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#4雪組のはなし

 宝塚沼に頭からダイブして戻ってこない友人がいる。高校の定期代を観劇費用にあてて学校に来なくなった奴である。彼女の勧め(ほぼ無理やり)で何度か観劇に行ったが、そのほとんどが雪組公演。トップ男役の”だいもん”こと望海風斗さん、そしてトップ娘役の”きいちゃん”こと真彩希帆さん。同じ沼にはめようとしてくる友人に対し、決して沼にははまらぬと抵抗する私だが、このお二人の魅力については多少語ることができる。前置きしておくが、私は宝塚のファンではない。

トップお二人の魅力って

 まずだいもんは、なんといっても舞台上での輝きが段違いである。登場してパッと華やかな笑顔を見せる。するともう目が離せない。あきらかにスポットライトの反射以外の光が顔から放たれているのだ。二番手さんとの絡みもまたほほえましく、胸アツなのだが…

 きいちゃんは歌声が素敵。そしてかっこいいもかわいいも、チャラいのもツンデレなのもできる。そしてパリロケの番組を見たことがあるのだが、明るくてシャキシャキしていてもうほんと素敵な女性なのだ。サヨナラ公演での、ゴスロリドレスを着て悪役のような笑い声をあげるクールな役のきいちゃんがもう。

フォルテッシッシモ!!

 そんなお二人がなんと今作で引退されるという。友人のごり押しで、私は千秋楽公演をオンラインで見ることに。RakutenTVでチケットを購入し、いざ千秋楽当日。退団公演の演目は「FFFフォルティッシッシモー歓喜に歌えー」。作・演出はウエクミ。以前彼女の「神々の土地」という(これまた雪組)作品を、実際にムラ(宝塚大劇場)で観たことがある。(雪原のなかの焚火のシーンは、ロシアが舞台の「神々の土地」を思い出させた…)

 あらすじはベートーヴェンの生涯を、ナポレオンやゲーテといった同時代の人物、そしてベートーヴェンの前にたびたび現れる謎の女、彼らとともに綴っていくというものだ。

トップ娘役きいちゃん

 まずきいちゃんがかっこいい。初登場シーンは歌声のみ。どこからか聞こえる、不安を誘うような旋律。姿は見えないものの、この豊かな響きをもつ声はきいちゃんに違いない。そして姿を現すときは、アップライトピアノの上に座って、舞台の床がゆっくり回って登場する…。とても怖い顔をして、絶望するベートーヴェンを追い詰めていくのだが、それがまたなんと魅力的。宙組の「エリザベート」を見たことがあるが、まさに今回のきいちゃんは女性版トート(死神)といえる。恐ろしげ、そそのかしてくる、けれどとても魅惑的な存在。さらに衝撃的なことがある。デレるのだ。いや、ツンのままデレるというべきか。衣装を変えて、ベートーヴェンの書斎に現れた謎の女きいちゃんはエプロンをしており、慣れない手つきでベートーヴェンの身の回りの世話をしだすのだ。あああかわいい。しかし個人的にはヒールなきいちゃんのほうが好きである。

二番手さん、咲ちゃん

 つぎに二番手さん、咲ちゃんこと彩風咲奈さん。次期トップスターである。実は雪組公演「ひかりふる路」という名作において、最終的には決裂してしまう主人公の親友役をつとめたのだが、私はその役が大好きである。彼も、だいもんと並んで負けず劣らず見栄えのする輝きをお持ちだ。おみ脚がすらーーーーっと長く、背も高い。今作品では若き英雄ナポレオンを演じ、仮想世界のようなところでベートーヴェンと語り合い、友情が芽生える。このトップ・二番手間の友情が、どの作品にもあり、どれもよい。そして大体どちらかが死んでしまうのです………だがそれもよい。

だいもんんん

 そしておまちかねだいもん。「ひかりふる路」でも主人公である革命家ロベスピエールが精神的に追い詰められ、恐怖が具現化された演出があり、私はそれが好きなのだが、今作でも「トラウマ乱発シーン」がある。そしてそれを乗り越えたとき、一曲ソロがある。それがもう見事。一人で、あの大きな舞台で、これほどまでの歌唱力・表現力を発揮できるものなのかと圧倒される。ほんっっとうに長い(サヨナラ公演の千秋楽なので、13時に始まりいろいろあって18時まで続く)公演の間疲れを一瞬も見せず、すばらしいパフォーマンスを見せてくださってありがたい…。なお、オンラインの特権として、ラストシーンの晴れやかなだいもんの顔をドアップで拝むことができた。あれはベートヴェンじゃなくて、だいもんの顔だったわぁ…

(長い)

 あと長い。とにかく長い…。サヨナラショーでは過去作品の代表曲とかもでてきたけど、途中から寝てたよごめん…。「ひかりふる路」と「石を割って咲く桜」は聞けたから…

まとめ

 ここまで雪組両トップのサヨナラ公演の感想を書いてきたのだが、いままでみた公演のほとんどがこの代の雪組だったため、これで最後かと思うと非常に感慨深い。ちなみに友人は前楽と千秋楽どちらもムラである。すごいなあ。

 以上、読んでくださってありがとうございました。

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