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【POMONA対談 乙倉編2/2】湯を沸かすほどの熱いアイス愛。そしてPOMONA
ひとまず前編を読んでくださった方、
そして先週公開した橘編(前編・後編)も読んでくださった方。
正直思いませんか…
「ちょっと…長くない?読むの大変よ」
わかります。
編集してる私もさすがに肩こってきました。
なので息抜きがてら、冒頭はライトに「POMONA名付け秘話」なんていかがでしょう。
ほら、なんだか読めるような気がしてきたと思いませんか…?
ではどうぞ
POMONA名付け秘話
乙倉:ちょっと脱線するけれども、POMONAの名称が出たときね、僕はあの時シビレましたね。今でも覚えてます。
モアフルで、橘さんは厨房の中でいつも通り働いてて、
僕、パソコン開いて「あーかなこうかな、ブランドの名前考えにゃおえん、考えにゃおえん」って言ってたら。
なんかね、橘さんが前職の時から大事に胸元に入れてた、POMONAって単語が出てきて、「何それ」って聞いたら、「ローマ神話に出てくる果物の女神なんだよね」って言って。
そのとき確か化粧品みたいなのを考えてて、うちの代表橘でみかんだし、なんかみかんの皮を使ったアイシャドウですーとかそういう、「果物は美しい」っていうイメージも何となくその時点で出てきてて、
そういうところに着地したいって言ってたときに、なんか縁起の良い女神っていうのが現れてきて、
「すごい絶対これだ」って僕思いましたよね、あのときは。
橘:確かにね…。
まああの前職でね、広島駅の中でブランドを新しくお前がやれって言われたときの候補だったやつで、もれなく社長にボツにされたやつなんですが、
ここで活きてくるとは思わなかった。
乙倉:なんか2,3回話した後に恐る恐るというか、「そういえば~」みたいな感じで、「念のため言っとくけど~」みたいな感じで、出してきたよね。
橘:そうそうそう。
(ボツにされたけど、)POMONAがいちばん、僕は好きだったのよ。
その中で。
ちなみにちょっと話はズレるけど、
モアフルの「日常にもっとフルーツを」っていうのも、前の職の時から温めておいた言葉。
その会社でいつかどっかで使おうかなっておもっていた言葉を、辞めてしまったがために今こうやって使わせてもらっているという感じですね。
乙倉:よかったね、下手に使っちゃってたら使えなかったよ。
橘:ほんとよ、ほんとよ。良かった。
乙倉:よかったね…。
乙倉の経歴
橘:さて、まあそんな経緯で始まった乙倉君はこのAOBAをする前にっていうのは何をしてたのか?
まあでも聞いたっちゃ聞いたけど、もうちょっと聞いてみようか。
乙倉:ぼくはそのオカネツ工業(※前編参照)がある、岡山市東区の田んぼの中で生まれ育って、
あ、これ橘さんに聞いてなかったけど、橘さん南区の田んぼの中でね。
橘:そうだね、僕はあのゴルフ場と川と住宅街に囲まれたところの。
乙倉:あっそうか住宅街か。
橘:ぼくは住宅街なんだけど、あの埋立地なんで、あの、下ズブズブですね。
あの地震があるともうガチャっていっちゃうやつですね。
乙倉:一緒一緒。干拓地でね、まあ生まれ育って、
僕もうほんとちっちゃい頃から片づけがなぜか大好きで、ずっと家のことを片付けたりするのが楽しいみたいな、
ちょっと気持ちが悪い子供だったので、なんかそういうのが高じて建築っていうものを知って、もう中学校ぐらいの時には「自分は建築ていうものをやるんだ」みたいになぜか思ってて。
早かったなと思います。
なので岡山出身なんですけど、18歳で岡山離れて、それで戻ってきたっていうか。
今でも福岡とちょっと2拠点生活をしてるんですが、岡山で奥山いちご農園さんとのここ数年(※前編参照)、AOBAとかのおかげで、岡山にも動く時間が増えたっていう感じで。
橘:まあいうたら、3年、4年ぐらいかな。
乙倉:うん。
僕は大学院まで行かせていただいて、設計事務所に勤めて、その後は街づくり系の会社に入って、
そっからだんだん自分で内装の事とか店舗の事とか、何かそういうことからお話しいただいているうちに、
グラフィックデザイナーのうちのパートナーだったり、なんかそういった人たちと、中長期のブランドを考えてデザインをするっていうお仕事に段々移行していきます。
でも最初のころは本当に自分で独立したとき、なんかイベントで会ったよくわからないおじさんが
「カウンセリングで使うお部屋のカーテンを選んでくれ、一万ぐらいで」みたいな。
橘:はえ~
乙倉:やっぱね、そういうお仕事の積み重ねで。
街づくりの系とか不動産とか、地域ごとをやる会社に2社目で入ってから、ちょっとずつ仕事が増えていって、
だんだん農家さんとか地域で動いてると、そういう「デザインでどうにかしないと」みたいなシーンの方に出会うようになっていったって感じですね。
橘:もうそのころには岡山でやってたの?
