あさの4じはん
朝日が出るまでのあいだ、鳥たちが飛び交うのを横目に静かにそのときを待っていた。
ベランダからみえる景色はいつだって平坦で、でもそれがまたいいんだよなって風が鼻をくすぐる。
下に目をやるとネコが自慢のしっぽを振らせながら歩いている。三毛ネコ。歩き方やなんとなくみえる表情からメスだろうと判断する。こんな勝手な思い込みで自分の性まで決めつけられたネコは、たまったもんじゃないとさぞかし感じているかも知れないが。でもまだ気付かれていない。
“どうぞ、朝の優雅な散歩を続けて”
映えない街だなぁと思いつつも中にいる人間の個性さは健在。だからこの街は嫌いじゃない。
そんなこんなでようやく、待たせたねと言わんばかりの眩しくてきらめく朝日が顔を出す。
早起きして良かったな、と口から台詞がポロリ。
空気をいっぱい全身に送り込む。これでもかというくらいにいっぱい、そしてからだの隅々まで。
「おはよう」
「いってらっしゃい」
このはじまりの合図が、爽やかで大スキだ。