夫がコロナに感染した 〜発覚からホテル療養の記録〜
コロナ陽性、発覚
夫が新型コロナウィルスに感染した。
東京で新規感染者数がいよいよ4,000人台になった頃。
ある日の夜、夫が「体調が悪い。症状からして熱中症だと思う。」と仕事から帰って早々に伝えてきた。
・体がだるい
・体が熱い
・フラフラする
といった症状だった。ネットで検索しても熱中症の症状に当てはまる。
自他共に認める、健康体な夫。体を冷やして寝ればすぐに治るだろう。とたかをくくっていた。
同日の深夜、夫が「苦しい…熱があるかもしれない…」と私を起こした。
念のため体温計ではかってみると、39℃の熱があった。
ネットで検索してみると、重度の熱中症の症状に当てはまる。
時刻は深夜2時。(病院が開く時間まで待ったら、やばいかもしれない…)と万が一のことを考えて
「救急安心センター/ 電話番号 #7119 」に電話をしてみた。
夜中でも診てくれる病院を紹介してくれたので、夫を車に乗せて病院に向かった。
病院に着くと、防護服に身を包んだ看護師さんが出迎えてくれた。
「コロナウィルスの可能性もあるので、念の為検査しましょう」と言われた。
病院には入らず、車内で検査。
結果は陽性だった。
その日から、夫のコロナ闘病生活が始まった。
自宅療養
就業開始時間に、夫の職場にコロナ陽性だったことを伝える。
濃厚接触の可能性がある、一部の同僚がPCR検査を受けることになった。
夫は自宅療養。
家庭内感染を防ぐため、夫は2階で、私は1階で生活することにした。
夫は高熱と頭痛で苦しそうにしていた。咳は出ていなかった。食欲は無かった。
熱が38.5℃に上がったら、病院でもらった解熱剤(カロナール)を飲む。できることはそれだけだった。
私は濃厚接触者だったので、家から出ないようにした。
幸いにも義両親が近くに住んでおり、必要な物の買い出しはお願いすることができた。
洗面所、お風呂、食器、ドアノブなど、夫が触れたものを洗う度にマスクをして、換気・消毒した。
陽性発覚した翌日、保健所から非通知で夫に連絡がきた。
どんな症状がでているか?とか、感染経路などを聞かれた。
数日のうちにパルスオキシメーター(酸素濃度を測る機械)が郵送で届いた。 ※この対応は地域によって異なるかもしれません。
味覚障害
コロナ陽性が発覚して2日目、うどんを作った。
夫が泣きそうな顔で「味がしない…」と言った。
ネットで嫌になるくらい見てきた、コロナの症状だ。
「ただの風邪やインフルエンザとは違うんだな」ということを実感し、後遺症のことが頭をよぎり背中がゾクッとした。
「頭痛がひどい、つらい」というので、病院に相談して、彼がいつも使っている頭痛薬も併用することにした。
食事や飲み物、氷まくらを運ぶたびに、夫の苦しそうな顔を見るのが辛かった。
ホテル療養の持ち物
39℃近い熱が4日間続いたとき、保健所から「ホテル療養」を提案された。
「24時間体制で看護師さんが診てくれる」ということが決め手になり、ホテル療養にエントリーした。タイミングが良かったのか、幸いにも翌日から入所できるとのことだった。
行きはお迎えが来てくれて、帰りは公共機関か家族が車で迎えにいくシステム。
私はホテル療養に必要なものをパッキングした。
ホテルに持参できる物は、都道府県のガイドラインにも書かれているが、参考までに自分がパッキングしたものを。
【持っていったもの】
・氷枕
・消毒ジェル
・Tシャツとハーフパンツ 10セット(暖房があまり効かず、寒い日があったので長袖・長ズボンもいくつかあるといいかも)
・タオル 10枚以上
・マグカップ、スプーン
・粉状のスポーツドリンク(嵩張らないので)
・常温保存できるお菓子(おせんべい・チョコ・ゼリー・チューペットなど)
・お湯でつくるスープ
・ゲームや本
・歯磨き粉
・タオルケット
【備考】持っていったけど使わなかったもの
・ハンドソープ(ホテルに備え付けがあった)
・歯ブラシ(ホテルで用意してくれていた)
・洗濯用洗剤(持っていった着替えとタオルで足りた)
夫曰く、
「洗濯する元気もないし、干すスペースもあまりないし、洗濯が不要なくらいのタオルと着替えは持っていったほうがいい」
「マグカップはインスタントのお味噌汁を飲む際に重宝した」
