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A propos de la gentillesse

毎日SNSを開くけれど、ざっと眺めて、
たまに写真をストーリーに乗せたり、「Like」をつけるくらいで、
自分の言葉で書き表すことから離れていました。
今は、自分の「そのとき」のことを書いて露出したことが、
後々、当の本人が忘れてしまっているのに、
ずっと残っているという現象になじみにくくなっているのかもしれません。

とはいえ、書いておきたいことがあったので、今回は書きます。
(去年の旅の続きもちゃんと書くつもり…)

習っているアルゼンチンタンゴの先生が自身のスタジオにて、
ほぼ2年ぶりに、例年よりも規模を縮小した発表会に出演しました。
3か月前くらいに企画・準備を始めたころは、
おそらく誰もが、何とかなるだろうと思っていたのですが、
12月になってやってきたThird Waveにたいして、
感染予防の高い意識と注意を払っての開催となりました。

毎回、観に来てくれた母を、今回も誘ったのですが、
今回は彼女はその場に行くことを選びませんでした。
最初、ちょっとだけ私が選んでやっていることに対する
否定のようにも思えて、ちょっと悲しかったのですが、
でも、よく考えると「仕方ないことだな」と思います。

「人が集まる、移動する」
ということをできるだけ避ける生活にたいしての考え方や、
行動の仕方や、「こうしたほうがいい」というようなことが
誰もが確立しつつあって、少しずつ習慣になってきていて、
その中で、1時間ほど電車に乗って会場に観にきてほしいとは言えません。

本当は主催されるダンサーであり、スタジオのオーナーである先生も、
人それぞれ、工夫して積み上げてきた新しい生活が
崩れてしまう可能性があるなら、それを主張することはしません。

今は動画や録画のアーカイブを後日、好きな時間に楽しむことができるし、
可能なら、あまり時間がたたないうちに観てほしい気持ちもあるけど、
私だったら、そんな動画を放置したまま忘れてしまうかもしれません(笑)

発表会の後、すこしだけ写真を投稿したSNSに寄せられた
コメントや「Like!」も、充分にうれしかったし、
会場で会えなかった母には、家で健やかで楽しい時間を、
過ごしてくれていたらいいなと、思っていました。
だから、当日会場に母から花が届いたときは、ちょっと…きました。
その場にいないことのやさしさについて、じんとしました。

でも今回、縁とタイミングが合って、
アルゼンチンタンゴを全く見たことがない、都内近郊の友達二人と、
スタジオから徒歩圏内に住んでいるタンゴ友達を
お招きすることができまして、楽しんでいただけたことが嬉しかったです。
来ていただいた3人が、「日常とは違う時間」を楽しんでくれて、
心を豊かになったと言ってくれて、私も満たされています。

誰もが、変わっていこうとする生活の中で、
今、大切にしているものを大切にできますようにって思います。
そんな、人が集まることを避けて、個人の価値を大切にする意識が、
規模を小さくしながらも、美しい時間を共有する場が
これからもっと増えていくことになるのかもしれないと思います。

そして、今住んでいるところから、そんなに遠い場所ではないけれど、
今年のお正月は実家に帰ることをやめたほうがいいのかもと、
何がやさしさなのかと、ぼんやりと考えています。

写真は母が会場に送ってくれたピンクの花のアレンジメントと、
エレガントなタンゴ友達が持ってきてくれた真っ赤なバラ。

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