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gucchon
毎日俳句に親しもう【夜食】
★先輩はナースコールへ吾は夜食へ
静寂。
真っ暗な病棟にナースステーションだけが白くぼうっと浮かび上がる。
夜勤の看護師2人は互いに背を向け合い、ひとりは看護記録にうずまるようにペンを走らせ、ひとりはあくせくと患者の一包分けの薬を分けていく。
とたん、ナースコールのカノンが鳴る。
2人は呼吸を合わせたかのようにぱっと壁の点灯するランプの部屋番号を見た。
「いまのうちに食べときな、あたし行ってくるから」
バタバタと年上の看護師はゆるいウェーブをまとめた髪を揺らして病室に走り、若いほうの看護師は引き出しをあけ、SOYJOYをかじる。
またひとつ、闇は暗さを増す。