【POMONA対談 乙倉編1/2】僕はデザイナー。そしてアイス屋さんでもある
橘編を読まれた方は、気になって仕方がないはず。
「柔らかな語り口調が独特な、
このインタビュアーはいったい何者なの!?」
「橘編ってことは…乙倉編があるはずよね!?」
もちろんです。もちろんです。
今から始まりますとも。
皆さまが知りたくてたまらない、
乙倉氏は何者なのか、AOBAとはどんな店なのか、
そしてPOMONAはどのようにして始まったのか。
橘編をまだ読んでいないという方は、
どちらから読んでいただいても構いません。
第2弾である今回は、
株式会社POMONAの副代表である乙倉慎司氏に焦点を当て、
こちらも前編・後編に分けてお届けします。
それでは収録スタート!
橘:次は副代表の乙倉君のことをね、ちょっと聞いていきたいと、深掘りしていきたいと思っております。
よろしくお願いします。
乙倉:よろしくお願いします。
乙倉のプロフィール
橘:まずは、お店の名前と乙倉君のフルネームと、年齢、好きな果物を教えてください。
乙倉:お店の名前は『畑でとれるアイスのお店AOBA』といいます。
皆さん「アオバ」「アオバ」と呼んでくれてますね。
私は、改めまして、乙倉慎司(おとくらしんじ)と申します。年齢は橘さんと同じ33歳。
好きな果物は黒イチジクですね。
最近は、もう笠岡のブリガーデンさんの黒イチジク『ビオレ・ソリエス』っていう黒ダイヤ、もーあれにずっとハマってます。
おいしーよねー、あれね。
橘:あれはぶっ飛んでるわ。
乙倉:あれはね、ちょっと本当に、もう好き。もうど真ん中。好きな好きなやつでした。
橘:もともとイチジクは好き?
乙倉:好き好き。
橘:そんなかでもビオレ・ソリエスっちゅーか?
乙倉:いやーもう段違い。
橘:わかる。わかるわー…
AOBAの基本情報
橘:まあまあきっとそのブリガーデンさんの話も、あとからもしかしたら出てくるかもしれませんが、
まずはその『畑でとれるアイスの店AOBA』について、いろいろと教えていただいてもいいですか?
乙倉:お店の場所は、岡山の旭川で後楽園とか、岡山城のところを少し下流に行った、
岡山県庁とかの近くで、京橋っていう地域でお店をやってます。
特色としては冷凍した果物・お野菜と、ベースになる蒜山ジャージー乳を使ったオリジナルのアイスミルクを、
お客様からご注文を受け手から目の前でブレンドして、滑らかなアイスクリームにしてお客さんに提供をしています。
コンセプトはですね、「岡山の地域の厳選した果物・お野菜をもう丸ごとアイスに入れますよ」っていうところと、
まあそうですね、無香料無着色で僕らは「畑でとれるアイス」だと言ってるんですけど、結構甘さは控えめで、
岡山のいろんな生産者さんから果物屋さんに直接仕入れて、うちも(モアフルと)同じように品種ごとにご提供するっていうのが、
コンセプトであり特色です。
AOBAのアイス
橘:あれやっぱりブレンダーすごいよね。
あの1杯ずつ作ってくれる特別感、めちゃくちゃいいなって思うのよ。
乙倉:たしかに。
橘:うちもスムージー1杯ずつ作ってるけど、やっぱこうジュースができるのとアイスができるのはちょっと違うなと思ってて、
アイスって、やっぱこう特別感が非常に増すなあと僕は思ってて。
乙倉:いや嬉しいですね。
結構アイスの機械って、中でぐいーんと攪拌されてるやつを絞り出す、みたいなのが多いんですけど、
うちの機械は、この後でちょっと説明しますが、結構特殊なやつをローカルの会社さんと一緒に使ってるっていう感じです。
橘:あのなんだろ、甘さ控えめって言ってるけど、でもしっかり甘いのよ。
果物・野菜の甘さがしっかり出てる感じがしてて、甘さ控えめって言ってるけど物足りないことは全然なくて。
僕あのアスパラのアイス、すごく好みで。
乙倉:ありがとうございます~
橘:あれー青臭さもなく、甘いというかすごく濃いアスパラのアイス。あれは本当感動するから店長すごいなと思って。
乙倉:あーそうそうそう。あの皆さんにお伝えしておくのが、私は代表ではあるんですが、店長は私とは別でですね。
店長がスゴイよね。AOBAは店長のおかげだよね(笑)
橘:だって独学というか、製菓学校行ってたりアイスクリームをやってたわけではなく、
自分で自ら「こうがいいんじゃないか」で始めてるっていうのがもう天才。
乙倉:もともと食に関しては、実家で幼少期から結構おいしいものとか素材のいいものを、山の中で食べて育ったって話はまあ本人もしてたんだけど、
やっぱもう「食が好き」っていうのが本当すごいのと、なんか抜群の舌っていうと大げさだけど、
味覚とか好みっていうのが結構お客さんがちょうど欲しい、ちょうどこれぐらいがいいなっていうところに毎回落としてくれるからね。
でもAOBA創った当初…あ、うちもう3年目※になるんですが、作った当初はまだ3種類しかアイスなくて、
橘:ええー!