乙倉:いや、それはそれこそ奥山いちご農園も、長男が。
橘:あ、そっかそっか
乙倉:僕と同い年の幼馴染で、いちご農家やって。
奥山いちご農園の店舗になってるところ、いまフローリングじゃない?
木の板貼って客席みたいにしてるけど、
昔は和室で、いつもあそこでロクヨンしてたの。任天堂64。いちご食べながら。
橘:ほんとに~!?
奥山いちご農園さんの畑の横にあるカフェ
乙倉:そうだから結構僕の中では感慨深いお仕事をさせてもらって…。
橘:いやー、これ行った人はわかるだろうけども、和室なんか全然思いもよらないようなおしゃれなカフェになってるよね。
それこそ僕が一回奥山さんとこ行かせてもらったときに、
「ここがしんちゃん(乙倉氏)がやってくれたうんぬんかんぬんよー」いうて、
もう鼻息荒げていろいろ説明してくれたところ、「あ、なんか愛を感じるな」って思ったのよね。
友達のお母さんが一生懸命息子と息子の友達の自慢してくれてるっていう(笑)
橘:そうそうそう。
あれ面白かったし、なんかめっちゃいいなと思ったんよ(笑)
乙倉:メニューの名前をみんなで考えてて、普通にいくと『奥山いちご農園のいちごアイス』ってなるんだけど、
いちごが主役っていうので、『アイスのいちご』とか『ジュースのいちご』っていう、
最後にいちごで終わらそうっていう発想がそこで生まれて面白い、うん、なんかあの辺からね、農業とかのことをいろいろ考え始めた。
橘:なるほど、面白い。
人の話おもろいな(笑)
乙倉:そう、人の方が面白いの。
なんか今話しててスゴイ困ってる。いいのかな、こんなので。
橘:イヤ全然いいと思いますよ。
乙倉:良かった。
POMONAのはじまり
橘:ではでは。
まあまあそんな乙倉君がですね、
POMONAをやることになったきっかけ、
乙倉:うん
橘:まあこれさっき僕もね、喋ったんですけども、乙倉視点でいろいろ話してくれれたらなと思うんですが、
橘・乙倉の出合い
乙倉:AOBAとモアフルって結構同じような時期にお店つくって、僕と橘さんも同い年で…
僕、モアフルできてすぐぐらいの時に行ってたんだよね。
橘:そうね。
乙倉:でもなんかお互い人見知りで、
「あ、うちなんかアイス屋さんやってるんですよ、ふへへ」
みたいな感じで。
「きついけど頑張りましょうね」みたいな、そんなさらっとしたやつで終わらせてたんですけど。
とあるイベントで、それこそ橘さんが所属していたフクシマ宅建っていう不動産屋さん(※橘編参照)が主催する、街づくり系のイベントがあって、そこでその会社の代表と知り合って。
で、なんか話してたら、
「え、AOBAの人なん。ちょっとうちモアフルっていうのをやっとるから、なんか果物男子の会しょーや」
って言われてね。
それでそこ(果物男子の会)行って、「あっそういえば会いましたよね」みたいなところからね、人見知りぐらいから始まりましたね。
橘:そうね、あのとりの里でね。
乙倉:そうそう、とりの里だ(笑)
あの時に僕、なんかパソコン引っ張り出してきて、「AOBAでやりたかって、ビジネスコンテストにも出したけど落ちた企画」の話を熱弁したんですよ。
覚えてるかな。
ああいうところで早口で喋るあたりがなんかこうね、陰キャ感あるよね(笑)
橘:好きなことになったら早口になっちゃう。ばばばばってね(笑)
乙倉:わああってこう、みんなの時間とっちゃだめだし、みんながどんな人かわかんないけど、これだけは聞いてもらわんといかんと思って(笑)
橘:気にしすぎや。
