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オデッセイ、燃費どうにかならんかったんか。
唐突だが、車を運転することが好きだ。
免許をとったのは2020年4月、大学3年生になりたてだったので割と遅かった。
大学1年生の時は自動車学校に行く肉体的・精神的余裕などなく、大学2年生の夏に自動車学校へ入校するもコロナ鬱を発症したせいで期限ギリギリまで通う羽目になった。だが、免許を取得した途端、堰を切ったようにドライブ欲が爆発した。車という新しいおもちゃを得た子供のように、暇さえあれば深夜ドライブへ出かける男が爆誕したのだ。
初めて自分で行ったのは、手稲橋だった。よくドライブに連れて行ってくれた友人がお手軽夜景スポットとして教えてくれたこの場所は、札幌中心部から適度に離れており、最初の目的地としてうってつけだった。
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今でも覚えているのだが、タイムズカーシェア(今はタイムズカーと言うらしい)に入会したてでシステムがわかっておらず、利用時間を往復ギリギリで設定したせいで夜景に浸っている暇が全くなかった。初めてのドライブは時間との戦いだった。
そこから、僕のドライブ狂いが始まった。
夜景が綺麗なところ、星が見えるところ、心霊スポットなど、札幌近郊で思いつく限りの場所は行った。同乗者を変え、借りる車を変え、(多分)呆れられるくらい沢山、深夜にドライブを敢行した。タイムズカーのポイントは貯まりに貯まり、会員ランクは最高ランクまで到達した。
思い立って夜通し弾丸で室蘭も行った、先輩のバンドに随伴として車出しもした、実家に帰っても友人を実家の車に乗せて旅行したりした。最後のバイトとして選んだのも、ファミレスのデリバリーバイトだった。
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とにかく、どこかへ自分の力で行くというのが好き。電車や飛行機ももちろん好きだが、車や、運転するということには何か得体の知れない魅力があると思う。運転するか運転してもらうだったら、絶対に運転するを選ぶ。いくらしんどくても、ただ乗っているだけより100倍楽しいと思うからだ。
そんな僕が自分の車を持ったらどうなるか。アホになるのである。
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2022年6月。社会人になって3ヶ月目に、自分の車を買った。ホンダのオデッセイ、10年落ち。60万。
正直、こんなに早く車を買うつもりはなかった。すぐに札幌に戻って来れると思っていたからだ。だが、そんなことはまったくなく、毎週末奈井江と札幌を大荷物を抱えて電車で往復する日々が続く。すぐに限界が来た。
どうせなら、人や荷物を沢山詰めて、走りも面白そうな車がいいなと思った。そういう意味では、こいつはとてもいい車だった。三列目を潰せばバンドメンバー全員の機材も詰めるし、運動性能が割と高いので普段乗りも心地よかった。燃費はカスだったが。
オデッセイを買ってから、車で移動する時間が圧倒的に増えた。というより、1人でいろんな所へいく機会が圧倒的に増えた。
大学生時代の悩みは、突発的にどこかへドライブするのについてきてくれる人間があまりいなかったことだ。割と急にどこかへ行きたくなるので、そのノリを共有できる人間が少なかったことが少し悲しかった。
だが、社会人になってから、「なら1人で行けば良くね?」と思うようになった。同行者が見つからず機会を逃すくらいなら、1人で行ってしまった方がストレスがたまらずに済むし、同行者のことを気にする必要も無い。自分のお腹の空いた時にご飯を食べればいいし、行きたい時にトイレに行けばいい。こんなに楽なことはない。
その最たる例が、年末年始ソロドライブだ。
年越しを札幌で過ごした僕は、そのまま奈井江に直帰するのが勿体無いなという気持ちになった。そこで、なんとなく日本海側を回って帰ることにした。
冬の日本海は大荒れで、途中ずっとホワイトアウトで死ぬかと思いながら、なんとか留萌まで到達し、でも何かするわけでもなくそのまま内陸へ向かい、滝川でたまゆらへ寄って整ってから奈井江に帰った。
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次の日、流石に疲労で昼まで寝ていたのだが、まだ何かし足りない気持ちでいっぱいだった。どこへ行こうか考えていたところ、画像フォルダに紋別のカニオブジェクトがあったのを見つけた。行った。5分しか滞在しなかった。こんなもんかという感想しかなかった。
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その後のことは何も考えていなかったが、まあまた奈井江に帰ろうかと思い、途中寄った遠軽で給油をしていたら、雄武に実家がある知り合いから、「うちに寄って行かないか」とお誘いが来た。流石に年末年始の家族水入らずに邪魔するのはどうかと思ったが、親御さんが割と歓迎ムードらしいのを電話口の後ろに感じ取ったので、好意に甘えさせていただくことにした。この選択は割と正解だったと思う。
1月3日。ここまで来たら、もういくとこまで行くぞ、という気持ちだった。朝ごはんと餞別を頂き、昼前に雄武を出発して、オホーツク海沿いを北上していった。北へ行くほどにどんどん天気は悪くなっていくが、なんとか稚内市へ到達した。
稚内に着いたはいいものの特に何をするかは決めていなかったので、悩んだ末Galileo Galilei のMV撮影地を巡ることにした。
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ついでなので宗谷岬にも行った。ノルマみたいなもんよね。
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ノルマも達成し、今度こそ奈井江への帰路につくのかと思いきや、「明日も休みなのにもったいなくね?」という悪魔の囁きが聞こえてきた。ここまでくると何がもったいないのか分からんが、まあ確かになと思った僕は、急遽旭川で一泊することに決めた。
旭川では洒落たバーを開拓した。少し前から1人でバーに行くのにプチハマりしていたので、せっかくならと年始に空いている店を探して行ってみた。ベル・オブ・リンカーンという店だ。
大通りの一角を地下に入っていく店だった。ドアを開けた瞬間の雰囲気で「あ、当たりの店だ」と直感した。階段を降りていくと、薄暗い空間の中にこれでもかと並べられた酒瓶。ワクワクが止まらなかった。若干緊張していたので内観の写真は撮っていないのだが、旭川へ行くことがあったらぜひ行ってみてほしい。
そこでは3杯くらい飲んだと思うのだが、ラムのことしか覚えていない。
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滞在時間は多分2時間くらいだったと思うが、実時間以上に長い時間を過ごしていた気がする。ゆったり酒を嗜みながら、タバコをふかし、バーテンとおしゃべりをする。とても濃密な時間だった。大人になるのも悪くない。
…だいぶ脱線した。旅行記はここでおしまいにしよう。
何が言いたかったかというと、オデッセイと共に本当にいろんなところに行ったなぁということ。去年一年の思い出にはほぼ全部と言っていいほどオデ(最近みんなそう呼ぶ)がいる。
燃費が悪いだとか色々文句は言っていたけど、なんだかんだ君を乗り回していて楽しかったよ。最初は禁煙車にするつもりだったのに意思が弱くてごめんね。センターコンソールに灰皿があるのが悪いよ。16万キロ達成できて結構嬉しかったね。よくぶっ壊れなかったね、えらいね。
そんなオデとも今週でおさらばです。短い間ではありましたがご愛顧いただきありがとうございました。次の車もよろしくお願いします。ではここらへんで。