乙倉:本当に。
いちごと、えっとねキウイ、それから紫芋だけでスタートして、
店長もとりあえずもうお店を回していくのもまあ大変だったし、最初は。
いろんな農家さんをどんどん開拓っていうか、
ご連絡して「使わせてもらえますか」って言ったり、農家さんの方から「うちの果物・お野菜使えませんか」っていうお話を頂いて商品にしたり。
橘:それがすごいよね。
AOBAは農家さんの方からくるっていう、その構図がうちにはない構図だからすごいなって思うのよ。単純に。
乙倉:モアフルない?ないの?ありそうなイメージ。
橘:いや、意外と。
たまにあるけど、でもそんなになんか「使ってみてください」「やってみましょう」みたいなのも全然ないかな。
野菜系は確かにそういうのも多いけど、果物は特になかったりするし。
乙倉:さっきのね、あのアイスの機械がやっぱり、冷凍した果物・お野菜とアイスを混ぜるっていうその簡略だけど奥深い、みたいなところがやっぱ農家さんもね、
なんか「アイス作ってみたかったんです」とか、やっぱり商品化っていうのはいつだって考えてらっしゃって。
で、そこにちょうどやりやすい商品とブランド、AOBAっていうアイス屋さんがあったから、
本当もう2年目ぐらいからうちからアプローチしてるのってほぼほぼなくて。
橘:はえー
乙倉:もういろんな生産者さんが「うちのこれ使えませんか?」とか、あのモアフルでも使ったポポーとかね、
結構変わり種とかも皆さん持ってきてくれるんで、それでどんどん出来ていく感じです。
橘:ありがたいね。
乙倉:ん-ありがたい。
商品とおいしさの秘訣
橘:ま、そんなAOBA、僕が大好きなアスパラのアイスだったりいろいろあると思うんですけども、
改めましてどんな商品を提供していますでしょうか?
乙倉:基本的にはシングル、ダブル、ワッフルコーンとかっていう、よくあるアイス屋さんと同じようなラインナップでやってまして。
乙倉:アイスの種類が1年に18種類ずつぐらい大体新しく作られていて、今はもう40種類ぐらいになってきて、
だいぶもうこれでメニューも落ち着いてきたかな?っていう感じなんですけど。
で、毎年増えていってるメニューが常時だいたい9種類ぐらいお選びいただけるようにしています。
えーとどんな商品、そうですね。
細かく言うと、ベースになるアイスミルクっていうのが、あの玉野にあるなかや宗義っていう和菓子、洋菓子を作ってらっしゃるお菓子屋さんで、
蒜山ジャージー乳を使ってもうAOBA完全にオリジナルレシピのアイスを作っていただいてるのが、たぶんうちのおいしさの秘訣ですね。
橘:なるほど。
乙倉:もちろん果物・お野菜はおいしくて、
お野菜なんか特にうちの店長がかなり下ごしらえをして、さっきのアスパラとかも、餡ペーストにしたりとかなんかいろいろ試行錯誤はしてるんですけど、
黄金のミルクと呼ばれる蒜山ジャージー乳をつかって、そのなかや宗義さんが、初めてご相談したときに言ってくれたのが
「じゃあもう引き算の脇役のアイスをつくればいいですね」
ってハッキリ言ってくれて。
橘:かっこいい。
乙倉:いや中家さんかっこいい、ちょっと中家さん今度呼びたいな。
橘:あーいい。話してほしいな、いろいろ。
乙倉:いや本当に。
いい社長さんで、もちろんやり手の方でおいしい商品いっぱいつくってらっしゃるんですけど、
「果物・お野菜が主役のアイスなんですね、わかりました」って何回も何回も試作して持ってきてくださって、今のAOBAのベースのアイスがある。
橘:なるほど。
乙倉:これはかなりうちの商品の強み。
ってかそれがあるからこそAOBA然としてるっていう状況があります。
まあそれが本日のアイスっていうメニューでやってるんですが、特別なアイスとして最近だとアスパラとクリームチーズを混ぜたアイスタルトとか。
乙倉:あとはちょっと特別なやつは、何でしょう、パフェとかサンデーっていうほどじゃないんですけど、
ちょっとカップに盛り付けたものを出したりとか。
コロナになる前だったらお店の中でね、いろいろちょっと加工したおやつとかも出してたんですが、まあ今はもうテイクアウトのみにしています。