乙倉:で、話をしたら「面白いじゃん」って言ってくれて。
AOBAって、生産者さんの果物・野菜を必ず急速凍結、一回冷凍させるんですよね。品質を保てるように。
お客様からオーダー受けて、その場で作ってご提供するっていう考え方で。
要は、基本的にお客さんが買ってくれる限りは、フードロスはほぼ出ないっていう仕組みでやってるのが、僕らが少人数で回せてる理由ではあるんですが。
冷凍をいつもしてるなかで、
「これ農家さんいつもハネとか何とかって出るもの…
例えばもう捨てるとか腐らせちゃったとか、誰かにタダであげたとか、
それうちで一回凍結しとけばいいじゃん」
っていうところから、畑の銀行っていうプロジェクトを勝手に考えて、
橘:うんうん
乙倉:商品にならない果物を農家さんからお預かりして、うちで急速凍結する銀行っていうね。
今までそれをどうにかするために忙しくしてた時間で、例えば家族でご飯食べたりとか。
で、落ち着いたらその冷凍したやつを使ってなんかいい感じの商品を作って、なんていうんでしょう、果物のキロ単価をね、ちゃんと上げてから販売できるようなことをしたいですよねっていう考え方で。
乙倉:で、その話を橘さんたちにしたら、
「それいいねっていうか、そういう考えでやってるんだったらちょっとモアフルとコラボしようよ」
みたいな。
なんかそういう、緩いノリで始まったような記憶がありますよね。
橘:そうだね、そうだね。
会社立ち上げるとかも全く考えてなかったし、
なんかいろいろ同じ思いでやってる部分でね、ちょっと一緒にできたらいいねーぐらいに思ってたんだけど。
乙倉:そしたらなんだろうね、たぶん社会課題、農業が抱えるけっこう根深い課題に対する思い・価値観が、やっぱ橘さんと共通していることが多くて。
年代が一緒っていうのもあるだろうし、
現場でいろんな農家さん見てるっていうのもあって。
「あ、あれもやりたいこれもやりたいね」
って言ってたら、
「それってモアフルとAOBAで別々で販売したり、お客さんに伝えたりするより、なんか一緒にやった方がもうえんじゃね?」
みたいになった。
橘:なんか違和感あったもんね。
「別々でする意味ないやん!」って。
乙倉:それどっちので売る?みたいな線引きするのもわかんないし、
一緒にいろいろやれた方が絶対いいし、
ふたりとも果物好きの変態だし。
橘:うんうん。
乙倉:気付けば、POMONAの前身みたいな考え方が生まれ…。
POMONAの説明をするときによく言うのが、
まあ僕らは果物研究所を名乗ってて、何がラボ的なんですかっていうと、
「果物とかお野菜っていうものを、一度分解して考える」っていうのが結構ハマったなと思っていて。
味だけじゃなくて色とか香りとかね、繊維を使うとか、枝を使うとか。
そういうちょっとひとつひとつの要素を見つけて、それが商品になってもいいし、その魅力にお客さんが気づいてくれて、サービスになっても、なんでもいいんだけども、
その辺が見えてきたときに、やっぱAOBAだけじゃ拡げられない幅をすごく感じました。
橘:うん
乙倉:ね。
畑もやりたいし、なんか畑の横に家建ててやったら面白そうだね、みたいな。
なんかその未来の話とかを描いていくと、一緒にやる理由しかなかったっていう感じ。
一人じゃできなかっただろうなっていう事ができるんだろうなっていう。
橘:うんうん。
「畑の銀行」きっかけは奥山いちご農園さん
橘:畑の銀行の話って、いちばん最初は奥山いちご農園さんのお父さんお母さんを見てからはじまった?
