2201A志乃【旧商店】
住宅街の端、傾斜のきつい坂道を下れば、街路灯に照らされた旧商店に突き当たるだろう。
破片も残らず抜けた二階の窓、往時は店名の幕を張っていただろう錆びた軒の骨、掃除もされず泥はねで下から灰色に染まったシャッター。二階は住居だったのだろうが、下階がなんの店だったかも、今となっては定かではない。ただ素通しの窓から覗く部屋に乱雑に積まれたガラクタが、塗料が剥げて薄茶に染まったトタン壁が、劣化して捲れかけた薄い屋根が、幾年も管理を放棄されていることを語っている。
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