あとはですね、受注生産になるんですけども、最近はアイスケーキやアイスクッキーサンドっていうのをやってて。
これゆくゆくはあの、選んでもらえるようにして、
例えばいちごが大好きなお子さんがいれば、その子のためにいちごのアイスをわざわざ作るとか。
で、2,3日前にはあの予約してくださいねっていうような感じで。
橘:なるほど。
乙倉:ま、ちょっとこう、「ここぞ」っていうときのキメのアイスケーキっていうのも、最近はやるようになりました。
橘:いいなあ。
やっぱこうAOBA、特別感を演出するのが上手よね。
乙倉:ですかねー。
橘:なんか、なんとなくそんな気がする。
乙倉:ロゴとかカップとかすごいもう白に黒ですごくシンプルに簡素にしてるんですけど、それも結局
「果物・お野菜の色味がすごく美しい、形が美しい」
みたいなちょっとPOMONAに通じる考え方がありつつ…
あ、そうだ。あと商品の提供の特色のところでいうと、うち必ずアイスの名刺※っていうのをお渡ししています。
乙倉:表面はなんていうんでしょうね、テキスタイルというか、それぞれの果物・お野菜の形をかたどったちょっとこう色のついた表紙があって、
裏面には生産者さんとか生産地とか、アイスのおいしい秘訣、とか「こういうものを使っています」という説明書きをしていて、
お会計していただいたお客様にお渡しして、アイスができる前にそれを見て「どんなアイスを今から食べるのか」っていうのを知っていただくものがあって。
乙倉:なかなか農家さんにお店に来て説明してくださいっていうのは、やっぱモアフルと一緒でなかなかできないので、
僕らが魅力を少しでも伝えて、そしてなんかまあ楽しんで、なんか最近はアイスの名刺を集めてくれてる方とかもいて、
そういう楽しさは出来るだけ作れるようには気をつけています。
橘:あれいいよね、あれすごい嫉妬するんよなー。あれうちもほしいなーってすんごい思ったもんねー。
あれ見て食べると、美味しさ増すのよ。
単純になんか「だからこんなにおいしいんだ」みたいなのが分かると違うよね。
しかも集めたくなるデザインっていうのもすごいわかる。
かわいいもん。ずるいよなあ。
乙倉:ありがとうございます。
AOBAを始めた経緯
橘:そんなAOBAをすることになった経緯っていうのはどんなことがあったんでしょうか?
乙倉:すごく結論から言うと、僕は雇われ社長みたいな感じでして(笑)
あの岡山の東区にあるオカネツ工業っていう会社さんが、そのさっきから話に出てるアイスクリームブレンダー『BJ』っていうのを奥山いちご農園さんと共同開発して。
奥山いちご農園って、岡山の方だったら結構知ってる方も多いかもしれないですけども、
もともと私たちはデザイン事務所やってまして、奥山いちごさんのブランディングとかを5年前くらいからお手伝いさせてもらっていて、
そこでやっぱり生産者さんがどうしてもハネだとか、販売できない規格外のものだとか、そういった果物が出るんだっていうことで、じゃそれを何か商品にできないかっていうところから生まれた話です。
で、オカネツ工業さんはもともと岡山の熱処理の会社で、それこそ歯車とかから始まった、
なんかあの辺の地域ってそういう熱処理系の工場がたくさんあって、それがひとつにまとまったのがオカネツ工業なんですよ。
橘:へえ、そうなんだー。
乙倉:オカネツさんって今は車のモーターとか、ヤンマーとかそういうところのメーカーさんのモーターを作ったりしてるんですけども、
そういう技術を生かして自社で耕運機、畑を耕す機械とか、運搬機とかをつくっていて、
そういう形で結構小規模の農家さんとかとも、すごくつながりの深い会社さんだったのが始まりで。
色々調べてたらどうやら、この耕運機のモーター、馬力がある、土が耕せるし、
石があっても粉砕してやるぐらいの強いモーターが、冷凍した果物・お野菜を粉砕しながらアイスに混ぜることができるらしいっていう海外の製品を見つけてきて。
それまだ日本には当然なかったし、それを(オカネツさんが)奥山いちご農園さんと一緒に共同開発してた時に、
僕もその近くにいたんですよね。
デザインの仕事をしてたから。
で、一個前のモデルのアイスブレンダーができたときに、奥山いちご農園さんのカフェに導入したんですよ。