乙倉:そう。
これ奥山さん結構モデルケースだなっていつも思っていて。
お父さんが職人気質で、とにかく美味しいいちごを作ることに専念してる。
お母さんの方はお客さんとすごくコミュニケーションをとりながら、
なんというか商才があるっていう感じ。
長男がデザイナーで、長女がいま奥山いちご農園のカフェの方を全部切り盛りしてるんだけども、
そのカフェをする前っていうのは、
収穫したいちごが、自社で売れなかった場合、青果市場に卸すために例のプラスチックの透明のパックに、きれいに並べて出荷するんだけど、
ルールがスゴイ厳しくて、全部同じように並べて、同じようにフィルムかけて、夜中1時とかにその青果市場持って行って卸すっていうようなことをされてたんだけども、
ま、青果市場では当然、誰のどこのいちごとかっていうのはあんまり関係ないし、
奥山さんのところってそもそも『朝摘み完熟いちご』っていうのにこだわっていて、真っ赤に完熟してヘタが上向くぐらいになったものを摘んで、その日のうちにお客さんに届けるっていうことを徹底されてるから、
やっぱりそういう出し方してると、例えばどこかのスーパーとかに卸されてもちょっとたま傷んでる自分とこのいちご見たりとか、
なんかそういうのがあるわりに、毎日夜中まであの半年間12月ぐらいから6月ぐらいまで、半年間ずっと夜中まで働くっていうのがあって、
それがアイスのためにもう冷凍しちゃえと。
冷凍したものは全部、カフェでおいしくお客さんに食べてもらえるっていうのができて、
奥山いちご農園のカフェをオープンして3日間ぐらい、スゴイ何百人もお客さん来てくれたんだけども、その日の夜みんなで家族で焼き肉を食べに行けたっていう。
皮肉なもので今まではこうね、暗いところで一生懸命いちご詰めてたんだけども、それをしなくてもお客さんがきてくれるようになって、焼き肉を家族で食べたっていうのが、もう奥山家にとっては衝撃的な出来事で。
橘:うんうんうん
乙倉:夜中までやって、朝も早くに起きるっていう生活だったし、しかも余剰分を生のまま扱うってすごく大変だし、コストもかかるから、
もう潔く冷凍して、今なんか奥山いちご農園のジャムとかシロップもECサイトで販売したら結構すぐ完売しちゃうような。
橘:すごいよねあれ。あっちゅーまでね。
乙倉:おいしいんだもの。
橘:ねー。
乙倉:ああいうのも冷凍しておいたいちごを使用するので、ようは時間の運用がすごくうまくいくようになった、冷凍することで得られる利子っていうのがすごくよくて、利率が(笑)。
その日のうちにどうにかしてたんだから、そこになんか可能性感じてたんだろうね、たぶん。気付いてなかったけど。
AOBAやるようになって、「あ、そうか、うちのこの冷凍するっていう仕組みは、結構皆さんやった方がいいんじゃないですか」って思って。
冷凍できれば家でアイスにもできるし、これはかなりいいことしかないんじゃないのっていうところから、畑の銀行の構想が。
橘:ええ、いや、すてきー。
なんかそういう何だろうな、リアルにそういうバックボーンがあって「じゃあこう変えなきゃ、変えたい」っていう気持ちがシステムに変わるっていうのは、スゴイ見てて気持ちがいいというか、なんかこうバシッとハマる感じ。
乙倉:うんー、ハマってるとは思うね。
橘:農家さんはこういう問題を抱えていて、これをこう変えたら一緒にご飯が食べる時間が持てたって…綺麗だよね。
何回聞いても本当涙が僕の頬をすーって伝うぐらいの(笑)
乙倉:僕もね、毎回人に説明するたんびに自分でびっくりしてる。
「すごいっ!」て思ってる。
奥山さんのね、毎年頑張ってた成果なんだけども。
橘:余剰の果物を付加価値に変えて、しかも時間を生むっていうこのシステムは素晴らしいと僕は思います。
乙倉:まだ全然ね、稼働できてないんで、
POMONA中心にどんどんね、やっていけたらと思ってます。
橘:そうだねー。
これはどんどん増やしていきたいね。
乙倉の今後
橘:この辺でちょっと最後になりますが、今後デザイナーとしてのこういうのをやりたいとか、こういう案件があるよとか、
