技術向上が怖かった

物作りをしていく中で、
「素敵なものを作りたい」
「もっと上手くなりたい」
と思うのに、
新しい技術を習得していくこと、新しい何かを思い付くことが、どこかでずっと怖かった。

だって、新しい何かを習得して、それを組み合わせて出来るものは、きっと今までより素晴らしい。
そうしたら、今まで私が作ってきた大切な作品達が劣ったものになってしまう。
たいしたことのないものになってしまう。

それは嫌だ。悲しい。
あんなに一生懸命作ったのに。
価値が低くなってしまうなんて、そんなの嫌だ。

 
でもじゃあ、昔作った作品達が価値を失ったかといわれたらそんなことは全くなく、
その時込めた想いはそのままそこに在ってくれている。

そして多分、「昔の作品」を「たいしたことのないもの」「未熟なもの」って決めてしまうのも私自身なんだと、書いていて気がついた。
私自身がそこに込めた自分の想いを無視している。
そんなものよりも技術が大事なのだと。

私はどんな世界を生きたいんだっけ。
どうして表現しているんだっけ。
今の私に湧いたもの全部を、今の私のまま出す。
それを楽しみたいんじゃなかったっけ。
 
技術が向上しようがしまいが、込めているエネルギーはきっと一緒。
私のお仕事はこのエネルギーをお渡しすること。

今していることが未熟に見える時、虚しく感じる時、
ここにちゃんと戻ってこれますように。