「最高神」の二つ名
世の中にはさ、2種類の天才がいると思うんだよ。よくいう天才は音楽とか絵とかスポーツとか、何かの能力がずば抜けているやつのことでしょ。でもさあ、努力できるやつも天才って呼ぶべきじゃない?努力できない奴なんてそこら中にいるじゃん。
俺がどっちかって?どっちでもねえよ。え?そこはどっちかって言うとこだろって?いや違うんだよ。もうわかってるだろ。俺は俗に言う器用貧乏ってやつでよ。ある程度のところまではなんとなくでできちゃうけど、それ以上は本物の天才に越されちゃうんだよ。
何の話かって?とぼけんなよ。お前が努力の天才だって話だよ。俺はお前に負けた。だからもうこの仕事はやめるよ。
降りないでほしいって?いや、俺の二つ名わかってるだろ?最高神なんだよ、最高じゃなくなったんだからやめるしかねえだろうが。ステータス見りゃわかるよ。ほら、開けてみろよ、お前のステータスが最高神に変わってるはずだからよ。
え?変わってないって?嘘だろ……?
俺のも変わってねーな。なんでだ?俺はお前に実力で負けた。負けを認めてんだ。ステータスはお前に譲られるはずなんだよ。
※ ※ ※
いつまでも理解できていない目の前の神様に私は告げた。
「そのステータス、自分は最高だと思っている限り外れないみたいですよ。あんた、自分が後輩に負けたことを潔く認めて引退する最高の先輩だと思ってるんですね。」
私のステータスに「最高神」の二つ名が加わった。