「氷菓子(チューペット的な)は常温で保存できるし、甘いものを口にできるだけで気分転換になるし、スプーンを使わないので手軽に食べられてよかった」
とのこと。
ホテル療養スタート
コロナ陽性発覚から5日目。
送迎車が自宅に来て、ホテル療養が始まった。
接触を避けるため、ハグはもちろん、見送ることさえできなかった。
夫のホテル療養がスタートした。
「お弁当、半分も食べられなかった…」とLINEがきた。
その後、看護師さんに『食べないと治りませんよ』と助言をもらい、非常にゆっくりとしたペースで、1時間以上かけて、完食するようになった。
相変わらず熱は下がらなかった。酸素濃度はやや低めだが、問題なし。
夫のホテル療養は恵まれていて
・部屋から緑がみえる
・お弁当は野菜が多く、インスタント味噌汁つき
・ツインルームの広さ
・処方された薬が足りなくなれば処方してもらえる
・事前申告すれば通販で差し入れ可能(内容に制限あり)
という環境だった。
自宅療養のときはお互いに「感染させてしまうのではないか」という不安がつきまとっており、それがなくなったのも非常に有り難かった。
ホテル療養から数日、熱や頭痛の症状は無くなったが、今度は咳が出るようになった。
「ウィルスは肺に転移する可能性もあるらしい」と夫から聞いて、最悪の事態が頭をよぎった。
コロナウィルスの怖いところは、症状が急変することだ。熱が下がったからといって気を抜けなかった。
看護師さんに「会話をすると酸素濃度が上がる」と教えてもらったので、テレビ電話をするようになった。
憔悴しきった、覇気のない夫。別人みたいだった。
他愛もない会話をする。今日のご飯は何だったとか、差し入れで欲しいものはある?とか。
「ウィダーインゼリーと虫よけスプレーが欲しい(林が近くなので虫が入ってくる)」というので、差し入れしてもOKかホテルに確認して、ネット通販を利用して届けた。
毎日テレビ電話をするにつれて、少しずつ彼の顔色も良くなってきた。
味覚も「甘い」「しょっぱい」くらいはわかるようになり、ホテル療養を終える頃にはお弁当を味わうことができるレベルまで回復した。
咳はたまに出るが、ホテル療養を終えるよう指示がでた。待機している人がいるからだろう。
「完璧に治るまで居られない人もいます」とのことだった。
ホテル療養を終えて
夫が職場に連絡をし、ホテル療養を終えたこと、復帰する予定日を伝えた。
約14日間、寝たきりの生活で体力が低下しており、とてもじゃないが仕事ができる状態には見えなかった。屋外での力仕事なので、無理をして倒れたら余計に迷惑がかかると思った。
家に帰って最初の日は、家事をしてもらった。
次の日は、涼しい時間に、無理のない範囲で散歩をした。
夫も少しずつ体力が回復して、少しだけ自信がついたような顔つきになった。外で体を動かすのが、気分転換にもなったようだ。
仕事復帰の前日にフレンチトーストを作ったのだが、彼は手づかみで食べていて「仕事できるかな…」と心配になった。今まではフォークで食べてたから。
本調子ではなさそうだけど、これ以上休むわけにもいかない。
上司の気遣いで、仕事量を調整してもらい、復職した。
最後に
コロナウィルス感染から、発熱していた期間は約10日間。
私も家族が罹患しなかったら信じられなかった。
こんなに長い間発熱するなんて。
後にわかったことだが、同僚は陽性だったが無症状だった。
人によってこんなに症状が違うのだというのも実感した。
お医者様曰く1番感染する可能性が高いのが「飛沫」
マスクなしでの会話や食事などで感染する確率が高いとのこと。
私も夫も外出することが怖くなり、外食は全てテイクアウト、仕事以外はできるだけ家から出ないように生活している。
最後になりましたが、医療従事者の皆さま、ホテル関係者の皆さま、物流を支えてくださっている皆さま、本当にありがとうございます。
夫が家に戻ってくることができたのは皆さまのご尽力のお陰です。
自分たちが恩返しできるのは、感染をひろげないことだと思っております。
一刻も早く普通の日常がおくれるよう、祈っています。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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