ハネ品を含め、自分たちで摘んだいちごを自分たちで届けるためのカフェね。
すると、もともとの奥山いちご農園さんのブランド力、ファンの多さも相まって、
すごく田舎にあるんですけど、とても人気になったんですね。
休日だと2時間待ちになるような。
橘:すごいよねー
乙倉:ね。
そういう経緯があったので、
「あ、このアイスの機械は結構農家さんの役に立つかもしれない」
っていうのがあって、
いまお店で使っている最新モデルを、グッドデザイン賞とかも取りながら生産をしました。
で、「これから販売してくぞ」ってなった時に、なんか
「アイス屋さんをやってくれ」
っていきなり、(オカネツさんから)我々の方に言われまして。
「アイス屋さん!?なんでですか?」って。
そしたら、そのアイスの機械をいろんな地域の人から見に来てもらって、アイスの機械の販売促進をするのが目的なんだと。
社長ご自身もすごくアイス屋さんをやりたいんだっておっしゃって、僕らは地元のデザイナーでひいてはベンチャー的な扱いで、社長さんは何かそういう若手の支援をしたいっていうような。
そういった3辺ががっちり固まって、アイス屋さんを気付けばやることになって。
最初は僕はそのデザイナーとして入るだけ、運営のお手伝いするだけだと思ってたんですけど、
気付いたら株式会社が立ち上がって、代表取締役になっていて、というような。
だからちょっと橘さんの半分流されながらみたいなのにちょっと近い部分もあって。
乙倉:僕自身大学のとき、建築系の学科を出てるんですけども、漁村の集落とかの調査をしたり、フィールドワークしたりして、やっぱり一次産業スゴイ好きだったんですよね。
それで民俗学の本とか読むのも好きで、結構読んでて、だからなんか気づけば自分でお仕事し始めたら、やっぱり生産者さんとお仕事する機会が多かったんですよね。
いちご農園さんみたいに。
だったらやりたいかもって思って。
農業に対していろいろ思ってることもあったので。
で、やるようになったのが経緯です。
橘:なるほど、面白いね。
なんかいろんな思いが繋がり繋がりで、まあきっかけとしてはやらされた感があるんだろうけど、まあでもね、いいよね。
そのなんだっけ、BJのキャッチコピー「土の上からスプーンの上まで」みたいな、ね。
あれも綺麗な言葉やなと思って。
乙倉:あの辺はやっぱり生産者さんと一緒にやってて、耕運機とかでフォローしてたオカネツさんと一緒に、
最後口に届くまで全部こう下支えできることないか、みたいな感じだったんです、流れが。
わりと自然と出てきたは出てきたんですけど、結構個人的には気に入ってて。
橘:うん、すごい綺麗。この言葉ね。
乙倉:うん、いいやつ出たなって思ってました(笑)
橘:まんまと(笑)まんまとやられたわ。
いやーでもなんか、デザイナーって感じする。
乙倉:うんうん
橘:うらやましいわー
乙倉:いやいやいや。
僕はさっきも言ったとおりね、建築出身なので、一緒にやってくれてるチームが本当に、本当に本当に優秀で、
僕は代表でいろいろあちこち行って、キャッキャしてるだけっていう感じもありますね。
橘:なるほどなあ
乙倉:あっでもねー、お店やることになって、要は最初は雇われ社長っていうところからはじまったんで、
どこか自分ごとに落ちきってないなかで、アイスクリームの機械を販売促進しながら、岡山の人たちにアイスを通じて果物・野菜を楽しんでもらうっていう、
そこで落ち着いてたので、なんかまだ自分の中でいっぱいあったんですよ。
自分の思う課題と今回の事業でやる課題と、なんかいっぱいあって。
橘:うん
乙倉:あったんですけど、まあなんかやっぱデザイン事務所をやってると、お客様からご相談いただいてお仕事するので、
自分がメインのプレイヤーになることってなかなかなくって。
だけど今回改めてその矢面に立ってね、飲食店って大変。
ほんと大変ね。
完全に甘く見てて、僕。
だってその「アイスの機械を販売するのが目的だから、アイス屋さんとしての役割はこうこうこうで」ってなんか自分の中で綺麗事で片づけていて、
いざ蓋あけてやってみると、お客さんからのいろいろご要望もあれば、僕らに至らないこともたくさんあるし、