AOBAで、POMONAでこういうのがしたいんだよっていうのがあれば、ちょっとお知らせ頂けたらなと思います。
乙倉:デザイナーとしては、デザインのお仕事の方は基本的に黒子というか、クライアントさんがしたいことをどうしたら伝わるか、みたいな目線で見てるので、あんまりこう自分がしたいっていうのは、どうかなー。
でもあ、でもあの奉還町に今サウナ作る話をしてて、僕サウナ大好きなので、それはちょっと自分のやりたいこととかぶっちゃってるっていう感じですね。
橘:うんうんうん
乙倉:POMONAとしては、まずはしっかりブランドとか我々の今日お話したような話を皆さんに知っていただいて、
POMONAと一緒に関わりながら、果物の文化とか未来とかっていうのを一緒に考えてくれる人と、
それを伝えるための商品を、とにかくまずは増やしていきたいなと思ってます。
最後にAOBAの方なんですけど、アイスのカップ販売を始めてまして、結構フタが付いたようなカップのアイスをいち小さな事業者が作るってすごく大変なんですけど、
なかや宗義さんにご協力いただいて、今回プレーンアイスっていう、プレーンヨーグルトのような考え方でお召し上がりいただく、ちょっと変わったほぼ甘くないアイスを作りました。
これは結局AOBAと考え方が一緒で、美味しい果物・お野菜と一緒に合わせて食べる、引き算のアイスというか、未完成のアイスっていうのがテーマで。
甘さ控えめで無添加のアイスに仕立ててるので、例えば赤ちゃんが生まれて初めて人生で食べさせるアイスはプレーンアイスにしたりとか、なんかそういうニーズがあって、子育ての方とかには喜んでいただき始めてるっていう感じなんですけども。
基本的には日々の暮らしの中で、果物・野菜っていうのを食べるきっかけだったり、アイスっていうものの解像度をより高めるためのものとして、甘くないアイスを作ったんですよね。
自分でアイス屋さんやってて、「乙倉さんがやってるんなら応援したいけど、あんまり普段アイス食べないんですよね」って方も結構お会いする。
橘:うんうん
乙倉:それって突き詰めて聞くと、スイーツって糖分が過剰に含まれているからとか何かそういうところになってくるんですけども。
そういう方でもプレーンアイスだったら食べたいとか、いま結構おじさま、自分たちのおやじ世代の人からも、
「これは美味しいから食べるよ」みたいなお声もいただき始めてて。
何がしたかったかっていうと、
全国の生産者さんが、例えば持続化の補助金だったりとか、地域おこしの補助金だったりとかで最初の資金調達をしてきて、
忙しいなかでも、ジャムだったら自分のところでなんとか作れるって生産者さん、結構全国にいると思うんですよね。
そういうジャムとか美味しい果物・野菜っていうものが、どんどん日々素敵な食の商品って新商品いっぱい出てくるので、どうしても埋もれがちなんですけども、
なにかそういったジャムとかと、コラボするアイスになったらおもしろいなって思って。
乙倉:例えば、ずっとアイスの商品作りたかったけど、「あー実際アイスにしてみたらこうなんだ、じゃこういう風にやってみよう」っていうのができたりして、六次(産業)化の支えになるっていうのと、
生産者さんについてるファンの方にそういうアイスの存在っていうのを知ってもらったりしたらおもしろいなと思っていて、最近プレーンアイスっていうのものの生産と販売を始めました。
橘:幅が広がりますねー。
乙倉:いやー楽しいよね、プレーンアイス。
橘:それこそ最近Twitterとかで、何千っていうフォロワーさんがいてるようなインフルエンサーなのかな、そういう女性とかが、プレーンアイスを食べてるのがTwitterであがってくるのを見て、「あ、スゴイな」って思ったもん。
どんどん広がってんだなっていうのはすごい思ったなあ。
乙倉:そう、なんかね。やっぱ食にこだわりとか興味がある人って、そういうなんかアイスっていう、…
ちょっと最後に喋っていい?
