りガラスの白い花を笠にしたランプ、ガスを吹き込むランタンのような古式ゆかしいものもいれば、丸底フラスコに電球を差し込んだような不思議な取り合わせのものもいた。
 高さを違えて釣られたもの、燭台のように机に置かれたもの、それぞれの装いで用途が違うのは見て取れる。
 求める灯はどれだ、と柔らかな光たちに迫られている気分だ。
 かち、かち、置時計の秒針が胸を逸らせる。

 周りの灯りに照らされて、静かに沈み込むランプシェードがいくつか。
 逃げるようにそちらへ手を伸ばし、そうして私は、灯りの燈らないランプと出会った。

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