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始まりは『ムコ殿』で

当時登録したエキストラ事務所は日中に明日の仕事ができる時間を伝えておいて、夕方に入れる現場があるかどうかを電話で確認する、というスタイルでした。(現在はHpで番組ごとに募集されたり、メールで予約確認する、という方法が一般的かと思います)

登録手続きしたその日の夕方、緊張しながら自分の氏名と登録番号を伝えると、番組名•集合場所•時間•設定(通行のサラリーマンなど)•服装•持ち物などの詳細を言われました。

後になってわかったことですが、そもそも登録人数に比べ、現場に入れる人数や設定、性別、年齢層など圧倒的に少なく、「明日はお休みで」と言われることが普通なのです。
その上まだ初めたばかりですから、「やったラッキー!」という感覚しかなく、番組名もよく知らず、誰が出ているのかもわからなかったのですが、ワクワクしたことだけは覚えています。

さて、その記念すべきファースト現場は『ムコ殿』というフジテレビの連続ドラマで、通行サラリーマン、という設定を仰せつかりました。

表参道の夜のシーンだったのですが、撮影スタッフが準備している間はずっと路上待機なので、3月とはいえ身体も冷え込んできます。
更に、恐らく撮影を見慣れているであろうリアル通行人の方々から、『撮影?誰が来てるの?」と聞かれたり「エキストラも大変だね」というような視線を受けたりして次第にテンションは下がるばかり。

本番に入るまでは夜間の場合、とにかく照明の準備に時間がかかります。エキストラは助監督さんの指示のもと、大まかな配置につけられた後、お芝居の雰囲気に合わせて動きをつけられ、何度かタイミングを合わせたりします。
その後はとにかく「待ち」です。とはいえ通行のエキストラなどは控え場所もなく、現場の近くでまとまって立ってるだけなので、
傍から見れば野次馬となんら変わらないと思います。

そうこうするうちに、竹内結子さんが一人で歩いている、というシーンの本番撮影が始まったのですが画角の関係か、意外に周りの通行人(エキストラ)は使われず、私はほぼ野次馬状態のままでした。

が、ついにあるカットで助監督さんから「そこのお父さ〜ん!こっち来て」とお声がかかりました。恐らく10才もはなれていないであろう立派な成人男子からお父さん呼びされたのは正直ショックでしたが😂

それはともかく呼ばれて行くと、竹内さんの前を横切る、という動きをつけてくれました。俗に「シャッター」とか「ワイプ」と呼ばれている、カメラと被写体の間を横切る、エキストラとしてはど定番の動きでした。(当時はそんなこと全く知りません)

「え、カメラに対して俳優さんより前を通っちゃっていいの?」という戸惑いとともに歩いた記憶があります。

集合から2時間近く準備や待機で、撮影が始まれば1時間もかからず終了、という極めてオーソドックスな通行人現場だったのですが、今でも鮮明に覚えている撮影現場です。

竹内結子さんの近くで歩けたことが嬉しすぎて、「通行人現場って最高やん」とまで思ってしまいました。

翌日の現場が通行と聞いて、「うわ、荷物多いし、寒いし、弁当無いし最悪やん」と調子にのるようになってしまうのはまだずっと後の話…😅


今回はここまでです。読んでいただきありがとうございました🙇
また見てくださると嬉しいです🙏




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