橘:どうぞどうぞ
おまけ:乙倉、アイスを語る
乙倉:アイスってすごくこうあのなんだろう、受動的に食べる商品です。
コンビニ行って「なんかアイス食べたいな」と思ったときに、そこに並んでるもう出来上がった商品の中から、いま自分が食べたいものに一番近いものを選んで食べるっていうのが、たぶん普段のアイスなんだけども、
プレーンアイスって自分の好きなように調理もできるので、自分のなかで大好きな生産者さんがいたとして、あるいは「とらやさんのあんペーストが好きでしょうがない」とか、あるいは自分の大好きなものをなんか美味しく食べるためのツールとして使ってもらったら、
コンビニで買ったアイスってもちろんどれも100点なんだけども、そういうところで得られるアイスっていうのは、もう200点。自分の中では。
「私だけのアイス」みたいな。
少しだけそのアイスに対して能動的というか、自分からアイスを少し仕立てて作るみたいなところに近づけるっていう。
僕らAOBAを普段やってて、毎回試作するとめっちゃ楽しいですよ。
おいしいし、自分でアイスを扱う楽しさっていうのに、プレーンヨーグルトみたいな感じで、自分で扱える幅っていうのが広がることが、暮らしを豊かにしてくれるきっかけになるんじゃないかなっていう風に思っていて、
全く今までにないアイス、ゆえに受け入れていただくまでは時間かかるけども、それが文化になったらすごく面白いなって思ってます。
橘:素晴らしいなあ。
なんか雇われから始まったのに、すごくそのアイスクリームに対する愛がドンドン深くなっていってるよね。
乙倉:気付けば(笑)
橘:ねー。まそういうもんなんだろうけど、でもなんか今の話を聞いて、乙倉君のアイス愛、非常に感じたなあ
乙倉:3年考えてるので(笑)
さすがに楽しさもいっぱい見つかりますね。難しさもだけど。
橘:なんかさっきの話聞いて、自分でもいろいろプレーンアイス使ってなんか自分のアイスつくってみたいなって思ったな。
乙倉:あーありがたいですねえ…
橘:どんどんこんな輪が広がってほしいし、このコロナ禍だからできるっていうきっかけとしてね、コロナがきっかけでも全然いいと思ってて、そういうのがこうどんどん広がってってくれたらいいね。
乙倉:うんー。
なんかね、やっぱり好みとか、あるいは植物性のものしか食べませんとか、無添加がいいですとか、上質な選択肢がいろんなシーンシーンにおいてあると、
まあスムージーもそうですよね、いろいろ選べるから。しいてはオーダー言えば、作ってくれるから。
やっぱその多様性っていうわけじゃないけど、私の好きっていうものに限りなく近づけていくっていうのが、なんかすごく幸せなことだなって思ってます。
最後に
乙倉:最後、POMONAに話し戻すんですが
僕プレーンアイスもPOMONAも一貫して思ってるのが、
モアフルもそうだけど「農家さん困ってます」とか、「このまんまだと岡山の桃の農家さん続けていけないんですよ、大変ですよ」みたいな、課題とか問題をぶつけられても、やっぱなんか誰も楽しくないし、
僕らはもう果物・野菜好きだけど、みんなはそんなに好きじゃないかもしれないし…。
最初は「果物・野菜を余すことなく」っていうのをテーマっていうか会社の理念にしてて、それをブランドのコピーにしようとしてたけど、
最後の最後で「果物は美しい」に変えたじゃないですか。
なんかあっこが、あの橘・乙倉の世の中に対する、なんでしょう、ちょっと穿ってる部分で。
「サステナブルにいきましょう」とか、「僕らこうこうこういうことを通じて、農業の課題に向き合います」とかって言えばいいのに、言いたくない(笑)
橘:うん、そうなのよね。
乙倉:生産者さんたちが、農家さんたちが綺麗ごとだけじゃないところでやってるなかで、なんか僕らだけ綺麗ごとを言う、その実際と乖離した感じ?
そんな甘くないんだよってわかってるから、「じゃあこれとこれをね、余剰品を価値をつけて販売することでねー」とかって、そんな簡単じゃないってわかってるから、
橘:そうなんだよね
乙倉:だったらもう僕らの果物への偏愛とか、果物のこの曲線のここが美しいよね、みたいな普段から話してる気持ち悪いやつを垂れ流して、
「あ、それいいね」って言ってくれる人たちが一人でも、増えてくれることの方がなんか健全だって思ったんですよね。
橘:やーですねー。
乙倉:うん。
…まあまあ長くなったので
橘:そうですね。まあ、今日はこの辺で、終わりましょうか。
ちょっとでも、知っていただければ、興味持って聞いて頂ければ、嬉しいなと思います。
おわりに
1万字超えの長い記事をお読みいただき、本当にありがとうございました。
2021年6月収録分の橘・乙倉によるPOMONA対談は、前・後編ずつ計4本ですべてとなります。
しかし、すでに収録から半年たっており、
そのあいだに変わったことや、新しく取り組んだこともあります。
「今何をしてるの?」
「今後どんなことをするの?」
そういったことを、このマガジンやそれぞれのTwitterを通して発信していきたいと思いますので、
これからもPOMONAをどうぞよろしくお願いいたします。
株式会社POMONAメンバー一同
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