接客ひとつとっても、僕は接客すごく苦手だからお店には立たないんだけども、
なんかそういうのも、もうすべてが総合格闘技なうえに勝率が低いみたいな。
橘:ふふふふふ
乙倉:だからね、僕初めてオカネツさんにプレゼンしたときも、
「飲食店とかカフェやるのは難しいので、そのお話だけだと僕よう受けてないです」と。
「だけども、今回その機械を販売して、生産者さんとか飲食店さんのためになることをするっていうところでやりたいんです」みたいな。
なんかそんな感じだったので、本当にそのアイス屋さんとしてやっていくっていう覚悟みたいなのって、
意外とオープンして1ヶ月してからやっとこう、あの、人に言える話はないですけど、腹がくくれるまで少し時間がかかって、
もしかしたらお店続かないかも、みたいなことも…。
やっぱりアイス…冬はしんどいので(笑)
橘:そうね、一緒よ。
乙倉:あ、そうだ、スムージーもそうだよね。
毎年冬が来るのが
橘:怖いのよ。
乙倉:怖いよね。暖房ガンガンにたくしかない。
橘:ほんとよ。
乙倉:ね、だからそういうので1年目、うちなぜか冬にオープンしちゃって、親会社様との色々兼ね合いもあってゆっくりスタートだったんですけど、
2回目の冬が来る前に、「これ続けられるのか?」みたいになって、やめるのもよぎって、なんか泣き言言ったりしたあとに、こう吹っ切れて。
面白いもんで僕が吹っ切れてやりだすと、ちょっとよく見えてくることとかもあったり。
で、ちょうど店長もまる1年たったぐらいから、今みたいに頭角をメキメキ表し始め。
橘:へー
乙倉:そうー。
やっぱ最初の1年って、お店回すだけでもいっぱいいっぱい。
やることいくらでもあるし。
そっから「もしかしてうちのアイス思いのほかおいしいかもしれない」って思って、自分でいうのもあれだけど(笑)
橘:そこから?(笑)
乙倉:だってそのなかやさんのアイスに替えてもらったのも(オープンの)半年後で、
これいつも言うんだけど、オープンして最初の半年だけに来てくださったお客様にもう1回だけ来ていただけるようなチャンスがあればねー、最初の時よりもっとびっくりしてもらえるのになっていつも思う。
まあね、取り返せないんですけど。走りながらね、やってきてるので。
そういうのがあって、本当に自分もプレイヤーとして、農業のこととか飲食のこととかを考えだしたっていう感じですね。
橘:なるほどなるほど。
まあでもそうやってAOBAをしながらっていうのがあるから、ほかでデザイナーとしての仕事が入った時に(生産者さんと)同じ気持ちになってデザインしてあげることが、ブランディングしてあげることができるよね。
乙倉:これは本当にあの、気づきで。
やっぱりそうやって、誰かお客様に提供するようなサービスを自分でやってみるっていうのはもう、本当にもうね。
いろんなデザイナーさんのスタイルあると思うんですけど、デザインとかブランディングとかコンサルとかする方は、
是非自分でね、実践してみて気付くことたくさんあるんで、
僕にとっては本当に、デザインのお仕事をする上で、得られたことがもう大きすぎて。
橘:なるほど
乙倉:本当にやっててよかったなって今でも毎日思ってます。
しんどいけど(笑)
橘:いやまあしんどいよね。
乙倉:デザイン以上にね、アイス屋さんが難しい。
こんな言っちゃだめだけど(笑)
橘:基本やっぱりこうさ、カフェとかそういうところは待つのが基本じゃん。
そういうしんどさも、やっぱりほかの業種とはちょっと違うというか。
営業かけてうんぬんかんぬんではないから、そういうしんどさもやっぱあるよね。
乙倉:うんほんとに。
(後編につづく)
さぁ~て、次回のオトクラさんは?
インターンのしおりです。
語りだすと止まらない乙倉氏、後編はなんと1万字超!
削ろうにも「いやここは大事、ここも必要」と結局全部載せてしまった私!
ここまで読んでくださった皆さまなら、後編もついてきてくださると信じてます。
…信じてますよ!?
さて次回は、
片付けだいすき少年
POMONAはボツ案だった?
能動的なアイス
の3本です。
後編もまた見てくださいね!
ジャン、ケン、ポン
🖐️
ウフフフフ♪