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RWC2019ニワカの旅06
ラグビーを見始めて月日が経つと、色んなことが分かり始める……共に疑問も出てきたりするもので。
大半は調べればわかる事の方が多いけど、よく分からないことも多い。
そのひとつが「移籍」について。
プロ野球は規定があって簡単に移籍できないけど、ラグビーは頻繁に移籍が行われてびっくりした。
私は「チーム」としてのラグビーが好きだから、選手がチームからいなくなるのは悲しいんだけど、古参ファンはそうじゃないのかなぁ。
寂しくない? いなくなるの。
~小さな選手達~
4回目のラグビー観戦。
初めてのレベスタ以外のラグビー場だ。
ラグビー=レベスタというのが刷り込まれつつあった私とエナガ。到着したそのラグビー場を見て、目が点になっていた。
「すんげー田舎なんだけど」
「…超遠かったし」
グローバルアリーナはちょっと独特だった。
宗像市の中でもとっても端っこにあった。
屋根と背もたれがない色あせたベンチ型観客席、小さめ車載型ビジョンカーがぼつり、芝はちょっと荒れていて、得点板は手動、町内会的な出店。
初見での印象は…なんか…えぇマジでココで?いう感じ。日本代表がいるチームのグラウンドには、正直見えなかった。
レベスタとの違いに驚きながら開場までうろうろしていたら、太陽光パネルを紹介する見知ったロゴのスペースがあった。
「…も、もしかしてサニックスってあのシロアリの?!」
「ケント・ギルバートが出てた〝サニーックス〟ってCMのサニックス?!」
その瞬間まで宗像サニックスブルースの「サニックス」があの「サニックス」のことだとはミリも思っていなかった。と同時に福岡住まいの長い私とエナガは……すこし嫌なことを思い出していた…(あえて書かない)。
…何でサニックスがラグビーチーム持ってんだろうかね…なんてひそひそ話しながら(もちろん今はその理由を知っている)チームテントに寄って、メンバー紹介ミニリーフレットとメンバー表、ついでにファンクラブの申込書も貰ったりして席に着いた。今日はムーア選手出るらしい、やったね! 落ちてたメンタルがちょっと上がった。
試合開始。
相変わらずサニックスはだーって走るラグビーをしていた、爽快感あって面白い。
グローバルアリーナはトラックが無いから選手がすごく近い、迫力あって面白い。
ボールがすぐ観客席へ飛んでくるしそれをナイスキャッチする観客もいる、危ないけど面白い。
タックルをかわして走る選手たちを観て観客が一斉に歓声をあげる、賑やかで面白い。
町内会の出店的なフード、美味しくていい。
…いいじゃんグローバルアリーナ。
試合が終わる頃にはすっかりグローバルアリーナが好きになっていた。
試合後にムーア選手がインタビュー受けてて当初の目的も果たせた。
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試合終了後、初めてのグローバルアリーナでどっちに出たらいいかわからず、何となく人の流れに乗って行くと、対戦相手の選手が数人ジャージ姿のままにこやかに立っているところにたどり着いた。
片手を上げ、口々に
「ありがとうございましたー!」
と言っていた。
(なに??)
ほかの観客がその選手達とハイタッチしながら挨拶して通り過ぎていく。
(……マジか…?)
驚きつつも私とエナガは流れに逆らわないよう、赤いジャージの選手に近づきそっ…とハイタッチ。
そのまま通り過ぎて人がバラけたところで二人で
「選手、ムキムキだけど思ってたより小さかった」
「私と身長ほとんど変わんなかった」
「手ぇ冷たかった、寒かろうに」
「着替えもしないで半袖だったし」
と今起きたことについて興奮気味に話した。選手とハイタッチなんて予想外すぎるぅ!
私と対して変わんない身長の選手がグラウンドであれだけのプレーをしていたなんて単純にすごいと思ったし、選手にお見送りされるなんてことがラグビー界ではあるんだということに驚いた
選手との距離感が近い。
いや、選手だけじゃない。
RWC2019の帰り道に見た観客とボランティアも、その距離感が近かったよね、そういえば。
そしてお互いへの感謝と思いやりに満ちている。
これがラグビーの文化なんだろうか。
なんと素敵な世界ではないか。
ラグビーって、素敵!
そして私は宗像サニックスブルースのファンクラブに入った(郵便振込というアナログ方法だったのに驚いた)。
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こうして私のラグビーニワカが始まったけれど、その直後から今までみんなが経験した厳しい年月を経なければならなかったんだけどさ…。でもその期間があってもニワカから離脱しなかったのはこの日のハイタッチ事件(事件ではない)があったから。
単純に嬉しかったしすごいと思ったし、ありがとうと思ったあの一瞬の体験があったから応援し続けられた、と思う。
あの日私の中に生まれた〝ラグビーって、素敵〟の気持ち、大切にしてるよ、
今も。
あの時ハイタッチしてくれた
レッハリの選手ありがとう。
この日の結果。
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ここまで読んでいただき
ありがトマト。