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城水めぐみ川柳句集『甘藍の芽』(港の人)

港の人からまた一冊、川柳句集が刊行された。
何故かこの出版社からは女性柳人の句集ばかりが刊行されていて、(私の句集も含む)そして装幀も寒色系、という共通点もある。不思議。サイズや本の質感は異なるけれど、いづれも美しい造本。

めぐみさんの句集は小ぶりで、書店で手にした時にそのサイズに意表を突かれた。係の方に「カバーをお付けしましょうか」と尋ねられた時すぐに「はい」と返事してしまうほど、繊細なものに見えた。
電車の中でぱらぱら。
帯なし、栞文なし、序文なし、あとがきなし、解説文なし。
おそらく、自選で編集されたのではないかと推察する。
私はめぐみさんとは数回しかお目にかかったことがなく、ご挨拶程度の会話しかしていないのだけれど、お会いした時の印象そのままの本だ。
句集はその装幀なども含めて、作者そのものを表すものなのだと
いうことを改めて強く印象付けられた。
ただし(自費出版の場合は)という限定付きではあるけれど。
商品として売り物にする場合は、また別のお化粧が必要だから。

  人間を象りながら濁る水
  増えたのは楕円を円にするくすり
  三角に折られた過去を持つ鳥だ
  背もたれがあればやさしくなれたのに
  くちぶえがきこえる春のくぼみから
  性善説で賑わうプリン・ア・ラ・モード
  ウサギ語で再度送信するLINE
  斜めから見てもお菓子の家である
  慎重に折りたたまれた紙の父
  透明にされた身体の水を抜く

  






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